娘が成人して、「しごと」に関わりだしたり、息子が大学受験に取り組むようになった2016年。「自立」という言葉を意識することが多くなりました。


 
そして、子ども達が「自立」した後の「わたしたち」夫婦は、どのような「愛」を育んでいくんだろう?と漠然と考えていました。


 
そんな時に友達に教えてもらった岸見一郎先生の講演を聴きました。岸見先生の著書『幸せになる勇気』を読み終えたところだったので「縁」を感じたのです。


 
前作のベストセラー『嫌われる勇気』も、僕が読んだ本も、100年ほど前の心理学者、アルフレッド・アドラーの教えを題材として扱っています。


 
そして、アドラーさんの心理学とういうか、哲学のキーワードは、「自立」であり、「愛」であると、僕は感じ取っていたからです。


 
講演終了後、すぐに地元に戻り、「あなたが生まれるまで」という創作劇を鑑賞しました。これを演じる劇団ロリポップに友達がいるからです。


 
お腹に生命が宿った瞬間、刻々と変化していく「からだ」。新しい「いのち」への喜びと不安、そして、決意がお母さん方からの目線で素直に演じられていきます。


 
僕は、男なので、それを自分のこととして体感はできませんが、約20年前の妻の姿を、そして、私の子ども達が幼かった時のことを思い返していました。


 
アドラーさんは僕にこう語ります。愛とは、「ふたりで成し遂げる課題」である。僕は大きく頷きます。


 
まったく見知らぬ二人が、出会い、パートナーとしてお互いを選択し、子をもうけ、育て、また、二人の生活に戻っていく。


 
子育ての過程は、まさに自分の人生の追体験です。「からだ」としても不可分だった母子が分離し、「自立」まで伴走する。僕達夫婦は、その日々を既に過ごしてきました。


 
ゆえに「愛」をもう知っているのです。だから、僕のすることは、毎日の生活の中にある「愛」に気づくだけです。それはシンプルで簡単なことのようで、実は、難しいことだとあなたも気づいているのではないでしょうか?