(あ、これ私ダメかも……)
と思ったのは
夫が不倫相手のところに行くようになって精神が壊れていく母と暮らす井上暁海
一方
男なしでは生きられず、男に夢中になって平気で子供を置き去りにするくせに、すぐに男に捨てられて泣き喚く母と暮らす青埜櫂
生まれる時に人は何かを与えられる
それは輝く宝石だったり足首に繋がれる鉛の玉だったりする
この二人はとてつもなく大きな鉛の玉(母親)を引きずりながら、この運命を生きていく
親の虐待とも思える生活を受け入れ、踏ん張る2人は遠距離恋愛になるが
東京で人気マンガ家(原作者)になっていく櫂と
すべてのプライバシーが翌日には島中の人が知ることとなる島で精神を病んだ母親を支え、時代遅れの会社で地道に働く暁海の間にはどんどん距離が開いていく
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児童虐待とかヤングケアラーの話は
今は避けたい私なので
(精神的にダメージ受けちゃうの)
無理かな……無理かな……
と恐る恐る読み進めていたのですが
二人の登場人物によって
私は時々泣きつつも安心して読むことができました
暁海の父親の不倫相手の瞳子は
「誰かに遠慮して大事なことを諦めたら、あとで後悔するかもしれないわよ。そのとき、その誰かのせいにしてしまうかもしれない。でも私の経験からすると、誰のせいにしても納得できないし救われないの。誰もあなたの人生の責任を取ってくれない」
等、強く暁海を押してくれるし
暁海と櫂の高校の化学の教師の北原先生の言葉はどれも心にじんわり染みるの
「自分で自分を養える、それは人が生きていく上での最低限の武器です。結婚や出産という環境の変化に伴って一時的にしまってもいい。でもいつでも取り出せるよう、メンテはしておくべきでしょうね。いざとなれば闘える。どこにでも飛び立てる。独身であろうが、結婚していようが、その準備があるかないかで人生がちがってきます」
島でただ一人のシングルファザーという北原先生の考え方はとても筋が通っていて温かく
こんな人がそばにいてほしいなぁ~
としみじみ思ってしまいました
あちら側とこちら側の狭間で身動きがとれずに悩んでいた暁海が
どちら側に行くのも自分の意思で決められるようになったことを
一人の保護者として(?)とても嬉しかった
直木賞候補作品
2023年本屋大賞受賞
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