最近、リカバリーウェアが注目を集めています。
特殊素材が体を温め、疲労回復を促すという触れ込みで、多くのブランドが市場に参入しています。
ところが私は、この流行を見ながら35年前の出来事を思い出さずにはいられません。
実は、私が転職した遠赤外線発生セラミックス製造のベンチャー企業でも、まったく同じ発想の製品を企画していたのです。
当時、遠赤外線の存在はまだ厚生労働省の認定を受けておらず、科学的根拠として扱われるには時代が早すぎました。
技術はあった。
素材もあった。
アイデアも今と同じレベルで存在していた。
しかし「市場が受け入れる準備ができていなかった」という一点で、製品化は実現しませんでした。
結果として会社は特許詐欺に巻き込まれ、半年で倒産。私自身も再就職を諦め創業し、人生の大きな転機となりました。
.この経験から痛感したのは、「良いアイデア=成功」ではないということです。
どれほど優れた技術でも、社会がその価値を理解するタイミングが合わなければ、事業として成立しません。
逆に言えば、時代が追いついた瞬間に、同じアイデアが一気に花開くこともある。
今のリカバリーウェア市場は、まさにその典型でしょう。
ビジネスにおいて大切なのは、アイデアそのものよりも「時代との相性」です。
早すぎても遅すぎてもダメ。
技術・市場・社会の理解が揃った瞬間にこそ、アイデアは価値を持ちます。
毎日、娘からプレゼントされたリカバリーウェアを着用するたびに、そんな技術の時間差と、人生の不思議さを感じています。

