あいせきさん -3ページ目

あいせきさん

http://aiseki.net
http://hw2.work
http://welwel.sub.jp

日本政府は、まだわからないのか。

 

生活できない母親に、なぜ監護者を指定する。

 

これだけ虐待死が増え、ネグレクトの加害者が母親に多いことを、厚生労働省はエビデンスで知っているが放置している。

子どもが父親と自由に会っていれば、このような事件は大半防げる。なぜ、子どもの生きる権利を無視するのか。

 

子どもに優しくない国、日本。

子どもを殺す親を厳罰に処するべきである。子どもを殺して6年~8年で本当に良いのか。殺された子どもは帰ってこない。

 

なぜ父親は、子どもと再会できても遺骨なのか。この日本の人権感覚は、未だ子どもを親のモノとして制度を運用している。

今一度、国民は、子どもの笑顔を思い描いてほしい。

 

一人で待たされ、死んでいった、この約3歳(2歳11か月)の陽璃ちゃんは、
お話がたくさんできて、保育園に行っていれば、友達と楽しく遊び、楽しくご飯を食べて、いつも笑顔で駆け回っている可愛い子。

 

不毛にもなぜ、親のエゴで殺されるのか。

なぜ父親は、遺体と対面しなければならないのか。

 

本当に悔しくて悔しくて涙が止まらない。

日本政府は、いつまで放置するのか。。。

 

https://eigadorobou.com/tutiya/

 

https://eigadorobou.com/risa/

とうとうフランスが動いた。我々の同志ヴィンセントの行動力に感謝。

 

以前、EU26ヶ国大使、連盟で日本政府に声明を出した。
https://jp.ambafrance.org/IMG/pdf/lettre_ambassadeurs.pdf...

 

そしてアメリカがハーグ条約不履行国に指定した。
しかし、日本政府は民事執行法改正案を可決させ、不履行国ではないかのように誤魔化した。

 

確かにアメリカは不履行国から外したが、フランスは、本質を見抜いていた。

そんな事で解決には至らない。子どもの拉致誘拐が根本にあることが問題である。

 

子どもを連れ去り、子の身代を解放せず、子を拘束して金銭を要求する。明らかに子どもの身代を盾にした人身売買。

 

japan in depth 2019/7/1

 

https://japan-indepth.jp/?p=46509

 

2019年3月21日、フランスで、日本人による「子供連れ去り」のドキュメンタリーが放映された。そこには、日本人女性と国際結婚をしたが、離婚後から子供と会えない状態が続き、日本の家族の家にテレビカメラと共に強引に乗り込んで面会を求め、「子供を連れ去られた」、「誘拐だ」、「外国人だから拒否するのだ」と語り、泣き崩れるフランス人男性たちの姿が映し出されていたのだ。

このドキュメンタリーが放映されたことを受けて、ツイッターなどのSNSでは「フランスに来たら、子供を違法に連れて帰ってはいけないのだと教育をすべきだ」「父親のことを思うと、決して許される行為ではない」などの厳しい言葉が並んでいた。

 その後も、フランスに住む日本の著名人たち(例えば、辻仁成さんや中村江里子さんら)が、フランスで「連れ去り」が問題になっていると次々に紹介しており、日本人女性が国境を越えて子どもを不法に日本に連れ去ったという話しであるかのように話題にされていたのだ。

 だが、この番組を見た時に何か違和感を感じた。なぜなら、この家族たちは、フランスではなく、はじめから日本に住んでいたと紹介されていたからだ。通常「連れ去り」と聞いて思い浮かべるのは、フランスに住んでいた子供をフランスの法律に反して日本に連れて帰った事例だ。しかしこのドキュメンタリーは、日本で起こったことであり、日本の裁判所からの指示書も持っているなど、日本女性たちは日本の法律に従っており、問題がないように思えたからである。

 その後、6月25日付けのフランス紙レゼコーの記事を読み「合法の誘拐」という言葉を見て、ようやく理解した。問題としているのは、多くの人が思っているようなフランスの法に反して、フランスに住んでいる子供を勝手に日本に連れてきた話しではない。日本には「共同親権」がないという話しなのだ。日本で離婚した場合、「単独親権」になることが問題になっているのである。しかもDV(ドメスティックバイオレンス)などの問題が伴うなど、親権者との関係が悪い場合は、その後、子供に会えない状態も発生する。そのことが受け入れられないとしているのである。

 

日本では、現在は離婚すると、父または母のいずれか一方が子供の親権を持つ。これを「単独親権」という。離婚してしまうと、父親と母親で親権を共同行使ができなくなってしまうのが今の日本の法制度だ。これに対して、離婚後も両親が、共同で親権を行使するような制度を「共同親権」という。欧米では、「共同親権」が制定されている場合がほとんどである。ハーグ条約は、子供が国外に連れて行かれた場合に、国を越えて面会するなどの権利を実現する条約とも言えるが、今回は国境を越えて所在する親と子が面会できない状況ではなく、「単独親権」が法で決められた日本国内の話なのである。そこで、冒頭の「合法の誘拐」という言葉に結びつくのだ。

 

記事によると、子供との面会を求めているフランス人ヴィンセント・フィショさんは、離婚騒動が起こった時点で、家族とともに、フランスではなく日本の世田谷の住宅街に住んでいた。ところが、ある日フィショさんが家に帰ると、妻と子供達の姿がなく、その後、妻の弁護士から連絡が来たという流れだ。妻はフィショさんからDVを受けていたと訴えて、保護シェルターで過ごした経緯がある。フィショさんは、元妻のDV証言は虚偽であると主張し、子供との面会を求め続けている。フランスの裁判所で親権を持つ判決を得たが、もちろん日本では無効であり、フランス本国、大使館にも助けを求めたが、住んでいる国の法律を尊重することは当然のことであり、何もできないと言われた。

 ドキュメンタリーに出てくるフランス人男性エマニュエル・ド・フルナスもほぼ同様のケースだ。番組内で元妻のもとに行き、子供に話しかけるが、元妻が警官に説明している話しによると、日本の裁判所の判断が書面で存在するのだろうか、面会できないことになっているという。それに対してフルナスさんは、「フランスの裁判所の判断ではできる」と証明書を見せるが、「それはフランスの話しでしょ。ここは日本です」と反論される。

 ドキュメンタリーに出てくるフランス人男性ステファン・ランベルトさんも東京近郊に家族と住んでいた。しかし、激しい口論をした次の日に、妻が子供を連れていなくなったという。長い裁判を経てようやく、月4時間、子供と面会する権利を得たが、元妻は現在も面会することを拒否している。そこで、ランベルトさんは、元妻の親の家を何回も訪ね、誰かが何か行動を起こしてくれるかもしれないという期待とともに、周りに知ってもらうために時にはわざと近所に聞こえるような大声で「子供に会わせてください」と懇願もした。ドキュメンタリーでは、テレビカメラを連れて、許可も取らずカメラを向けながら、グイグイと玄関内まで押しかけ、元妻の母親をまくしたてるのだ。最後には、警察が仲裁に入ったようだ。

 ランベルトさんについて言えば、面会を許されても、現在の法制度では面会を強制執行することはできず、結局のところ拒まれてお子さんと会えないことは気の毒ではあるが、この様子を見ていると、強引な侵入を受ける側は、これ自体を暴力行為として感じるだろうというのが正直な感想だ。

 元妻側の主張はどこにも出てこないので、実際の状況は分からないが、こういった強引なやり方は、穏やかな日本では非常識な行動とも言えるだろう。この類の強引な態度をいろいろな形で日常で行われていたならば、日本人女性はモラルハラスメントを受けていたと感じていた可能性も否定できない。また元妻側としてみれば、現在ランベルトさんが住んでいるのはハーグ条約が結ばれていない台湾であり、反対に子供を連れて行かれた場合、元妻側の方が子供と一生会えなくなる危険性もある。フランス人側の主張のみが流されるが、この問題には、両者ともに理解してない、文化の違いを大きく感じさせられる。

 さらに、ドキュメンタリーの最後では、フランスのパリ日本文化会館の前で、「私達の子供は、日本に拉致されました」という横断幕を持ちデモを行った様子が紹介される。「フランス人の子供達が日本に誘拐された」、「日本は子供の人権を守っていない」とフランスでも訴えたのだ。ここでも、日本の法にのっとって離婚しているにもかかわらず、「拉致された」という強い言葉を浴びせかけられているのだ。

 なぜ、日本だけ単独親権になったのかと調べてみたが、単に昔からそうされていることが現在まで続いているだけに過ぎないようだ。しかも昔から続いてきた習慣でもある単独親権は、離婚も少なく、文化的に適合していた日本では長い間多くの人が納得していた制度だったのだ。

 戦後すぐは父親が親権を持つことが多かったが、1966年を境に母親が親権を得る割合が逆転し、現在は8割が母親が親権を持つようになった。そして離婚後は母親が子供を育て、父親が養育費を払い、たまに子供と面会する場合もあるという形が一般的になっていったのである。そのため、日本では、離婚とはそういうものだという感覚も強く、子供と会えない状況に使う言葉としても「親権を取られた」または「母親(父親)の方に引き取られ」というような表現で語られることが多い。

 しかし、共同親権が普通の国では、自分が子供と会えない状態は「連れ去り」など、犯罪を匂わす強い言葉が使用される。例えば、英国では、親権者による一カ月を超える連れ去り行為は、1984年児童虐待法によって「拉致」と定められていたりするなど、「誘拐」であり「虐待」であると、ネガティブな強い言葉をもって、子供と会わせない相手を非難することが主流になっているのだ。

 その結果、日本人女性から見れば、「単独親権」の日本に住み、日本の法にのっとって行動し、法を守っている立ち場であるのにもかかわらず、「拉致」や「誘拐」などの思ってもみない強い言葉でののしられ、責め立てられるという不当な扱い受けているとも言える。

 しかし、「共同親権」がある国から日本に来た外国人は、離婚した時に共同親権がないことを初めて知り、自国と同様には子供に会えなくなることに対する悲しみは深い。思い通りにいかない憤りと悲しみから自殺者もでているが、中には元妻に直接過激な行動を起こすこともあり、殺人まで起きている。3月20日、東京都千代田区霞が関にある東京家庭裁判所の1階建物内で、女性が刃物で首を切られて殺害された。女性は離婚協議のために家庭裁判所に出向いたところ、協議相手の米国籍の夫が持っていたナイフで刺されたのである。

 不幸な状態から抜け出すために離婚するのにもかかわらず、日本と結婚相手の国の制度の違いによるもつれから、離婚後は、さらに両者が幸せになれない事態に陥っているのである。

 

こういった状況を受け、現在、日本でも「共同親権」の見直しに向けた動きは既に始まっている。5月9日に法務省により「共同親権制度」導入可否の検討に入ることが決まったことが発表された。「共同親権」に対する検討に先立ち、法務省は外務省を通じて7月末までに24カ国の制度を調査し、問題点を整理する方針だ。

また日本でG20大阪サミットが開催され、マクロン大統領が来日したことを期に、前出のフランス人男性たち、フィショさん、フルナスさんおよび、ランベルトさんがマクロン大統領にこの問題の解決を訴えた。それを受けマクロン大統領は、日本のフランス人コミュニティへのスピーチの席で、「われわれは彼らの側にいる」と彼らに寄り添う姿勢を示しており、フランスからなんらかのアプローチもあるかもしれない。

 「共同親権」の問題は、各国の間には数多くの制度の違いがあり、その制度の違いは、はざまに生きる人々を不幸にする場合があることを深く考えさせられる。また、時代の流れとともに、現在では日本国内でも「共同親権」を求める声が広がってきていることも事実だ。今後どのような調査結果がもたされ、日本がどのような判断を出すかはまだわからないが、こういった制度の違いが理由で不幸になる人々が、今後はもっと減少していくことを願わずにはいられない。

ulala(ライター・ブロガー)

 

 

出典)Pixabay Gerd Altmann    

 

タグ: フランスUlalaハーグ条約共同親権単独親権子供連れ去り

 

 

https://courrier.jp/news/archives/118486/?fbclid=IwAR1i3eXxg9KHQ2FFXfaeAUIgygUb0jtp9rbMtU7zvEEXBmRVZMf9Fe0EWCo

 

クーリエ・ジャポン 7min2018.4.14

 

日本人妻による「国際的な子の奪取」に直面し、訴訟を起こしている外国人の夫たちがいる。そのうちのあるイタリア人の父親の場合を、イタリアメディア「リンキエスタ」が取り上げた──。

日本人の妻と結婚し離婚したあと、子供と面会する権利があるのに、会うことを許されずにいる、日本在住イタリア人の父親たちがいる。

日本で離婚時の片親による子供連れ去りが非常に複雑で微妙な問題であることは、海外ではほとんど知られていない。

ジャンルカ・サライスは、43歳のイタリア人で日本在住。彼は日本人女性と結婚したが、その妻は、生まれたばかりの息子レオナルド・ルイを連れて家を出ていったきり、息子に会わせてくれない。

ジャンルカには息子との面会の権利があるはずなのに、2015年9月5日、付き添い人たちに監視された状況で55分間会ったのが最後だ。

そんなジャンルカに起こった出来事を数ヵ月にわたり追った──。
 

ジャンルカ・サライスと息子のレオナルド・ルイ

 

 

2年以上も息子に会えずにいるジャンルカ


ジャンルカと妻との裁判はいまから約3年前に始まった。

東京で暮らしていた2人のあいだに息子レオナルド・ルイが生まれると、初めの2ヵ月は北海道にいた妻の母が上京して手伝っていたが、実家で娘を手伝うほうがよいと、娘と孫を連れて北海道に戻っていった。

妻は北海道へ戻って間もなく、よりよい環境のなかで息子を育てたいと、東京には戻らないことを決めた。

ジャンルカも、家族のそばにいるため、東京での仕事や家を捨て、北海道移住を決めた。妻が欲しがっていた車を買い、妻と息子を迎えるための家まで準備した。

だが、彼女たちが引っ越してくる数日前、ひとりの女性が訪ねてきて、イタリア語でこう伝えに来た。

「私たちのことは忘れて、イタリアに帰って!」

そして、妻からの離婚申立と息子との面会禁止を言い渡したのだ。

この出来事でジャンルカは壊れてしまった。こうして離婚後の、子供との面会交流権、親権を巡る長い法廷での闘いが始まった。
 

関連記事:ハーグ条約違反! 日本が「国際的な子の奪取」を看過する理由


日本での国際結婚の場合、一般的には日本人の配偶者の姓を選ぶことが多いが、彼らは結婚の際、ジャンルカの姓を選んだので、息子の姓もサライスとなった。だが離婚後、妻は旧姓に戻り、息子の姓も妻の旧姓に変えられた。

日本の離婚に関する法律では「共同親権」の定めがなく、父母のどちらか一方が親権を持ち、その親権者が子の姓の変更を申請できるのだ。

結果、ジャンルカは子供に関するすべての権利を失うこととなる。いまも、妻と息子の住所さえわからずにいる。息子は、AIRE(イタリア人海外居住者戸籍簿)に登録されているにもかかわらずだ。

法廷闘争は現在進行形なのに、親権をめぐる手続きは先に進んでしまっている。事実、妻から彼に対して出された告発はすべて退けられ、どの判決でも勝ったはずなのに、いまだに息子に会う権利を行使できないでいる。

ジャンルカは怒りをぶちまけ、こう語った。

「息子との面会に関していえば、仲裁でもそれに続く審判手続きでも、裁判官は、私が息子に月1回1時間会うという条件を命じました。

日本ではその条件が慣例ですが、妻がこの権利すら拒否したので告訴しました。

私たちはここ日本にいて、日本の法律を受け入れねばなりません。ですが、これほど人として不正なことを見過ごすわけにはいきません!

この法的慣例は、子が制限なく親に会うという神聖な権利に反しています。どんな場合であれ、親は親であり続けるべきです。

妻はこの月1回1時間の面会まで拒否しているのです、2つの判決が出ているにもかかわらず。

だから、彼女が判決に従うよう裁判所に命じてもらうため、控訴しました」

控訴した札幌の高等裁判所は、2017年12月22日、息子との面会交流権をジャンルカに認める、前回と同じ判決を下した。

この判決に不服だった妻は、さらに東京の最高裁判所へと上訴した。この判決が下るとき、最終的な結論が出ることになる。

ジャンルカは言う。

 

https://savechildren.amebaownd.com/posts/5964161

 

(事件の概要)

離婚係争中に母の監護下にある2歳の子を別居中の共同親権者である父が有形力を用いて連れ去った略取行為につき違法性が阻却されないとされた事例

(裁判経過)

第一審 平成16年3月9日 青森地裁八戸支部 判決 平成14(わ)170号

量刑 懲役1年

上告

平成16年8月26日 仙台高裁 平成16(う)69号 未成年者略取被告事件

(判決の理由:抜粋)B(被告の妻)C(被告の子)

刑法224条は,その主体を限定しておらず,また,同条にいう略取とは,暴行,脅迫により,人をその保護環境から切り離し,不法に自己または第三者の実力支配下に置くことを言うのであるから,親権者であるが故に,事情の如何にかかわらず,当然に,その子について未成年者略取罪の主体となり得ないとか,略取をしても不法性を欠くとはいえないところ,本件では,被告人は,Cの共同親権者であるとはいえ,前期認定事実のとおり,Bとの夫婦関係が破綻する仲,Cが,平成13年9月15日以降,本件被害に遭う同14年11月22日までの訳1年2か月の間,1〈7〉の被告人らにより沖縄に連れて行かれた10日間を除き,青森県八戸市内のBの実家で一方の共同親権者であるB及びその両親に監護,養育されて平穏に生活していたのに,保育園からの帰りを狙って,1〈9〉のとおりCw連れ去って,Bらの保護環境から一方的に離脱させ,そのころから同日午後10時27分ごろまで車内に止めて自己の実力支配下に置いていたのであるから,被告人がCを略取していることは明白である。所論は採用できない。

上告

平成17年12月6日  最高裁判所第二小法廷 平成16(あ)2199号 未成年者略取被告事件 

(判決の理由:抜粋)

被告人は、離婚係争中の他方親権者であるBの下からCを奪取して自分の手元に置こうとしたものであって、そのような行動に出ることにつき、Cの監護養育上それが現に必要とされるような特段の事情は認められないから、その行為は、親権者によるものであるとしても、正当なものということはできない。また、本件の行為態様が粗暴で強引なものであること、Cが自分の生活環境についての判断・選択の能力が備わっていない2歳の幼児であること、その年齢上、常時監護養育が必要とされるのに、略取後の監護養育について確たる見通しがあったとも認め難いことなどに徴すると、家族間における行為として社会通念上許容され得る枠内にとどまるものと評することもできない。以上によれば、本件行為につき、違法性が阻却されるべき事情は認められないのであり、未成年者略取罪の成立を認めた原判断は、正当である。

 

 

9

それで終わりです。あくまでも、フランスという国に戻す手続きだってことです。
はい、この1から7で全てです。ハーグ条約については、概要は、これで終わりで
す。

00:25:45~ 「ハーグ条約を起こされても戻さなくて済むんじゃないか」の問い合わ
せ先
で、皆さん、知りたいのは、いざ日本に帰った場合に、そのまま仮にハーグ条約を
起こされても、戻さなくて済むんじゃないかと。あるいは、皆さん、既にいろんな方
に相談されていて「そういった場合には大丈夫なんじゃないの」と言われているかも
しれません。それが果たして本当かどうかてことを、これから少し話をしたいと思い
ます。
実際、私の事務所にも、外から、海外から電話がくるんですけども、結構、日本の
行政書士さんに、電話で聞きました。そしたら、戻っても大丈夫だよって言われたと
いう方もいらっしゃるんですね。そもそも、行政書士さん全然関係ありませんから
ね。電話するときには、きちんと弁護士とかに電話してください。あるいは、ちゃん
と外務省に電話してくださいね。で、フランスの国内でハーグ条約について質問する
ことは、大丈夫、良いですけども、フランスの弁護士さんはあくまでもフランスの法
律しか知りません。ハーグ条約の問題が起こるのは日本なんです。日本の裁判所がど
う判断するか、なのでフランスの弁護士に対して、日本に連れ帰った場合、戻さなく
てもいいんですかってことは、聞いても駄目です。つい最近いらっしゃいましたけど
も、赤ちゃん、ちっちゃい場合には、フランスから日本に戻ってもハーグは大丈夫だ
よって回答された弁護士さんが、フランスにいたんですよね。これ違うんですってい
うことを、これから話をしますから聞いてください。

00:26:52~ 子が新しい環境に馴染むことが、返還拒否事由になり難いことの説明
さて、ケースを見ていきますと、3番目ですよね。まずは、日本に帰ってきた後、
お兄ちゃんは、小学校に入りました。編入しました。で、お姉ちゃんも保育園に行く
ようになりました。も、すっかり日本の生活に馴染んでます。生活環境考えても、実
家の協力を得られる日本の方がずっといいと思います。子供にとって、こんなに環境
もいいし、こんなに馴染んでいるんだから、これでも返さなきゃいけないんですか、
という素朴な疑問がありますよね。もう馴染んでるじゃないのっていう話です。で、
何かこういったのが返還拒否事由になるのかなーと思って条文を見ていきますと、似
たようなものがあるんです。このレジメの方の2頁の3の(1)なんですけども、
えーとですね、子供が新しい環境に適応している、つまり馴染んだこと、って書いて
あるんです。

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# 反訳における引用
#国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律
#(子の返還拒否事由等)
#第28条 裁判所は、前条の規定にかかわらず、次の各号に掲げる事由のいずれか
があると認めるときは、子の返還を命じてはならない。......
#一 子の返還の申立てが当該連れ去りの時又は当該留置の開始の時から一年を経過
した後にされたものであり、かつ、子が新たな環境に適応していること。

ただしこれ、馴染んでればばいいってわけじゃなくて、その前に文章があってです
ね、1年経過した後、って書いてあるんですね。ま、連れ去ったりとか、連れ帰った
りとか、あるいは日本で留め置いてから1年経っていて、かつ馴染んだ場合にはもう
返さなくてもいいんですよってことを、書いてある。だから、1年以内であれば、い
くら子供が幼稚園行って頑張っていても、いくらもうフランス語忘れて日本語喋って
いても、ダメなんです。1年以内であれば、この要件に当たりません。
ここで一つ言葉として、連れ去りってとピンとくると思います。夫の許可を得ず
に、日本に急遽帰っちゃう場合ですよね。で、これ留置ってのがあってですね、留
置ってのは分かりやすくいうと、今回のケースの夫の了解を得て日本に帰るわけで
す。帰らせてくださいね、いいですよ、三か月後に帰ってきますからね、と言って帰
りました。で、3ヶ月後の、例えば、なんだろう、9月30日を過ぎても帰らなかっ
た場合には、これ留置っていうんです。一定期間は夫の許可のもと日本に居るわけで
す。ただし、その後、約束を超えて日本に居た場合には留置と、そのイメージで構い
ません。だから、このAさんのケースについては、留置に当たるわけですね。ただ
し、これAさんといいますかこの人、いついつ帰るっていう約束を、夫とはあまりし
てない状況なわけです。しばらく家に帰りますから、と言って帰ってきた。往復チ
ケット取ったと思いますけど、現実にフィックスしてる日は無いという状況で、
じゃ、いつから1年始まるんだということが、たまに問題になります。これ簡単に書
いてますけど、基本的には、この米印ですけどね。TPっていって、テイキング・ペ
アレント、お母さん、連れ帰ったお母さんと思って下さい。(お母さん)が、子供を
常居所地国、フランスに帰しませんよっていう意思を表示したと客観的に判断できる
時期、つまり、この状況であれば「もう私帰りませんから」とはっきりと言ったとか
とかですね、はっきりと客観的にわかる状況があった時から、一年が始まりますって
話です。なので、このままズルズル、ズルズルと、もうすぐ帰るんだけども、もう少
し待ってくださいと、お父さんの状況まだまだ治んないんですっていう話を引っ張っ
ていると、この間は1年て時間は始まりませんので、いつまでも1年経たないと思っ
て構いません。経ちません。よく1年間逃げ切れますかって相談がありますけども、
基本的に1年逃げるなんて不可能なんで、そんなこと考えないで下さい。結構、1年
ギリギリで裁判の申立がくることも、結構ありますんで、1年逃げることは考えない
こと。

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00:29:41~ 夫から「子どもを連れてフランスから出て行け」と言われたことが、返
還拒否事由になり難いことの説明
そうなんだ、じゃあそれは、しょうがないですねって、4番目です。レジメじゃな
いや、事例の方に戻って、ケースの4番目。
実は、私がパリに居たときに、夫から、「お前なんか、子どもを連れてフランスか
ら出て行け」と言われました。つまり、もう、なんか、要らないと、子供を連れて、
子供も母さんも妻も日本に帰っていいと言ってましたと。こうやって出て行けと言っ
たんだから同意してるんじゃないですかと。何今更、戻れって言うんですか、という
のもよくある話なんです。
じゃ、これは何か返還拒否事由になりますか、というと、レジメの2頁目の
(2)28条1項3号ってあるんですけど、これは分かりやすく書いてます。留置と
か連れ去りのときに前に同意していた場合とか、あるいは連れ去った後、留置の後に
承諾していた場合、まさに同意ですよね。あの時は、日本にはっきり帰っていいです
よ、と言ってた場合には、基本的に返還しなくていい、という話になってるわけで
す。じゃあラッキーと、メールで、とにかく同意させるようにいっぱいなんか書いて
もらおうとか、あるいはいろんなメール見ていくと、なんだろうな、それこそ、も
う、お前なんか日本に行けと書いてあったとか。で、それでもって日本の裁判所は、
はっきりと返還拒否事由だといって、返還しなくて良いっていうかっていうと、そん
な簡単ではありません。そもそも、夫の気持ちは、揺れてますよね。そら、喧嘩した
ら「戻ってくるな」と言うかもしれません。でも、その後、やっぱりごめんって、
帰って来いって、言うかもしれません。なので、基本的には、何か一言を取り上げて
同意だっていうことにならないんです。あくまでも、これに書いてますように、基本
と、あの「LBP」ってのはお父さん、レフト・ビハインド・ペアレントですけど
も、お父さんにおいて、子供が一時的に日本に滞在するに留まらず、その後も日本に
相当期間、相当長期間に渡って居住し続けることまで合意・承諾し、かつ、子供の返
還を求める権利を放棄したといえるような状況が必要です。分かります?、だから、
はっきりと書面で「君たちは、もうフランスに戻って来なくていいですよ」というよ
うなものが、はっきりと書かれているような問題じゃない限りは、無理だと思って下
さい。まあ、あの、よく、空港まで送ってくれました、とかいう話があるんですね。
で、空港まで送ってくれた段階では、同意してたかもしれません。「お前なんか帰っ
てくるな」と。ただ、その後、寂しくなって、「やっぱり戻ってきて」というメール
があったりすると、裁判所は、なかなか同意があったという風には見てくれません。
なので、この同意っていうところで、戻らなくていい、ということにはなかなかなら
ない、と思うしかありません。

00:31:45~ 夫からDVを受けていたことが、返還拒否事由になり難いことの説明
そうなんだ、じゃあ次、5番目です。「私はフランスにいる間、夫から、すごく暴

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力を受けてました。こんな場合にも子供を返還しなくっちゃいけませんか。」これ、
ハーグ条約入るときから、皆さん、よくお聞きになっていると思いますけれども、い
わゆるDVがあった場合とかに、返還拒否事由になるんでしょうか、という問題があ
ります。このあたりについて、結構、日本でも裁判のケースが積み重なってきまし
た。なので、今の状況をお伝えしたいと思います。
で、条文を簡単に見ておくとですね、条文、ここは大事なので見ておきましょう。
このレジメ編の5頁です。ちょっと字がちっちゃくて見えないかもしれませんけれど
も、28条ってのがあります。28条ってのが返還拒否事由なんですね。ここに書い
てあるようなことがあれば子供を戻さなくてもいいですよっていう条文です。

# 反訳における引用
#国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律
#(子の返還拒否事由等)
#第28条 裁判所は、前条の規定にかかわらず、次の各号に掲げる事由のいずれか
があると認めるときは、子の返還を命じてはならない。......
# ......
#四 常居所地国に子を返還することによって、子の心身に害悪を及ぼすことその他
子を耐え難い状況に置くこととなる重大な危険があること。
# ......
#2 裁判所は、前項第四号に掲げる事由の有無を判断するに当たっては、次に掲げ
る事情その他の一切の事情を考慮するものとする。
# ......
#二 相手方及び子が常居所地国に入国した場合に相手方が申立人から子に心理的外
傷を与えることとなる暴力等を受けるおそれの有無

で、この28条の漢数字四のところを見ると“常居所地国に子供を返還することに
よって、子供の心身に害悪を及ぼすこと、その他子を耐え難い状況に置くこととなる
重大な危険があること”と書いてますよね。ようするに、子供を、このフランスに返
すことによって、子供の心とか体に害悪を及ぼすこと、あるいは子供が耐え難い状況
に置かれること、そんな重大な危険って書いてあるんです。
これだけ見ると、別にお母さんへのDVって入って無いわけですけれども、この下
の方に行くと数字の二ってのがあります。今の第四号なんですけど、“四号にあたる
かどうかを判断するに当たっては、次に掲げる事情その他の一切の事情を考慮す

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る”って書いてあって、その2の、一、ニ、三の中でですね、二だな、横二ってやつ
です。2の二ってやつ、“相手方及び子が常居所地国に入国した場合に相手方が申立
人から子に心理的外傷を与えることとなるような暴力等を受けるおそれ”って書いて
あります。相手方って、これお母さんです。皆さんのことです。相手方です。ハーグ
条約をされる相手です。連れて帰る方です。(相手方)と子供が、もしフランスに今
後が戻ってきた場合に、夫の方の申立人から、子供に影響があるような暴力を受ける
ことがあるかどうかっていうことが一つの判断要素になりますって書いてあるんで
す。だから、決してDVがあった場合には返還しなくていいとは書いてません。あく
までも、条文上は、子供に心理的外傷を与えるような暴力だって書いてますね。子供
に心理的外傷を与えるDVって何だって話かもしれませんけども、それはこの事例で
いうと、かつ、裁判所がどう考えているかというと、基本的には、レジメの3頁に戻
りましょう。「暴力について」っていうのが「ア」で書いてますけども、まずは、そ
もそもバコって喧嘩で殴られました、じゃダメなんです。離婚原因になるかどうかの
暴力ってのはね、もちろん、それは言葉の暴力も当然、暴力ですし、DVに含まれま
す。ただここでいってる暴力ってのは、一定の強度の暴力が、継続的とか、恒常的、
もっぱら毎日になったとか、そういった状況がまず必要です。しかも、その暴力が子
供の面前で行われるなど、子供の認識できる状況下でされたものであること、つま
り、その暴力、お母さんに対する暴力によって、子供が害を受けなきゃいけないわけ
ですから、子供の目の前で行われているかどうかっていうことが、すごく根本となり
ます。だとすると、子供がそもそも生後6ヶ月だったら、子供、認識できないわけで
すから、いくら暴力があっても、実は、これ、「子供の危険」には当たらなくなっ
ちゃうわけです。
じゃあ、目の前でボコボコにされてました、しかも子供も見てました、すごく子供
も泣いてました。じゃあ、もうこれだし、返さなくていいんですかっていうと、更に
もう1個要件があってですね、仮にそういう状況でも、このフランスに戻ったら、こ
んど、子供とかお母さんをきちんと保護してくれるような制度があるかどうかっての
を、見るんですね。つまり、例えばフランスで、当然、保護命令とか、シェルターが
あったとか、するわけです。そんな制度があるということは、実際フランスに戻って
きても、ここでお母さんちゃんと逃げられるじゃないのと、子供を保護できるじゃな
い、だったら子の返還拒否事由に当たらないね、というのが今の日本の裁判所です。
かつ、多くの国がそういった判断をしています。

00:35:28~ DV関連証拠を、返還拒否事由とするための具体的方法
となると、じゃあ、そもそもフランスの場合、ちゃんとした法律があるんだから、
無理なんじゃないのっていうと、それは基本的にはケースバイケースです。例えば、
フランスで保護命令が取られてました。にもかかわらず、夫が無視して家に来たこと
がありましただとか、何度も何度も警察が入ったときでも、夫は、いうことを聞いて
くれませんでしたとか、あるいはシェルターに行こうと思ったら全然満員で入れてく
れませんでしたとか、そんな状況が実際あったとして、かつ、それが証明できれば、
保護要件というんですけども、この要件はクリアできると。なので自分で、これ暴力

14

があったから返還しなくていいなんてことは、自分で判断しないで下さい。基本的
に、きちんとした専門家に相談をして、かつ、どんな証拠があるかっていうことも、
すごく大事です。いくら暴力がありましたっても、全然、それは言った言わないに
なっちゃいますからね。きちんとした証拠を持って帰って来ることも大事です。例え
ば、フランスの病院に行って、きちんと診断書を書いてもらうとか、あるいはシェル
ターに入っていたならばシェルターの方に証明書を書いてもらうとか、警察に行った
ならば警察に相談した履歴記録等を書いてもらうとか、この辺り、また橋本事務所の
先生に、ご説明頂きたいと思いますけれども、そういった証拠をちゃんと持って帰
るってことが必要です。

00:36:33~ 「お母さんが帰らないだけでは、残念ながら、そこは返還拒否事由とし
て認めてくれません。」
はい、で、このさっき読んだ28条1項4号の中にはですね、その暴力だけではな
くて、その子供、どこだったかな、条文の中には、“子供を耐え難い状況に置くこと
となる”、って書いてあります。つまり暴力に限らず、子供が耐え難い状況になれ
ば、じゃ返還しなくていいんだと。で、いったい耐え難い状況になる可能性がありま
すよって、いうわけですよ。例えば、どういうことがあるかっていうと、このでレジ
メに書いてますけども、さっきの暴力の下ですね3頁目の「イ」です。具体例とし
て、そもそも、子の監護が困難な事情ってところに入ってますけれども、そもそも、
このお母さんがですね、あそうか、そうか、これ、ケースの6にも当たるんだ。6、
見よかな。6。ケース編の6の方です。
わかりましたと、もう暴力もありませんし、子供返せっていうんなら返しますよ
と。でも、私は帰りませんからね、という話ですね、もうあんな夫とは一切会いたく
ないし、目も見たくないし、怖いし、だから私はフランスへ戻るつもりはありませ
ん。でも、それでも子供を返せって言うんだったら、子だけ返しますよ。でも、あん
なお父さん、子供を戻しても絶対子育て出来ません。母、無では、そもそも子供は生
きていけません。この状況でも返せって言うんですか、ていう話も皆さんよく主張さ
れます。もっともですよね。これまでは、お父さんお母さんが居て、子供は育ってき
たわけです。でもお母さん居ないところで、子供を、例えば生後9ヶ月の赤ちゃん
を、フランスに戻して、お父さん、ちゃんと世話ができるかっていうと、厳しいかも
しれない。こんな状況が、さっきの返還拒否事由、「子を耐え難い状況におく」と、
いう状況にあたるかどうか、という話なんです。ただ、これについても裁判所は割と
シビアなんです。お母さんじゃあ戻りませんって言ったら、それが全部返還拒否事由
になってしまったら、皆そういう言いますよね。「私、帰りませんから」。ただ、お
母さんが帰らないだけでは、残念ながら、そこは返還拒否事由として認めてくれませ
ん。

00:38:30~ お母さんが戻らないことを、返還拒否事由とする具体的方法1

15

ただ、いんな総合的な状況として、例えば、この「イ」で書いてますけど、常居所
地国つまりフランスにおいて、お母さんが帰るとしてもね、滞在資格、例えば、どん
なビザで帰れるのか、もう離婚しちゃってると、そもそもフランスに残れないではな
いかとか、あるいは働けないのではないかとか、というような問題が考慮されます
し、実際、子供が学校に通うための確保できる可能性があるのかとか、あるいは家族
とか友人とか支援機関からの受けられる援助があるのかとか、あるいはお父さん側の
事情として、アルコール依存症なのかとか、薬物依存症とか、精神疾患とか、こう
いった心身の状態だとか、こんないろんな事情を総合的に考慮して、これは子供を戻
したら無理ですね、と判断されれば、返還拒否ということになります。ただ、こう
いったところで認められたケースはほとんど無いんです。実際、皆さん主張されます
「お父さん無理だと思います」と。ただ裁判所は、そこは、当然お父さん側は大丈
夫って言います。じゃ、大丈夫か大丈夫じゃないのかってところは、このハーグの6
週間の裁判の中では、じっくり判断する時間が無いので、最終的には問題が無いとい
う判断をされかねません、まぁ、されますんで、あまりここも安易に考えないで頂き
たいと思います。むしろ、本当にお父さんが、アルコール依存症とか、心廃(?)、
あるいは薬物で捕まったとかあるならば、そんな記録を持って帰るとか、いうぐらい
のことが必要です。

00:39:40~ お母さんが戻らないことを、返還拒否事由とする具体的方法2
その括弧下で書いてますけども、お母さんが戻らない場合に、どんな場合で、例え
ば返還拒否になるかっていうと、確実にフランスに戻った場合には捕まると、絶対
に、このフランスで逮捕状出てるんですと、私、帰ったら絶対捕まっちゃいます、て
いうような状態だとか、あと、絶対にフランスでは生活をしていくことができませ
ん、支援うけることも絶対期待できません。実際に生活保護とか、いろんな社会保障
があると思うんで、これなかなかフランスでは言いにくいですけども、こんな事情だ
とか、あるいは、私、絶対戻ったら死んでしまいますとか、そういうことを自分で言
うことは難しいですども、自殺、自傷に及んだりする危険性が極めて高いとか、こん
な場合には、お母さん戻らないって事情が、返還拒否事由として考慮されてるという
のが、今の裁判所の現実です。

00:40:21~ 子供の意思が、返還拒否事由となり得ることの説明
はい、6まで、はい6まできました。もう、全然、これまで
1、2、3、4、5、6、全部否定されちゃって、私、やっぱり返還するしかないの
かな。でも最後、実は、うちの息子は、もうフランスに帰りたくないと言ってるんで
す。子供の意思、子供が嫌だと言ってるんだと、これでも返すんですか、というとこ
ろが7番目。事例で書いてます。ケースの7番目です。6歳の長男ってのが、この人
ですよね、フランスには帰りたくないって言ってます。子供の意見は尊重されます
か、というところです。で、条文は、レジメの方の28条1項5号の方です。3頁の
一番下です。これは、ちゃんと子供が嫌だって言ってる場合、拒んでる場合には、返

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還しなくてもいいという条文があるんです。

# 反訳における引用
#国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律
#(子の返還拒否事由等)
#第28条 裁判所は、前条の規定にかかわらず、次の各号に掲げる事由のいずれか
があると認めるときは、子の返還を命じてはならない。......
# ......
#五 子の年齢及び発達の程度に照らして子の意見を考慮することが適当である場合
において、子が常居所地国に返還されることを拒んでいること。

読んでみると、“子の年齢とか発達の程度に照らして、子供の意見を尊重、考慮する
ことが適当である場合において、子供が常居所地国に返還されることを拒んでいるこ
と”、と書いてます。ただ子供が嫌だったと言った場合ではないんです。あくまで
も、子供がちゃんと意思表示ができるような年齢ですか、発達してますか、というと
ころを、まず見ます。で、その上で、子供が自分の意思として言ってる場合です。

00:41:21~ 「帰ったらすごくいじめられてるんだ、学校で例えば差別を受けてると
か、そんな場合には、子の異議って通る」
で、これ、まず本質として、決して、あんなお父さん嫌だ、とかではないんです
よ。あくまでもフランスという国に戻りたくない、と言ってることが???んです
ね。わかります?お父さんが嫌でもフランスでいっぱいお友達がいるとかいう状況っ
てありますよね。普通にフランスが大好きな場合には、子の異議っていうのは、そも
そも通りません。
逆にあってです、お父さんは好きなんだけども、帰ったらすごくいじめられてるん
だ、学校で例えば差別を受けてるとか、そんな場合には、子の異議って通るんです。
あくまでも、子供がフランスに返還されることを望んでない事って所が、ポイントで
す。

00:41:54~ 子供の意思が返還拒否事由として考慮される子供の年齢について
で、この子供の年齢とか、発達ってのは何歳ぐらいから考慮されるんですかってい
うことなんですけど、明確な何歳っていう法律は無いんです。で、実際、日本の運用
上は、少なくとも6歳未満の子供について、子供もの意思を考慮されることはありま

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せん。6歳以上10歳未満の場合は、あるいはケースバイケースとありますけど、多
くありません。で、10歳超える場合には基本的には尊重されてるってのが日本の運
用です。諸外国を見てると8歳とかで、立派に尊重されている場合もありますけれど
も、日本の裁判官の説明によると、6歳未満は絶対ダメですよと。6歳以上10歳未
満の場合にはケースバイケースです。だから、このお兄ちゃん6歳ですけども、この
子供たちお兄ちゃんがフランスに帰りたくないと言ったからといって、裁判所の方で
返還拒否としてくれることはあまりないというのが現実です。

00:42:42~ (不返還を)「諦める必要はありません」(子の連れ去りを前提とし、
子の連れ去りを未然に防ぐというハーグ条約の理念とは逆)
じゃあ、私、もうこれで、全部返還拒否事由が満たされません。どれもダメでし
た。じゃあ、仮に日本で裁判起こされたら絶対返還ですかというと、そうではありま
せん。実際、これ、話し合いをするわけです。ハーグの裁判起こされると、基本的に
日本の裁判所は、調停っていうのを開きます。調停、いわゆる離婚調停とか使うんで
すけれども、話し合いをしましょうということで、夫も基本的には日本に来て話し合
いをします。その中で、仮に日本に残る場合、仮にフランスに戻る場合、と両パター
ンに分けて、それぞれ頭の中を整理するんですね。仮にフランスに戻った場合には、
お母さんどうやって生活しますか、子供をどうやって監護しますかってことを、いろ
んなことを、考えさせられます。仮に日本に残った場合には、お父さんどうします
か、日本に会いに来ますか、子供さんとどうやって会いますかってことを、彼に、お
父さんに、問いかけます。そんなこと、時間かけてやるんです。その中で、例えば任
意に父親の方が、「もう、お母さん、子供が日本に馴染んでるんだから、日本に暮ら
してもいいんですよ」という話されることも結構あります。あるいは逆に、お母さん
としても、一旦フランスに戻ろうと、戻った上で、きちんとお父さんと話をして、フ
ランスで生活していこうと思って帰って行かれる方もいます。なので、実際、ハーグ
裁判で0(%)・100(%)で決まるわけではなくて、話し合いをする中で、良い
条件、いい取り決めをして、戻るなり戻らないってことをしていく、というのが日本
の裁判所、日本のハーグの事件の特色なんです。なので、このケースで、戻ってき
ちゃった、で、返還拒否事由はありませんね、って弁護士に言われたからといって、
諦める必要はありません。むしろ、きちんと話し合いをして、望んでる結論になるよ
うに頑張って頂きたいなと思ってます。

00:44:10~ 不返還は認められにくいから「なので、戻ってくる前にきちんとできる
ことを、このフランスでできることをやってから、戻ってくる」(子の連れ去りを前
提とし、子の連れ去りを未然に防ぐというハーグ条約の理念とは逆)
ただ、今日、ここにいらっしゃるのは、まだこれから、まだまだ戻ってない方なの
で、私たちのアドバイスとしては、端的に言うと、戻ってもかわいそうです、気の毒
です、本当に返還になっちゃいます、ということを、きちんとお伝えせざるを得ない
と思ってきています。余程じゃ無い限りは、返還拒否事由ってのが満たされない、と

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いうのが日本の今の運用です。他の国もそうです。かつ、強制執行制度が甘いから逃
げれるんじゃないかと、そんな話も、もしかしたらあるかもしれません。けれども、
そんなこと全然ありません。基本的には裁判所の決定には従わなければいけません。
なので、戻ってくる前にきちんとできることを、このフランスでできることをやって
から、戻ってくるなり、自分の人生を考えて頂きたい、というところでございます。
私の方は、ざっとした概要で、一旦概要として終わりにして、このハーグの説明を
し、その後、フランス法の話をして頂きます。まず、ありがとうございました。

00:45:55~ 以下、未反訳

最近、3月8日にフランス・パリの上院議会では日本の対応が問題視されました。
https://news.tv-asahi.co.jp/news_international/articles/000149442.html
また、3月21日にフランス国営放送France2にて、「日本、誘拐された子供たち」とのタイトルで、ドキュメンタリーが放送されました。
https://www.francetvinfo.fr/economie/emploi/metiers/droit-et-justice/video-japon-les-enfants-kidnappes_3238697.html
上のドキュメンタリー中の28分頃に触れられ録音も引用されていますが、
2018年5月15日にパリの日本文化会館で開催された公開セミナーの内容が、録音と共に公開さています。
http://www.bachome.org/news/caught-japan-seminar-on-how-to-abduct

この2018年5月15日にパリの日本文化会館で開催された公開セミナーの文字起こしです。

 

国際結婚に伴う子の親権(監護権)とハーグ条約セミナー

日付:2018年5月15日(火)【14:00~15:30】
場所:パリ日本文化会館 地上階小ホール
共催:外務省・日本弁護士連合会
言語:日本語

【目次(録音経過時間)】
00:05:48 在フランス日本国大使館領事部:池田 領事部長
00:08:35 日本弁護士連合会フランス調査チームリーダー:大国 和江 弁護士

00:15:05 日本弁護士連合会ハーグ条約に関するワーキンググループ副座長:芝池

俊輝 弁護士

00:15:05~ ケーススタディで学ぶ日本の離婚制度とハーグ条約【芝池弁護士】:
00:16:45~ ケースの事案の紹介
00:18:20~ 離婚における国際裁判籍の説明
00:21:07~ ハーグ条約に基づく手続開始について
00:22:39~ ハーグ条約の説明(趣旨、刑事手続きはなく、あくまで民事手続きであ

ること)

00:23:58~ ハーグ条約が、国境を越えた子の連れ去りのみに対応すること、夫婦の

国籍は関係が無いこと等

00:24:56~ ハーグ条約における6週間以内返還の原則について
00:25:24~ ハーグ条約が、残された親元ではなく、国に戻す手続であること
00:25:45~ 「ハーグ条約を起こされても戻さなくて済むんじゃないか」の問い合わ

せ先

00:26:52~ 子が新しい環境に馴染むことが、返還拒否事由になり難いことの説明
00:29:41~ 夫から「子どもを連れてフランスから出て行け」と言われたことが、返

還拒否事由になり難いことの説明

1

00:31:45~ 夫からDVを受けていたことが、返還拒否事由になり難いことの説明
00:35:28~ DV関連証拠を、返還拒否事由とするための具体的方法
00:36:33~ 「お母さんが帰らないだけでは、残念ながら、そこは返還拒否事由とし

て認めてくれません。」

00:38:30~ お母さんが戻らないことを、返還拒否事由とする具体的方法1
00:39:40~ お母さんが戻らないことを、返還拒否事由とする具体的方法2
00:40:21~ 子供の意思が、返還拒否事由となり得ることの説明
00:41:21~ 「帰ったらすごくいじめられてるんだ、学校で例えば差別を受けてると

か、そんな場合には、子の異議って通る」

00:42:42~ (不返還を)「諦める必要はありません」(子の連れ去りを前提とし、

子の連れ去りを未然に防ぐというハーグ条約の理念とは逆)

00:44:10~ 不返還は認められにくいから「なので、戻ってくる前にきちんとできる
ことを、このフランスでできることをやってから、戻ってくる」(子の
連れ去りを前提とし、子の連れ去りを未然に防ぐというハーグ条約の理
念とは逆)

-------- 以下、未反訳 --------
00:45:55 外務省ハーグ条約室:松田 主席
Law Firm Hashimoto & Partners:橋本 明 弁護士
Law Firm Hashimoto & Partners:岩村 由木 弁護士

注意:#で始まる行は引用を意味する。
重要箇所には、下線を付与した。
録音経過時間 当該パートの要旨 【発言者】:
00:01:58~ 会場の説明 【パリ日本文化会館の片桐様】:
すいません。日本文化会館の片桐と申します。会場について、ちょっとご案内致します。お子さん連
れ等の方で、途中で出る必要があるという場合ですね、もちろん下の扉からでも出て頂いて差支えあり
ません。それから、後方にも扉があります。ただ、会場暗くなりますと、足元が、けっこう危うくなり
ますので、近い扉から出て頂くとで、お願いします。後もう一つ、階段上がった上なんですが、フラン
ス式の1階、プルミエ・エタージュの教室1という部屋を、一応、控室という形で取ってあります。な
ので、お子様関連とか、いろんな形でちょっとお休みをする必要があるとか、そういう場合には、そち
らを使って頂いて構いません。なので、出て頂いて、それが必要だということを係の者に伝えて下さ
い。もし分からないことがあれば、何でもお答えしますので、ぜひ、心配なさらずに、声を掛けて下さ

2

い。宜しくお願いします。

00:05:48~ 開会の辞【在フランス日本国大使館 池田 直哉 領事部長】:
すいません、大変お待たせしました。時間になりましたので、まだいらっしゃって
ない方もいますが、始めたいと思います。まず、自己紹介します。私は、フランス日
本大使館、領事部長をしております池田と申します。よろしくお願い致します。今日
はお忙しい中お集まり頂きありがとうございました。週末にですね、オペラ座の方
で、テロがあって、どうかなと思ったんですが、皆さんそれについては、何もぶれる
ことなく、いらっしゃってくれて、ありがとうございます。恐らく皆さん、15年の
連続テロに比べれば、大したことないと思われているような、勝手に強気に解釈して
ますが。ただですね、実はこのハーグ条約セミナー、やったのは、今回、フランスで
は初めての試みになります。ヨーロッパでは実は2回目で、2年前にロンドンでやっ
たんですが、その際はやっぱり50名くらい集まったということです。今回は、私ど
もは、日本大使館からのメールマガジンと、日本人会、あと商工会ですね、こちらを
通じてご案内しましたらですね、早々に50名を超えて、実際は、今は登録で70名
くらい集まっております。非常に皆さんの関心が高いということで、開催する意味が
あるのかなと思っています。今回は、私自身が、こちらに来て4年になるんですが、
非常にこのハーグ条約関係、あとお子さんのですね問題ですね、あとDV、まぁその
辺の話の相談は非常に受けます。ハーグ条約が、日本が入ったことによってですね、
また更に色々なことが出てきますんで、個別の案件については、後でうちの、外務省
の松田主席からも話がありますが、大使館の方に随時ご相談を下さい。
今日はですね、日本弁護士連合会から、その道のプロの弁護士の先生、あと、こち
らで活躍しておられる橋本先生の事務所からも、弁護士の先生が講義をして頂くの
で、この機会を利用してですね、皆さんの中で、役立って頂ければと思います。
では、まず、はじめにですね、日本弁護士連合会フランス調査団長の挨拶ですね、
大国団長にご挨拶を貰います。

00:08:35~ 日本弁護士連合会フランス調査団長 挨拶【団長 大国和江弁護士】:
只今ご紹介頂きました日本弁護士連合会に所属する弁護士の大国和江と申します。
本日は、日弁連の中でハーグ条約ワーキンググループというのがあるんですが、その
メンバーを中心として本日の調査団を8名で組んでやって参りました。各メンバー
は、調査団のメンバーは、普段ですね、家族法に関係する事件の取り扱いをやってる
方が多くて、そしてまた今回のように国際結婚に関する諸問題にも接しておられる弁
護士であります。
日本は、2014年の4月に、ハーグ条約に加盟しました。加盟して、発行してお
ります。それで加盟あたりまして、日弁連の中に、ハーグ条約ワーキンググループを
設置しまして、加盟の是非について、ワーキンググループで、いろいろと日弁連内の

3

意見を取りまとめたりして、そしてまた国内法の制定に関する活動に積極的に取り組
んでまいりました。この度は、今回は、ハーグ条約発行後、我が国で運用が色々とな
されているんですが、その運用における諸問題を、いろんな課題が発生してきており
まして、それに直面し、更に国内法の内容についても、もう少し見直したり、補充し
たり、制定環境をきっちりとやる必要があるのではないか、ということで迫られてお
ります。それで、今回、調査団を組んで、なぜフランスにやってきたとかということ
なんですが、フランスはハーグ条約に加盟した先輩国でもありますし、我々は、いろ
んな実績を持っておられる国でもありますので、日本においても、これからどのよう
に取り組んでいったらいいのか、その諸課題について、何が問題でどう考えて行った
らいいのかということで、フランスに、わざわざ調査に、学ぶために調査に参りまし
た。
それで、せっかくの調査、我々が調査するだけではなくて、せっかくの機会ですの
で、フランスに在住される皆様、日本の方々にやっぱりこの機会を通じてハーグ条約
が、今、国境を越える子の連れ去りを未然に防止するという目的に沿うような、皆さ
んに、その在住の皆さんにも、その内容を知って頂いて、そして司法制度がどのよう
になってるのか、手続きがどのようになってるのか、そういうことを事前にゆっくり
とお知らせでき、あるいは勉強して頂いて、ハーグ条約の目的が、有効に適切に実行
される機会になればいいなと思って、今回、この研修会を開催することを外務省の方
と相談してまいりました。そして、このために、研修会を開催するにあたっては、本
当に外務省の全面的な協力を頂いてきております。とりわけ本研修会の企画、広報、
それからいろんな準備をして頂きまして、本日を迎えているのでございます。色々と
ご準備ありがとうございました。そういうことで、この研修会をやっぱりここまで広
報頂いて、企画頂いて、全面的に、成功させることを、広報して頂きましたことを、
非常にありがとうございました。この席をお借りして、お礼を申し上げながら簡単で
すが、開催にあたっての私の挨拶とさせて頂きます。ありがとうございました。

00:13:00~ パネリスト紹介【在フランス日本国大使館 池田 直哉 領事長】:
じゃあ、セミナーを始める前に、今日のパネリストの方をご紹介します。パネリス
トの方、お名前を呼ばれたら、立って顔を見せてください。弁護士連合会のハーグ条
約に関するワーキンググループの副座長でおられます芝池弁護士です。

【芝池弁護士】:皆さん、こんにちは。よろしくお願いします。

【池田領事長】:次は、外務省の領事局、ハーグ条約室の首席事務官、松田でござい
ます。

4

【松田様】:松田です。よろしくお願いします。

【池田領事長】:あと、こちらフランスの弁護士事務所ですね。橋本&パートナーズ
の弁護士事務所でご活躍の橋本弁護士です。

【橋本弁護士】:よろしくお願い致しします。

【池田領事長】:同じく今村弁護士です。

【今村弁護士】:よろしくお願いします。

【池田領事長】:
では、今からセミナーを始めたいと思います。では、芝池先生よろしくお願いしま
す。それと、あと、皆様は、最後の方に質疑応答の時間を設けております。で、予定
は3時半となっておりますが、おそらく質問が多いんじゃないかと思われますので、
なるべく全部質問できるように時間を多めに取ってありますので、最後までよろしく
お願いします。それと、何人かの方に聞かれたんですが、今回参加されてないご友人
がいて、その人の分の資料が欲しいということであれば、かなりよくできております
ので、2部3部とお持ちください。で、それでも足りない場合は電子媒体やメールで
送ることもできますので、その旨、帰るとき私の方にお伝えください。よろしくお願
いいたします。

00:15:05~ ケーススタディで学ぶ日本の離婚制度とハーグ条約【芝池弁護士】:
はい、皆さん、こんにちは、弁護士の芝池です。よろしくお願いします。なんか映
画館みたいな立派な会場で、国際離婚、ハーグの話をするって、不思議な感じがしま
すけども、よろしくお願いします。あの子さん連れの方が、何人かいらっしゃいます
けど、遠慮せずに、ぜひ、ぐずっても気にせずに居て下さいね。お子様の話ですので
すので、ぜひ皆様もお互い。今日の話をしたいと思います。で、私自身、ハーグ条約
に関するワーキンググループに、日本弁護士連合会の中のグループの副座長をしてお
ります。で、個人的に、国際家族法やハーグ条約に関する事件を、ほぼほぼ100%
で仕事で扱っているという関係で、今日、話をさせて頂きます。で、私の話、もちろ
ん今日、時間が限られてますので、一般的な話しかできません。この中には、もしか
したら切羽詰まった方がいらっしゃるかもしれません。あるいは、もう、すごく辛い
という方がいらっしゃるかもしれません。といった方々は、是非、この後、私達残っ

5

てますし、特にフランスでの話については、フランスの先生方にお話してもらいます
ので、今日の話だけを鵜呑みにして、私は大丈夫だととか、私は大丈夫じゃない、と
いう風には思わないで頂きたいな、と思っております。で、えっと、まあ、もちろ
ん、ハーグ条約とか、国際離婚の法律の話をするわけですけど、ここで難しい条文の
話をしてもきっと頭に入らないと思いますし、逆にいえば、皆さんある程度の知識と
か情報は知ってるかなと思いますので、私の方から具体的なケースを使って考えてい
きたいなと思ってます。
今日使うのは、この資料の中に入っているケーススタディで学ぶ日本の離婚制度と
ハーグ条約という資料と、同じくレジュメ編というものです。特に、このケースが書
いてあるケース編というところを使いながら、一個一個、見て行きたいなと思いま
す。

00:16:45~ ケースの事案の紹介
さてどんな事案かといいますと、「私は日本人女性です。私はフランス人男性と結
婚して2010年1月からパリで暮らしています。夫との間には二人の子供、6歳の
兄ちゃんと、3歳の妹がいます。で、夫、ご主人との関係が良くなくて、喧嘩が絶え
なくなってしまった為に、私は、夫に対して、日本にいるお父さんが体調崩しちゃっ
たので、様子を見に帰りたいんだ、と言って、夫の許可を得て、2018年2月15
日、二人の子供と一緒に日本に帰りました。」というシチュエーションです。つま
り、皆さんと違って、日本に帰ったですね。夫の許可をもらって、日本に帰って、現
在は日本の横浜に住んでいます、という状況です。そもそも、これ日本に帰れるのか
というところから、皆さん悩んでる方がいらっしゃるかもしれません。そのあたりに
ついては、後で、橋本先生の方からご説明を頂きますが、このケースについては、お
父さんの許可も得て、一旦、日本に帰りましたと。ただまあ、実際は辛かったんです
よね。辛くて、少し距離を置きたいと思って、帰りたかったんですけども、夫に対し
ては、お父さんが病気だからだと、いう状況で帰ってきちゃったんだという話です。
さて一つ目ですけども、まず日本に帰国してしばらくすると、夫からいつ帰ってくる
んだというメールが執拗に届きます。いつ帰ってくるのか特に言ってなかったのか
な、で、当然飛行機の帰りのチケット取ってるわけですけども、それが近づくにつれ
て早く帰ってこいとか、いつ帰ってくるんだという風に言われてます。で、お母さん
の方は、容体が今一良くないんだと、もう少し日本に居ていい、っていう風に言っ
て、引き伸ばしているんです。ただ、本当は離婚したい、できればこのまま日本で暮
らしたいと、子供と一緒に日本で過ごしたい、というふうに思っているわけですね。
で、私たちのところに相談がありました。「私は日本で離婚手続きをとることができ
ますか?」

00:18:20~ 離婚における国際裁判籍の説明
まず、そもそもハーグの話から、入りません。こうやって離婚できますか、という

6

相談の人が一番多いですね。だいたい、外国から帰ってきました。帰ってきたとき
に、日本で離婚できますかっていう話の相談から始まります。で、ここで簡単に日本
の制度を、お話ししたいと思います。もちろん皆さん日本人ですし、ある程度知って
おられると思いますけども、日本で離婚する場合は、大きく三つ方法があって、協議
離婚、つまり離婚届けにサインして出せば離婚が出来るというのが日本ですよね。離
婚届にサインする、協議離婚が一つ目。話し合いができなかったら、調停でいきま
しょう。家庭裁判所に行って、調停をして、そこで離婚をする調停離婚というのがあ
る。それでも話が出来なかったら、最後は、裁判に行って裁判離婚しましょう。ま
あ、そういったところ、三つ方法があるんですね。で、じゃあこの方、Aさんでしょ
うか、Aさんが日本に帰ってきて、「私、裁判で離婚できますか。ご主人・夫は、絶
対、離婚なんて『うん』て言いません」という状況なんです。日本で裁判できます
か、で言われて、私たち答えは単純で、簡単で、「できません」という答えになっ
ちゃうんです。日本に妻が居ます。で、夫はフランスに居ます。この状況で、日本の
裁判所に対して、離婚ができますかっていうと、法律上、今、法律あれなんですけ
ど、相手の国、つまり日本には相手がいないわけですから、相手被告がいる住所地の
裁判所で裁判して下さい、って裁判所はいうわけです。ただ、例外的に、このレジュ
メに書いてますけども、夫から捨てられた様な場合、遺棄された場合とか、あるいは
夫がそもそも行方不明の場合、海外に居るらしいんだけど何処に住んでるのか分かり
ませんとか、あるいはそれに準じる場合とか、こんな状況の場合でなければ、日本の
裁判所は、そもそも離婚手続きを受け付けてくれないですね。なので、このケースで
夫はフランスに普通に暮らしています。私は日本に帰ってきました。で、そこで話し
合いをしようとしたけど、できなかった。なので裁判したいと思った場合には、日本
の裁判所で離婚はできません。つまり離婚自体ができないという状況なんです。た
だ、今言ったように協議離婚、夫も実は離婚したかったんだよねとか、お互い新しい
ステップに行きましょうとか、新しい、あの、なんていうのかな、円満に話をしてい
きましょうという場合には、調停だとか協議離婚はできます。調停っても、日本で調
停するに当たって、夫が例えば日本に来るだとか、あるいは夫が日本で弁護士をつけ
るとか、いった場合は、夫がフランスに居ながら離婚ができます。調停離婚もできま
す。ただ、まあこういった状況、なかなかならないんじゃないかなと、皆さん、ご想
像されると思いますけども、実際そう簡単に行くことありません。ただ、我々として
は日本に帰ってきたお母さんからご依頼を受けて、場合によっては、夫、フランスに
居るご主人、外国に居るご主人と話しをしたりとか、協議しながら離婚に応じて頂く
というようなこともやってますけども、一般論として日本で離婚できますか、裁判で
きますか、といわれると、「No」という話になるわけです。で、こんな話をしてい
く中で、そもそも離婚をしたい気持ちよくわかりますし、日本で暮らしたいですよ
ね。でも、夫からすると、子供さんが離されてしまって早く帰って来いと言ってるわ
けで、このまま居ても大丈夫なのかな、という話に当然入っていくわけです。

00:21:07~ ハーグ条約に基づく手続開始について
で、そうこうしているうちに、2ページ目に行くと、手紙が届くわけですね。ま
あ、手紙の前にだんだん夫から、嫌がらせのメールが来るわけです。嫌がらせってい

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うか、攻撃的なメール、何で帰ってきてこないんだ、どうなってるんだ、なんで連絡
くれないんだ、という風になってくるわけですね。で、お母さんがビビっちゃって、
萎縮してしまって、でもって返信しない、となったところに、郵便局、郵便局じゃね
えや、郵便で外務省から手紙が来ました。ハーグ条約に基づく手続きについて、てい
う手紙なんです。手紙が来ます。結構重要なお知らせです、と書いてあるんですね。
ただ10枚ぐらい紙が入っていて、ちょっと難しそうなんです。これはそもそも何な
んでしょうか、私は子供を取られてしまうんでしょうか、というようなことから進む
話です。これが、いわゆるハーグ条約なんです。で、ハーグ条約の手続きを、夫が
取った場合に何が起こるかと言うと、いきなり裁判所から手紙が来ることはあまり多
くはありません。むしろ、原則として外務省から、このお知らせが来ます。で、これ
何するのか、細かい手続きは、この後、松田さんからご説明頂きますけれども、まず
は、日本に居るお母さんに対して外務省が援助しますよ、お父さんお母さん、それぞ
れに対して支援をしますと、子供を戻すんならば任意に戻してあげて下さいとか、あ
るいは何か戸惑うことがありませんか、というようなサポートするところと思って頂
ければいいんですけれども、そんな所から手紙が来ます。ただ、これはハーグ条約が
始まりまっせ、ていう第一報なんですなんですよね。なので、これを受け取ったら、
まずは無視しない。必ず対応しなくちゃいけません。いついつまでに連絡下さいって
書いてありますから、きちんと連絡をしなくちゃいけません。あるいは日本にいるな
らば、近くの弁護士に、ぜひ相談してください。この段階できちんと手続きを取っと
かないと、ハーグ条約の手続きを起こされてからでは、時間不足になっちゃうんで
す。

00:22:39~ ハーグ条約の説明(趣旨、刑事手続きはなく、あくまで民事手続きであ
ること)
で、ハーグ条約ってそもそも何なのか、3分だけで説明したいと思います。このレ
ジメの方に書いてますけれども、「第2 ハーグ条約について」っていう所です。そ
もそも、これハーグ条約ってのはですね、子供にとって、お父さんがいいのかな、お
母さんがいいのかな、とかそんな話は全然決めません。あくまでも、そういったこと
を決めるのは、そもそも子供が住んでた場所できちんと決めなきゃいけませんね、と
いう話なんです。例えば、フランスで5年間住んでました、子供と一緒に。で、突然
日本に帰って、日本の裁判所で、「私が親権者ですよ。お父さんダメですよ。」とい
う話をしても、でも、全然情報も何もないしと、子供さんの幼稚園はフランスですよ
ねってなっちゃうんです。なので、原則として、元々居た所できちんと決めてから
帰ってきなさいねっていうのが、ハーグ条約の趣旨なんです。つまり、一旦連れ帰っ
ちゃったら、戻してあげなさいと。だってそれは、戻すっていうのは、お父さんの方
へ戻すではなくて、あくまで元々居た国に戻しなさい、その国できちんと手続き採り
なさいねってのが、このハーグ条約の趣旨です。いいですか。まずは常居所っていい
ますけども、その子供が元々住んでいた所に戻してあげる手続きです。
ただし、例外ってのがあって、後で話をしますけども、子供が特に心身に害悪を受
けるような危険があるような場合とか、子供自身が嫌だって言っている様な場合に

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は、返還拒否事由といって、例外的に戻さなくてもいいですよって手続きなんです。
で、決してこれハーグ条約自体が、捕まるとか、刑事、逮捕されるとか、そんな手
続きではありません。あくまで民事です。戻す戻さないだけの話です。

00:23:58~ ハーグ条約が、国境を越えた子の連れ去りのみに対応すること、夫婦の
国籍は関係が無いこと等
で、ポイント、2頁目の上にポイント7って書きましたけども、基本的には、これ
国境を越えた子供の連れ去りだけですので、国内に居る日本人同士全然関係、国内に
居る日本人と外国人の離婚には全然関係ありませんし、フランス国内も全然関係あり
ません。国境を越えたものです。ただし、これは国際結婚に限られません。結婚をし
てないパートナーでも構いません。あるいは日本人同士、今日もいらっしゃるかもし
れませんけども、例えば駐在でいらっしゃってる方、日本人の旦那さん・ご主人がい
ます。で、夫が日本人で、こっちフランスに居て、妻が子供を連れて日本に帰った場
合には、きちんとしたハーグ条約の事件になっちゃいます。全然、これ外国人、関係
ありません。日本人同士でもなるというのは、必ず覚えておいて下さい。
で、あと、日本に帰って、隠れてしまえば大丈夫と思っていらっしゃるかもしれま
せんけども、一応、外務省が、きちんと子供の居場所を探してくれますので、見つ
かっちゃいます。見つからないことは基本的にありませんから、隠れても無駄です。
で、あと、さっき話ましたね、親権とか、監護権とか、どっちがお父さんがお母さ
んが良いかってことは、一切決めません。

00:24:56~ ハーグ条約における6週間以内返還の原則について
5番目、すごくスピーディーです。裁判が始まってから基本的に6週間で決定が出
る手続きです。普通、日本で離婚する場合、調停で決める場合、フランスでもですけ
ども、時間かかります。きちんと話をしながら子供にとって何がいいのかとか考えま
す。ただし、ハーグの場合には、ただ戻す戻さないだけですから、時間は限られてま
すので、時間はかかりません。しかも、かけません。早く戻すことが望ましいと思わ
れているんで、6週間。これ大原則で、かつ実際裁判所は守ってますんで、あまり時
間はありません。

00:25:24~ ハーグ条約が、残された親元ではなく、国に戻す手続であること
で、でも、あんなお父さんの所に戻したくないと思っているかもしれませんけど
も、このハーグ条約は、決してお父さん、相手方お母さんに戻すんじゃなくて、あく
までもその国に戻すんです。だから、フランスであればフランスに戻りさえすればい
いんです。別に、お父さんが、どっか地方に居ても、フランス、パリに戻ってれば、

母親、小4長女にアイロン投げる…左頭部に陥没骨折

 
3/23(土) 7:36配信 読売新聞
 

小学4年の長女(10)の頭にアイロンを投げてけがを負わせたとして、大分県警杵築日出きつきひじ署は22日、同県杵築市の看護助手の母親(30)を傷害容疑で逮捕した。

 

 発表では、母親は2月17日頃、市内の自宅アパートで、長女にアイロンを投げつけて、左頭部に約2週間の陥没骨折などのけがを負わせた疑い。容疑を否認しているという。

 県や同署によると、長女は児童相談所に保護され、けがは回復している。長女は両親と3人暮らしで、両親が長女を病院に連れて行った。病院側が翌18日、県中央児童相談所に「虐待が疑われる」と通告し、児相職員が母親と長女に面会した。長女が「お母さんにアイロンを投げられた」と話したため、一時保護した。母親は「アイロンを投げたら、たまたま当たった」と説明したという。

 長女に日常的に虐待を受けていた痕はなく、警察や児相にも情報はなかったという。

 

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190320/k10011855021000.html?utm_int=all_contents_just-in_001

 

家庭裁判所で女性刺され重体 離婚調停中の夫逮捕 東京 霞が関


 

20日午後3時半前、東京 霞が関にある東京家庭裁判所の玄関付近で31歳の女性がいきなり男に刃物で刺され、意識不明の重体になっています。刺したのは離婚調停中の夫で、女性を待ち伏せしていたとみられ殺人未遂の疑いで逮捕されました。

20日午後3時20分ごろ、東京 千代田区霞が関にある東京家庭裁判所で「裁判所の1階の玄関で女性が首を刺された」と裁判所を訪れていた女性から110番通報がありました。

警察官が駆けつけたところ、31歳の日本人の女性が首を刺されていて、病院に搬送されましたが、意識不明の重体になっています。

警視庁によりますと、女性は離婚調停の協議のため裁判所を訪れたところ、持ち物検査の前でいきなり男に刺されたということです。

女性を刺したのはアメリカ国籍の32歳の夫で、女性を待ち伏せしていたとみられています。

夫は現場から日比谷公園の中を走って逃走しましたが、まもなく公園内にある交番の近くで警察官に取り押さえられ、殺人未遂の疑いで逮捕されました。

警視庁によりますと、夫は身柄を確保された際、折り畳み式ナイフなど刃物を3本所持していたということです。また、夫は自分の腕を刺してけがをしているということです。

警視庁は、当時の状況や詳しいいきさつを調べています。

「男は右手に刃物」

容疑者とみられる男が逃げる様子を目撃した41歳の司法書士の男性は「裁判所の前を歩いていたら右手に包丁のような刃物、左手にペットボトルを持ち、ショルダーバッグを肩にかけた男が走ってきた。信号で一度、警備員に捕まっていたが、男はそれを振り切って日比谷公園の方に逃げていった。裁判所では30歳くらいの女性が血だらけで倒れていた。逃げた男は帽子のようなものをかぶっていた」と話していました。

「ナイフを両手で持っていた」

近くの法律事務所でアルバイトをしている20代の男性は「東京地方裁判所に用事があり、近くを歩いていたらナイフを両手で持った男が走ってきた。自分も危ないと思って逃げる時にほかの通行人とぶつかってけがをしてしまいました。男はそのあと、警備員のような人に追いかけられ、日比谷公園の方へ走って逃げていった。霞が関でこんな事件が起きて驚いています」と話していました。

「女性が血を流して倒れた」

刃物で刺された女性を目撃したという35歳の男性は「家庭裁判所の正面玄関に入ったところ、玄関の扉のあたりで女性が血を流して倒れていました。あたりは騒然としていて、状況を目撃した人は泣き崩れる人もいました。裁判所の入り口では持ち物検査が行われていたようなのに、このような事件が起きてとても驚いています」と話していました。