お正月の慌ただしさも過ぎて
いつもの日常がやってくる。
変わらない毎日。退屈な人生。
そんな日々を変えてくれた、あの子。
いつも真っ直ぐで前向きで、
人一倍正義感も強くて。
そんなあの子の癖も、
長所と捉えて伸ばすことができるのは
オレしかいないし、
これからも、ずっとそうだと思っていた。。
でも、違うのかもしれない??
あの子が津軽班に配属されて
そろそろ1年になろうとする頃。
オレは、いつもの道を歩く。
駅からマンションまでの道のり。
何気ない日常。
○○「歩さーん待ってください…」
オレは声のする方を振り返る。
東雲「早く来なよ。で、誰にも見られてない?」
さすがに公安課ルームからここまで仲良く帰宅、という訳にも行かず、電車の時間をずらして帰路についていた。
明日はたまたま休みが合って
ウチに泊まりたいという彼女と並んで歩く。
スーパーで買い物も済ませて来たらしく、
オレを見つけて追いかけて来たのだ。
○○「そこの所は大丈夫です!!」
彼女の手からスーパーの袋を奪うと
東雲「なに作る気? またブラック…」
○○「さすがに違います!!ほんとのほんとにエビフライで…」
東雲「ふぅん。まぁ期待しないで期待しとくよ」
○○「もうなんですかそれって」
オレはスーパーの袋を彼女に押し付けると
スタスタと歩いていく。
○○「歩さんひど…うん、分かってた。歩さんがこういう人だって…」
私は歩さんの背中を追いかける。
と、自販機の前で立ち止まる歩さん。
○○「歩さん!!飲み物ならホットピーチネクターがこの中に…」
スーパーの袋を指差すけど、歩さんは知らん顔で。
ガコンガコンと自販機のポケットに吐き出されたそれを取り出し、
東雲「キミ、ほんと女子力低すぎ…」
○○「え…」
東雲「指先冷えすぎだし。スーパーのは暖かくないでしょ」
そう言って歩さんは私の手からスーパーの袋を奪い、もう片方の手で私の手を掴むと、
暖かい缶コーヒーごとコートのポケットの中に突っ込む。
東雲「こうすれば暖かいでしょ。少しは」
コートのポケットの中で
歩さんの手が私の手をぎゅっと握る。
○○「●▲××🖤~~~~!!!!」
東雲「ちょっと、静かにして」
なんだかんだ言いつつ、荷物も持ってくれたし
寒い夜にほっこりとした温もりまでくれるし…
今日は頑張って脱ブラックタイガーしようと
心に誓うのだった….
○○「歩さん!帰ったら線香花火しません?」
東雲「線香花火? この真冬に?」
○○「この間のBBQの残りで…」
東雲「あぁ、あれね…やだよ寒いし。冷えるじゃん それとも…キミが温めてくれるの?」
○○「あた…あたためて……差し上げられるかは分かりませんが!!線香花火みたいにこうずっーと消える事なく歩さんと…」
東雲「……へぇ線香花火ねぇ…却下。また風邪引かれてへんなものまでうつされたらたまったモノじゃないし」
○○「なんですか~へんなものって~うう」
東雲「アハハ!涙目!!」
○○「誰のせいだと…」
静かな住宅街に2人の笑い声が響く。
何気ない日常が
かけがえのないものに変わっていく。
2人でいればこれからも、ずっと。
消えることの無い線香花火のように。。
__完