こんばんは,高井です。
しばらくブログの更新を怠っていましたが,前回に引き続き,成年後見人等の財産調査について,書きたいと思います。
既にご本人はお亡くなりになり,後見人(保佐人)としての業務は完了した事件なのですが,今でも,あの事件処理で良かったのかなと思うことがあります。
私は,保佐人に就任し,まずは,本人の財産を管理していた親族から通帳などの引き渡しを受けました。その後,本人の財産を調査するために,親族と一緒に本人の自宅マンションに向かいました。本人は,入院中でマンションは半年以上,空き家の状態でした。また,本人には子供や兄弟もおらず,本人が入院してからは,先に亡くなった夫の妹たちが,本人の財産管理のサポートをしていました。
その妹たちと一緒にマンションに入ってみると,ゴミだらけ。妹たちは土足で上がって構わないと言います。家の中はぐちゃぐちゃで,大量のゴキブリの糞も落ちていました。
財産の手掛かりになる物はないかと,家の中にある書類関係を見ていると,10年以上前に金融機関から送られてきた郵便物や,本人の手帳が発見されました。そこには,私が把握していなかった銀行が複数あったので,それを手掛かりに,各金融機関に対し,取引の有無の照会をかけることにしました。その結果,ほとんどの銀行は,既に取引は無いと回答がきましたが,2つの金融機関から残高がわずかだけあると回答がきました。
上記の発見された書類や手帳とは別に,自宅マンションから,「自分の財産管理を●●に委任する」と記載された書類や,「自分の財産を●●に全部遺贈する。」と書かれた自筆の遺言書も見つかりました。遺言書は要式を満たしていなかったので無効なものでしたが,それらの書類が,ずっと,なんだか怪しいな~ と私は思っていました。
気になったので,新しく発見された預金について,銀行にいって,過去10年分の取引明細書を取り寄せてみました。すると,本人がしっかりしていた5~6年ほど前までは,それぞれの口座に,1000万近くの預金残高がありました。それが,ある時期から,毎日50万円ずつ引き出されていて,1カ月ほどで,ほぼ全額引き出されていました。
これは,すごく怪しいです。そして,委任状と遺言書に記載された●●という人物がすごく怪しく感じました。そこで,私は,マンションの管理人や近隣の住人に,本人の過去の生活状況や⚫︎⚫︎という人物ついて聞き取りをしました。
しかし、住人に話を聞くと,⚫︎⚫︎という人は、2,3年ほど前に亡くなったということでした。なんとか,この消えた2000万円の内,少しでも回収できないかと考え,家庭裁判所や弁護士にも相談しましたが,結論は難しいと言うことで,結局,1円も回収することは出来ませんでした。
後見人の仕事は,今ある本人の財産を有効に活用して,本人の意思を尊重しつつ,本人が今までと同じ生活を送ることを実現することだと思います。そう考えると,回収できるかどうか分からないものにエネルギーを割くよりも,今ある財産だけでも1000万円以上はあったので,それを本人のためにきちんと管理し,使ってあげることだと思い,私は回収を断念しました。
保佐人としての業務が終了した今でも,あのとき,もっと調査をしていた方が良かったかなと思うときがあります。また,この事件をきっかけに財産調査の重要性を学びました。