・その姿は原始的というよりも、大変お洒落に、私の目には見えた。
髪は先の子とはまた違った、凝った結い方で結われていて、
綺麗な生花が、髪に留められていた。
・まるで想像上の楽園の存在ででもあるかの様に、
彼女の姿はジャングルに溶け合っていた。
顔も他の2人同様、極めて端正で、清潔感があった。
・そして何よりも、彼女達の豊かな表情に驚かされた。
人間の顔は、その人の育った背景を一瞬で伝えるのだと、この時思った。
・楽しそうな、無邪気な目の表情は、単に可愛いだけではなく、
私をあらゆる束縛から、解き放つかの様でさえあった。
・こんなにも澄んだ目を、私は見たことがあっただろうか。
彼女達の存在は、神話世界に紛れ込んだかのような錯覚に、私を引き込んだ。
・M老人からお堂で見せてもらった『老子』への興味は、この一瞬で消え去った。
私にとっては、この彼女達の存在の方が、遥かにインパクトがあったからである。
~~ 中略 ~~
・この村での時間はゆったりと流れ、農作業や織物をするのにも、
仕事に追われているという風では、決してなかった。
・農作業などでは、皆が同じ歌を歌い、歌に合わせながら収穫したりする。
日本の農作業ほど大変ではなく、ほとんど植えておけば、
収穫するだけのものが多い。