ボツリヌス培養プラント⑥ | 法友(とも)へ

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次の研究テーマはクロレラの培養だった。


クロレラよりも大型でタンパク質の量が多いスピルリナも候補にあがっており、印刷工場との兼ね合いも有るが大日本インキに問い合わせをする予定でいた。



実はオウムは食料について様々な研究を行っている。


一応ロータスビレッジ計画の一環ということになっているが、いかにしてサマナの食事の出費を抑えるかという意味もあったように思う。


このときも気が早いもので、クロレラを分離する遠心分離はすでに購入済だった。


遠心分離機といってもよく見かける試験管を入れる小型のものではなく、ネジなどの工業品から加工のときに使う油を取り除く大型のもので、目の細かいフィルターを使用するものだった。


培養に使う大型のガラス瓶はあったのだが、培養液を循環させるためのポンプ、温度を一定に保つためのヒーターとそのセンサー。


そしてポンプを一定の間隔で作動させるための24時間タイマー。


クロレラの栄養源として、とりあえずメタン発酵の液肥を使うことにした。



オウムでは仮払い申請をして経理の許可が出ると買い物が出来る。


ようするに石井の許可がないと何も買えないということなのだが、申請書(とはいってもただの紙切れ)を書き上長のハンコをもらおうと思ったのだが、遠藤は出かけていたらしく留守だった。


そこへ村井が通りかかったのでハンコをもらうことにした。


村井はいつもハンコを持ち歩いており、ほとんど盲判だった。



遠藤はCMI(後の第一厚生省)で村井のCSI(後の科学技術省)とは部署が違うのだが、おなじサティアン内ということで村井のハンコでもいいことになっていた。


申請書に一通り目を通してから村井が、「君もやってるんか。」と言ってにやりと笑った。


「同じワークやな。」そう言って一人で納得し、去っていった。



このとき、僕にはまだ、村井の言葉の意味が理解できないでいた。