ドアをノックする音で
雷真は目が覚めた。
「雷真様、朝です
起きてください」
「は、はぁい」
眠気が微妙に残っていて
気の抜けた返事を
してしまった。
昨日は
少し感傷的になってしまい
引きこもりそうに
なったが、今の立場では
そうさせてくれない。
眠気を覚ますため
水魔法で空中に
ウォーターボールを出し
顔を洗った。
冷たい水は一気に
目を覚ましてくれる。
その後は
一階の食堂で朝食をとり
素早く準備をして宿屋を
出だ。
もう少しゆっくりしたいのだが
基本的にこの馬車の旅は
一泊して街を出る。
世知辛い話だが
旅の予算に余裕が無いらしい。
街の外は危険が付きまとう。
魔獣や盗賊がこれまで何度か
現れた。
しかし騎士が護衛しているので
雷真自身に被害が及んだことは無い。
少しくらい戦ってみたかったので
聞いてみたら
スッパリ却下された。
理由としては
いくら能力があったとしても
初陣であっさり死んだり
大けがをおう事が良くあるらしい。
こんな所で死なれたら
周辺国家から笑いものだと。
この事を言った兵士は
どこか雷真の事を見下している
雰囲気だった。
この兵士だけではない
他の兵士や
召喚されたときに雷真を
選んだ高位貴族も
はずれを引いた。
少しは役に立って欲しい。
それくらいの期待値なのだろう。
日本で暮らしていた時も
人の感情を敏感に察して
しまう気質だったので
周りの人間が何を感じているのか
良く分かった。
だからか
なるべく怪しまれない様に
スキルを使用することが無かった。
しかし考えを変えた、
この世界は不便すぎるし
1人で生きていくにはきつ過ぎる。
スキルを使わないとやってられない。
目立ちたいわけじゃないが
人の目を気にしていても
しょうがない。
地球知識辞典をHUDに
表示し異世界ものラノベを
見て異世界の予習をする事にした。