彼女と過ごす久しぶりのお正月。
元旦の、清々しい朝、
初詣というモノに駆り出されたオレ。
隣で彼女は熱心にお願いしている。
顔を上げたオレは、
東雲「ねぇ、ちょっと長すぎない?」
そうウチの彼女に声をかけた。
それでもゴニョゴニョと何やら呟いたあと、
○○「歩さんの分もちゃーんとお願いしておきましたから!!」
そう言ってぱぁっと笑顔になる。
東雲「……別にオレのなんてどうでも良くない? ほら、行くよ」
そう言って彼女の手を取ると
途端に興奮しだすからタチが悪い。
何かと落ち着きの無いこの子が
迷子にならないようにと
手を繋いでるだけなのに
何を勘違いして…
○○「あっ歩さん!!おみくじです!絶対大吉引きましょう!!」
そう言ってオレの手をぐいぐいと引っ張る。
人混みをなんとかかき分け、
それでも離されることはない手。
おみくじの所まで来ると
彼女は繋いでいた手をパッと離し
また何やら呟いている。
東雲「ねぇ、さっきから何?」
○○「左手に魔力を宿してるんです!左手というのはですね…」
東雲「何それ、こわっ…さっさと引いて。列、並んでるし…」
彼女は左手を思い切りよく突っ込むとぱっとくじを取り、
○○「歩さん!見てください!大吉です!!」
東雲「何キミ、何に目覚めたの? 怖いんだけど」
○○「歩さーん酷いですっ…歩さんは何でした!? 」
東雲「オレは…小吉」
○○「そんな!!取り換えましょう!!!」
東雲「何それ、そんなの効力ないでしょ」
○○「じゃあそこの木にくくりつけましょう!」
東雲「いいよそんなの、自分でやるし」
そう言ってスタスタと目当ての木まで歩いていく
彼女は何やら売店の行列に並んでいる。
オレは彼女が戻ってくるまで
神社で振る舞われている甘酒を飲んだりして時間を潰す。
駆け足で戻ってくる彼女。
東雲「お帰り。この後…」
○○「歩さんこれっ」
彼女がオレに差し出したのは、
東雲「御守り?」
可愛らしい黄色の干支を象った御守りだった。
○○「大吉のお裾分けです!これで1年、無病息災で…」
東雲「大吉のお裾分け…そんなのあるの。まぁいいや、ありがと」
オレはその、
今年の干支の動物をまじまじと見つめる。
○○「歩さん、どうしたんですか?」
東雲「そういえば…これ、キミに似てない?」
○○「えっイノシシにですか!? 」
東雲「猪突猛進なところが…」
○○「そ、そんなぁ!!歩さん…」
今年も、この猪突猛進な彼女に
振り回される1年になると思うと
それはそれで悪くない、なんて思うのだから
タチが悪いのはどっちなんだか……