揺れる馬車の中で
雷真は小さく呟いた。
「スタートアップ」
視界中央に文字が浮かぶ。
≪SYSTEM起動中≫
「...おお、来た来た」
続けて文字が切り替わる。
≪ADAPTING≫
線が走り、視界に
薄い光が流れる。
派手じゃないのに
やたらカッコいい。
無駄な英語表記も良い。
「...うん、完璧だ想像通り」
起動画面が消え
初期設定画面が出現する。
≪初期設定≫
文字の大きさ/濃さ/HUD配置
マップの位置・大きさ
「よし、やるぞ」
ーーそして、気が付けば
数時間経過していた。
文字の濃さを一段階薄く。
ミニマップは右下に
微妙に寄せて。
ステータスバーは邪魔にならない
位置に半透明で。
「この絶妙な位置...
天才か?俺」
最終的に視界は驚くほど
見やすくなり、
雷真は深く満足の息をついた。
(完璧。これ以上ない)
ふと馬車の小窓を見ると、
外はすっかり夕暮れだった。
「え、そんなに経った?」
馬車は揺れ続けている。
雷真は視線を戻し
自分専用HUDを
もう一度眺めた。
「いや、でもこれは
時間かける価値があるだろ」
異世界の旅路は今日も平和に
過ぎていく。