華麗なる晩餐 | あいやー生活記録

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映画ときどき旅

ここんとこずっっっっっと忙しかったあいやーですが、やっとこさ久しぶりにまともにブログ書けるようになりました!

昼の1時すぎまで寝たのって何ヶ月ぶりだろう・・・(´ε`;)ウーン…

 

今日は、「メッセージ」「ブレードランナー2049」のドゥニ・ヴィルヌーヴ監督の『華麗なる晩餐』について!

 

ネタバレ注意!!!

 

11分半ほどの短編映画なんですけど、それだけにものすごく印象に残るというか、なかなかインパクトのある映画だと思います。

 

見たこともないようなグロテスクな料理の数々。テーブルに置かれたそれらは、料理というよりは、死体が皿に盛り付けられているよう。サイやライオンや、なんだかわからないものの肉、骨、内臓、血。それらを貪り続ける正装姿の紳士淑女。そして彼らに料理を出し続けるスタッフたち。その中で、一人の年配の給仕が彼らをじっと見つめている。

しばらくすると床が軋む音がする。突如として、テーブル下の床が抜け、紳士淑女たちは下の階に落ちる。

給仕は、スタッフに「次の階へ」と指示を出す。

スタッフたちは下の階へと移動する。

そしてまた何事もなかったかのように、食事を始める。

彼らは食べては落ち、食べては落ち、それを何回も繰り返している。

ある時から、落ちた直後から軋むようになる。

スタッフたちは次の階へ移動し彼らが落ちてくるのを待つ。

床がきしむ中、人々はまた食べ始める。狂ったように。奪い合うように。

欲望のその果てに、人々は次の階に留まることなく永遠に下へ落ちていくことに。

 

ヴィルヌーヴ監督は音が印象的な監督で、オープニングのドラムの音でいきなりぐっと映画に引き込まれました。

なんとも言えない異様さの漂う雰囲気。これは美術セットはもちろんのこと、音楽によっても作られていると思います。ユーモラスですらあります。

 

filmarksのレビューを見てみると、千と千尋の両親みたい、という人もいました。

無言で食事に夢中になる人々。

まともなセリフが、給仕の「次の階へ」だけ。

なんとも不気味です。

 

食事をする人々の中で、一人食べるのをためらいつつ食べる女性がいます。スタッフが食事を取り皿に乗せようとするのを拒みますが、それでもなおスタッフは皿にソーセージを乗せてきます。

最後、また床が軋み抜け落ちるのがわかっていながら、人々が食事を再開するのを見て、彼女は呆れたような絶望したような表情を浮かべます。彼女の背中越しに映る、食べることをやめようとしない人々。皆の狂ったように食べる姿を見て、彼女は何を思うのでしょう。頬に涙の跡を残しながら、彼女も笑いながら狂ったように料理を食べ出します。

諦めからか、欲望に勝てなかったのか・・・。周りがそんなだったら、自分だけ食べないのもバカらしくなってくるのかも。

 

欲望のまま行動すれば落ちるとわかっているのに、どれだけ落ちようとやめられない。

危機感を持ちながらも、周りに流されてしまい結局自分も落ちることになる。

この映画は、現代社会の風刺であり、警告なのだと思います。

このまま、人々が欲望のまま生き続ければ未来はどうなっているのでしょうか。

 

人々とともに落ちていくシャンデリアは、人類の栄華でしょうか。文明でしょうか。

そして、紳士淑女たちを見つめる給仕は神でしょうか。悪魔でしょうか。

 

ちなみにおえってなる系の映画が苦手な方は、悪い意味で飯テロ映画なのでご飯前に見るのは控えた方がいいと思います。(;´▽`A``