最高司祭の、
校長先生すら裸足で
逃げだすレベルの
長~い祝辞がようやく終わった。
会場の空気が「助かった...」と
一斉にゆるむなか
静かに歩み出たのは
副司祭ラグナ・フィール。
最高司祭と比べれば柔和だが
口調は簡潔で淡々としていた。
「では、ここからの説明は私、
副司祭のラグナ・フィールが
担当いたします。
どうぞ席にお座りください」
「まず、この場には
10か国の代表者ーー
その中には王自ら
お越しの国もございます。
これより皆様には
1人ずつ代表者との
個別面談を
受けていただきます」
「なお鑑定スキルは
使用できません。
大国による強い召喚者の
奪い合いをさけるためと
されています」
必要最低限の説明が続く。
「面談の結果
各国から順に選ばれます。
その後、皆様は選ばれた
国へ赴き
魔獣討伐と戦闘能力の向上
基礎生活の確立に
取り組んでいただく
流れとなっています」
「それでは、これより
順に呼びます。
指名された方は前方へ
お越しください」
ーーーーーーーーーーー
あの日10か国の代表者たちと
面談したあの場所から
すでに3か月が経っていた。
とはいえ雷真がしたことと
言えば、ほぼ馬車に揺られ
続けるだけだった。
ガタンッ...
ゴトンッ...
衝撃が容赦なく腰に
突き刺さる。
「はぁ...これ、あと
3か月も続くのかよ...」
雷真は馬車の壁にもたれ
深い溜息をついた。
聖オルドリア教国での面談後
ヴェルドラン王国に選ばれた。
移動だけで半年かかる。
教会からヴェルドランまでは
距離があり、魔獣をさけるための
大きな迂回、補給地が少ない事
すべてが旅を遅らせる。
「地球の道路がいかに
神だったか身に染みる」
舗装されたアスファルト。
衝撃を吸収するサスペンション。
数時間で国をまたげる世界。
全部が恋しい。
「まあ、揺られるだけで暇だし
到着するまでにスキルの
確認くらいはしておかないとな」
亜空間での自己情報の偽装は
制限時間もあり
かなり速足であった。
実際に使えるかどうか
能力の把握に充てるつもりだ。
「よし、スキルチェック始めるか」
ガラガラッ!
ドンッ!
「っ...うお...」
こんな旅が、
あと3か月続く。