大事な実験は、、 | In my life ~研究・育児日記~

In my life ~研究・育児日記~

2011年5月ー2014年2月までBostonに留学していました。
現在は帰国して臨床、教育に追われる日々です。

最近のラボは大きな人の入れ替わりもなく平和に過ぎています。

が、、、

今朝、かなり機嫌が悪いアメリカ人のLさん。
席が近いので、ドキドキしながら見ていました。

理由は昨夕の出来事にあるようです。

私たちのラボがよく使うモデルマウスがあるのですが、昨年、J社のコロニーがクラッシュしたらしく、表現系が以前のコロニーと全く異なるというトラブルがありました。

J社と交渉して、別のコロニーのマウスを取り寄せてもらうことにし、彼女は最近ようやくそのマウスを用いた実験が再開しました。

そのマウスに薬剤を投与し毎週、採血と採尿をするという実験で2ヶ月間続けなければなりません。
実薬と擬薬に分けて4匹ずつ、計8匹で行っていたみたいです。

アメリカ人のLさんはPIなのでテクニシャン、ポスドクがいて、テクニシャンのRさんに採血、採尿を任せています。

先々週、1週間バケーションをとっていたLさん。その間はマウスの注射、採血、採尿をすべてテクニシャンのRさんに任せていました。

そして昨日、Lさんがマウスに注射をしようとしたところ、あることに気づきます。。。


イヤタグがスワップしている。。。


いつの間にか、実薬投与群のマウスと擬薬投与群のマウスが入れ替わっていたらしいのです。
採尿や採尿する際は、一度マウスをケージから出して行うので、戻すときに入れ替わった可能性が高いのですが、それがいつ起きたかは不明です。PIのLさんは、テクニシャンのRさんのせいと断定しています。しかし休暇中に起きたことであれば、Lさんにも責任があります。

マウスを手に入れるのに約半年以上、実験開始して約1ヶ月半。
これまでの時間、お金、労力が無駄になった瞬間でした。。。


今日、いつも陽気で元気なテクニシャンのRさんの顔色が悪く、早退していました。

この事件、ボスの耳にも入っていることでしょう。

「大事な実験は、人に任せずに自分で行うか、絶対に信頼のおける人にお願いしなさい。」

といったラボ内の格言が心に沁みた一日でした。