ファスト映画なるものが問題になっている。人気映画のネタバラシの10分程度の動画だ。作成者のコメントも入っているとのこと。作成者はこれで広告収入を得ている。ここには日本が抱える根深い闇があると私は思う。
 
それは多くの判断基準を自分にとって損か得かとする風潮だ。つまり、映画鑑賞を検討している人は、金、時間をかけて見るならより満足度を得たい。不満足は損で、満足は得だと考える。故にファスト映画を視聴する。
 
本来、映画や演劇等に足を運ぶ動機は、その作品を観たいと思うかどうかだ。これは損得とは全く別次元の欲求である。私は5年程前「ダンガル」というインド映画を観た。インドの映画は初めてだったが、直感的に観たいと思った。昨年は「ひとくず」という映画を観た。重いテーマだが、こちらも直感で足を運んだ。自らの直感に満足している。
 
私はファスト映画の作成者を非難しているわけではない。多くを損得でしか判断できないようになった背景と歴史があり、結果的に私達の感性を貧しくているのを嘆いているのだ。