私のブログでも

ちょこちょこ出てくる


ゲイの生き字引、

伏見憲明先生


新刊『団地の女学生』を読みました!!



団地の女学生/伏見 憲明

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団地に住む、かつて団地の女学生だった人の
お話が2つ収録されています。


1つ目は、

「爪を噛む女」ツメ


読み終わって、
デトックスされたような気持ちになりました。
文字通り、解毒。


主人公は
町田美弥(現在派遣ヘルパー・38歳独身女性)。


中学時代に
デュオグループ「タペストリー」を組んだ
白川都と再会することで、物語は展開します。


自分よりも冴えない
地味な存在だった白川都

しかし、
彼女は、高卒後、有名歌手の
白川Miiyaとして華々しくデビューしてしまうのでした。


美弥は、
何モノにもなれていない自分と、


脚光を浴び続けてきた

幼馴染の姿に翻弄され、
嫉妬したり、劣等感を覚えることになります。


その心理描写は、
見事なほどリアルで、

私は読みながら、
美弥の吐いた
たっぷり味わいましたドクロ



が、このの味に覚えあり。


あー
いやだ
いやだ


自分にだって、
あるじゃないか


私は、
こういう毒が自分にも
湧き起こることを恥じてきたし、

嫌悪してきたし、


そんな自分は認めたくなかった。

ダサい自分を封印するため、
ずーっと

秘密にしたいと思ってきたはずだ。



しかし、本の帯文を読み返して、


「うーむ、ちくしょう、
人間って本当に薄汚くて愚かで滑稽で、
むちゃくちゃ可愛い生き物だよなぁ……。」

(中村うさぎさんの推薦文)


そうだ、
この毒は、
人間の愚かさ、醜さ、弱さなんだ。


そして、
皆、どこか、そんなところを
持ち合わせながら

時に、格闘しながら生きているんだよね

と、気持ちが楽になりました。



美弥は、物語の終盤に


「すべてを受け入れることしか私には
残されていないのだろう。(中略)


矛盾も理不尽も

不公平も悪意もなにもかも、

消化しきれないままに

腹にしまい込んで、

いつかそれを今生のへの

テロで爆発させてやるのだ」


と高ぶるのですが、

こんなドロドロとした気持ちが、


思いがけないことで、
ぶっ飛ぶほど、
愉快で爽快な終わり方をします。



そのシーンが

私的にかなりツボで、
あまりに気持ち良いので、
何度も読み返してしまいました。


さすが、伏見さんっこれ


2話目の「団地の女学生」も、
1話目と同じく、血縁ではない人間関係の面白味が伺えます。


近過ぎて言えないことや
知らなくてもいいことなど
いろいろあるし、


むしろ、家族ではなく
他人だからこそ、必要な関係
というのもあるのかもしれない。


こちらも、ウルっとしながら

じんわりと、暖かい気持ちになれます。


私は、伏見さんを

・作家
・社会学者
・ゲイリブの活動家
・ゲイバーのママ
・知的かつ皮肉たっぷりの噺家


などなど、多才な様々な面を
お慕い申し上げているのですが、


また、今回も
いつもの伏見ワールドに共通する


鋭くて深ーい洞察と、
根底に流れる

人間へのまなざしの「暖かさ」


を感じました。


伏見さんの作品を読むと、

自分ひとりでは辿り着かなかった思考や

言葉にできなかった感情を


とても分かりやすい言葉で

表現してくれるので、

いつも自分の「扉」が開かれる感覚があります。


皆さん

ぜひぜひ、読んでみてください!

伏見ワールドを堪能してちょ!


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それにしても表紙の女の子が
キモ可愛くてナイスクラッカー

伏見本は、

こちらも、とても勉強になりました!!


欲望問題―人は差別をなくすためだけに生きるのではない/伏見 憲明

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