天才歌手・市川由紀乃さんのミラクルポップス「Hero」(安室奈美恵)
「Hero」(安室奈美恵)作詞・作曲・編曲:今井了介, SUNNY BOY2016年に発売された。安室奈美恵さんの45枚目のシングルで、NHKのリオデジャネイロオリンピック・パラリンピック放送テーマソングとして起用された曲です。CDの売上枚数、ダウンロード数共に2011年の「Love Story」以降での最大のヒット曲となっていて、2017年の紅白歌合戦にて14年振りに特別出演枠として別スタジオから中継越しで出場を果しました。<「Hero」 市川由紀乃(カバー)>この圧倒的な歌唱力!着物を着ているので、この人は、演歌歌手なのでしょう、多分・・・。演歌では滅多に使うことのない朗々とした大声量は、そのスケールの大きさも驚異的ですが、声そのものが、張りと深みと、そして、厚みと言ったらいいのでしょうか?音圧を伴うような迫力に満ちています。大声量の歌手は多くいますが、市川由紀乃さんの場合は、声量の大きさだけではなく、声そのものに迫力があり、その声質は、例えば、尾崎紀世彦さんや布施明さん、玉置浩二さん等の男性歌手のものにより近いのではないのかと思われ、身長170cmの恵まれた体格(失礼)から繰り出される、女性離れした迫力満点の張り上げる大声量は、日本の女性歌手では比較の対象はあまりなく、海外の女性歌手で、パワーバラードのセリーヌ・ディオンというよりも、シャリー・バッシー、ホイットニー・ヒューストン、マライア・キャリー、ビヨンセ等のブラックミュージック系シンガーの迫力により近いものと思われます。この「ヒーロー」の「ロー」と伸ばす歌声に代表されるこの曲の張り上げる歌唱部分の声の特徴は、鼓膜にびりびりと響くような音圧を伴う、深く、分厚いと言ったらいいのでしょうか?日本人離れした迫力ある声です。これがいわゆる本格的歌手の必須の歌声でありますが、日本の女性歌手で声量を得意とする歌手は多くいて、例えば最近ではミーシャさんや島津亜矢さん、特に島津亜矢さんのアレサ・フランクリンのカバーにおける煌くような高音は、まさに天才の輝きですが、声質的には、どちらかと言うと、弘田三枝子さんや大橋純子さんの歌唱で聴くことの出来る歌声に近く、由紀乃さんのそれはむしろ、ブラックミュージック系歌姫たちに近いのではないのかと思われます。この深く厚みのある迫力満点の大声量が、「美演歌」に多用する、とろけるような超弱音の美声や芸者歌を歌う際のあの鼻に掛かった艶やかで柔らかな歌声と同じ声帯から生まれているとは、にわかには信じがたいことです。一体、どんな声帯をしているのでしょうか?市川由紀乃さんの歌唱を聴くと、他の歌手達と違って、直接声帯をコントロールしていて、その声帯から直接、声が出て来ているという表現になるような印象を受けるのですが、それは私の印象なだけで、勿論、声帯の専門家でもなく、全く分からないことなのですが、特別な声帯を持っていることは確かだと思われ、それは柔軟性の極めて高い、柔らかでありながら強靭な声帯、とでも表現したらよいのかも知れません。それと、演歌を歌う際の、ここぞというコブシは、ぐっと沈み込んで体を絞り出すようにして出したり、ジャンルを問わず張り上げる歌声は声帯を全開し、全身を使って歌い上げていますが、それが由紀乃さんの迫力のある歌唱の魅力を生み出しているものでもあり、その120%の力を出し尽くそうとする全身全霊の歌唱姿勢が聴く者に感動をもたらすのであり、我々が芸術家という存在に向けている真摯さへの尊敬の念を湧き上がらせることにもなるのです。由紀乃さんによるこの曲のカバーは、高く張り上げる歌声の魅力もそうですがそれ以外の部分についても、歌詞の意味を丁寧に繊細に表現しており、また、リズム感も抜群で、演歌を封印した純ポップス的歌い回しも見事です。また、各フレーズの最後の語尾の「おー」と伸ばす音に付けられるフェイク、(これは演歌で言うところの「コブシ」と全く同じで、一つの文字に複数の音を当てはめて歌う音楽的手法で、クラシック音楽では「メリスマ」と呼ばれ、このようなポップスの曲では「フェイク」と呼称されるものであり、演歌が日本固有の特殊な音楽でないことを示しています)は演歌的色彩を消し去った純粋で完璧なブラックミュージック的フェイクとなっており、着物を着て歌っているからですが、市川由紀乃さんを知らない人にとっては、この人が演歌を歌うとは想像もつかないでことでしょう。この市川由紀乃さんの「Hero」の歌唱を聴くと、演歌界の二大潮流とも言うべき、市川演歌と船村演歌を統合し、その頂点を極めたうえで、「美演歌」という独自の境地を切り開いた市川由紀乃さんが、実はひょっとして演歌よりもポップスの方にこそ、その適性があるのではないのかとさえ思わされてしまいます。一体、どれほどの才能なのでしょうか?異なる曲を聴くたびにこちらの想像を超えてゆく、その底知れぬキャパシティは、まさに「音楽の申し子」と呼ぶべき才能なのではないのかと思われます。演歌の頂点を極めたと思われる歴代の歌姫、具体的には、美空ひばりさんや都はるみさん、そしてちあきなおみさんなどの歴代の天才歌手達でも、ポップスでこれほどの大声量とリズム感を見せ付けた録音を残してはいないと思いますし、逆に、弘田三枝子さんや大橋純子さん、MISIA(ミーシャ)さん、更には男性では、尾崎紀世彦さんや布施明さん、玉置浩二さんなども含めて、大声量を誇るポップス系歌手達には演歌の録音そのものさえ存在しません。そう考えてみると、市川由紀乃さんの歌唱力の大きさというものが明らかになってきます。市川由紀乃さんは、ある特定のジャンルに留まる歌手と言うよりも、あらゆる音楽に対する優れた解釈力を有し、さらにはその曲が求める理想を具体的な歌唱として実現することの出来る天才的音楽家であり、稀に見る稀有な存在であり、私たちはリアルタイムでそれを経験している、と言うことが出来るのかも知れません。演歌と他ジャンルとの懸け橋として演歌の救世主となり得る存在、さらには、昭和初期のレコード歌謡黎明期から始まる、演歌を含めた日本歌謡全体の集大成を成し得るのは市川由紀乃さんその人であろうという、このブログの当初からの主張は、そこに起因しています。ファンとしての最大の願いは勿論、由紀乃さんの幸福でありますが、この稀有な才能を末永く発揮して欲しいと思っており、そのためには出来るだけ広い年代の多くのファン層を獲得することが重要であり、少なくとも由紀乃さんと同世代、出来ればそれよりも下の世代のファンの心を掴むことが理想であろうと思われます。由紀乃さんの少女から青春時代を過ごした80年から90年代に掛けての世界的に受け入れられているシティポップを始めとしたポップスや歌謡曲、アイドル歌謡、アニソン等をより精力的に歌って欲しいと思います。まさにこの曲の安室奈美恵さんの楽曲や、先日の「新BS日本の歌」でカバーした高田みずえさんやキョンキョンの曲など、より同世代の人々に受け入れられる曲のカバーなども重要でありますが、由紀乃さんが個人的に歌いたい歌を基準に選曲するという、ちあきなおみさんがそのことによって、自らの才能を開花させたセルフプロデュースが最も大切であります。是非それを実現して、市川由紀乃さんの偉大な才能を世に知らしめて欲しいと切望しておりますし、真のファンとしてはそれを温かい目で見守り、力強く応援してゆくべきであろうと考えております。併せて、演歌も含めた日本歌謡の集大成もライフワークとして取り組んでいただけたらなあ、とも思っています。それでは市川由紀乃さんの信じられない程の歌唱力の広さを実感するために、「Hero」と「細雪」 という全く対照的な、歌唱技術的には両極端と言えそうな曲の実際の歌唱を聴いてみましょう。再生リストで連続して視聴してみるとよく分かります。<「Hero」「細雪」 市川由紀乃(カバー)>・下記ユーチューブ再生リストで連続視聴できます。- YouTubeYouTube でお気に入りの動画や音楽を楽しみ、オリジナルのコンテンツをアップロードして友だちや家族、世界中の人たちと共有しましょう。www.youtube.com<「Hero」 市川由紀乃(カバー)><「細雪」 市川由紀乃(カバー)>如何だったでしょうか?これが同じ一人の歌手による歌唱だと、同じ声帯から発せられた声だと思えるでしょうか?七色の声どころか、火と水ほどに違う声と歌唱でありますが、一点だけ共通するのは音としての声の美しさです。市川由紀乃さんはどんなに大声量で張り上げても、決して音としての美しさを失うことがありません。それは天性の優れた声帯の持ち主であるということではあるものの、由紀乃さんの音楽に対する美意識がその最大の理由なのだろうと思っております。NHKのリオデジャネイロオリンピック・パラリンピック放送テーマソングとして起用された有名曲でありながら、カバーする歌手は意外と少なくて、名の知れたプロ歌手ではX JAPANのボーカリストToshiさんや島津亜矢さんくらいで、それ以外にはサビをそれほど張り上げる歌唱は少なく、そもそもオリジナルの安室さんもそれほど張り上げている訳ではありません。それぞれのカバーを聴いてみると、やはり、由紀乃さんのサビの張り上げる歌唱は男性歌手のそれに近く、声量に自信がないとこの曲のカバーはし辛いということなのかも知れません。「Hero」(安室奈美恵)作詞・作曲・編曲:今井了介, SUNNY BOY・下記ユーチューブ再生リストで連続視聴できます。- YouTubeYouTube でお気に入りの動画や音楽を楽しみ、オリジナルのコンテンツをアップロードして友だちや家族、世界中の人たちと共有しましょう。www.youtube.com<「Hero」 市川由紀乃(カバー)><「Hero」 市川由紀乃(オリジナル)><「Hero」 Toshi(カバー)><「Hero」 島津亜矢(カバー)><「Hero」 丘みどり(カバー)>・他カバー歌唱<「Hero」 (カバー)><「Hero」 (カバー)><「Hero」 (カバー)><「Hero」 (カバー)><「Hero」 (カバー)><「Hero」 (カバー)><「Hero」 (カバー)>