もう腹が立ってムカムカしてるのに……
読むのを止められない……
自動販売機を壊しその店主に暴力ふるって逮捕された男はスズキタゴサクと名乗る
卑屈でノラリクラリとして大事なことは全て記憶がないという49才の冴えない男は
自分には霊感があり
時々事件を察知できる
と言い出す。
『十時に秋葉原の方で何かある』
と言い出したスズキを取り調べている最中
秋葉原で爆発が起こる。
さらにスズキは
「私の霊感では、ここから三度、次は1時間後に爆発します」
取調室で刑事とタゴサクとの会話が
次の爆発を特定するヒント
自分は生きる価値もない道端の石ころ
そう言いつつ警察官を手玉に取るようにクイズだの世間話だのをしつつ
次の爆発のヒントを出し
警察はそのなぞを解いて大パニック状態で
緊急の避難や捜索をする
ただただその繰り返し……
いったいどれだけの被害者が出続けるのか?!
そして爆発の真犯人は誰なのか?
このスズキタゴサクの会話が
もうね、ムカつくムカつく
(道端でコイツにあったら絶対殴ってやる!)
と思い続けて読みました。
でもね
コイツにムカつくのは
ある意味コイツの言うことが真実であり
自分の心の中にある黒い部分だから……
『可能性って素敵な言葉だけど同時に残酷な言葉でもある。この歳になったらわかります。それはどんどん減っていくもので、ほんとに残酷なんです』
それとか
『これは無差別テロではなく厳正な審査のもと、選別して裁きます
浮浪者は殺します。臭いからです。
子どもは殺します。うるさいからです
…………
この後延々と出てくるんだけど
これにひっかからない人はいないだろう
というくらい
色々な殺したい人間をあげつらってるんだけど
この中に……
私も同意してしまう奴らと理由もあったりして……
自分の黒い部分を認識しちゃいます。
人といふ人のこころに
一人づつ囚人がゐて
うめくかなしさ
オススメです