最近、AIに関する相談を受ける機会が増えました。そのたびに私は30年前のOA化ブームを思い出します。
創業当時、多くの中小企業では請求書作成や売上管理を電卓やそろばんで行っていました。
月末になると数人の社員が請求処理に追われ、本来の仕事が止まってしまう会社も珍しくありませんでした。
そんな時代にパソコンや販売管理ソフトが登場しました。
しかし当初は「難しそうだ」「今のやり方で十分だ」という声も多く、導入をためらう経営者も少なくありませんでした。
それでも導入した会社は業務効率を向上させ、生産性を高めていきました。
一方で導入を先送りした会社は、次第に競争力を失っていきました。
現在のAIも同じような状況に見えます。
ただし、30年前のOA化と大きく違う点があります。
OA化は主に事務作業を効率化するものでしたが、AIは資料作成、文章作成、データ分析、情報収集など、人間の知的作業そのものを支援できることです。
だからこそ、多くの人が戸惑いを感じています。
しかし私は、AIが人間の仕事を奪うとは考えていません。
30年前もパソコンが経理担当者をなくしたわけではありません。
仕事のやり方を変えただけです。
AIも同じです。
AIを使う人と使わない人の差は広がるかもしれませんが、最終的に判断し責任を負うのは人間です。
35年間、中小企業の変化を見てきて感じるのは、「新しい技術を恐れなかった会社」が生き残ってきたということです。
AIは特別なものではありません。
そろばんが電卓になり、電卓がパソコンになったように、新しい道具が一つ増えただけです。
その道具をどう活かすかが、これからの企業経営に問われているのだと思います。

