‐第2セットインターバル‐
千西ベンチ

千西顧問
「やはりあの2人がキーだな。2番のアタックと4番のトスワーク。2番にばかり上げていたと思えば2アタック。2アタックを警戒していれば、オープンに上げてくる…。とりあえずは1セット目で何点か取れた。それは船二のサーブレシーブミスに起因している。リベロもそこまで怖くない。諦めずリベロにサーブを集中してミスを誘え。やがてチャンスは来るはずだ。よし、行け!」

千西選手たち
「おぉーーー!」


‐船二ベンチ‐

明日香
「みんなお疲れ様!やっぱ切矢のニードルアタックは鋭いわね。さぁ次もガンガン頼んだわよ、切矢!」

切矢
「あ、あぁ!もち!!25点全部ニードルでもいいぜ!」
一瞬切矢は返事に困ったものの刹那にいつもの雰囲気に戻した。

しかし、遊が言った。


「この試合、もうニードルアタックは禁止だ。」

明日香
「えっ?」

ベンチが息詰まる。

明日香
「なんで?あれがなければ遊にばかり負担が…」

切矢
「そうだ!この試合、次取れば勝ちだぞ!出し惜しみしてどうする?!」


「お前の右手。もう限界だろ。」

明日香
「え?うそ…」


「あのアタックは手首に負担が掛かりすぎるんだ。打ててあと二発ってとこだろ?」

切矢
「…」

明日香
「それじゃあ…」


「ああ、本当ならすぐにでも病院へいくべきだ…」

切矢
「…っけんな…」

明日香
「?」

切矢
「ざっけんな!」

切矢は遊の胸ぐらを掴んだ。

切矢
「ざけんな!テメエに俺の苦労がわかるか?あのアタックにどれだけの思い込めてるかわかんのか!」


「ああ、わかるよ」

切矢
「!」


「おまえ、毎晩学校来て練習してたろ?毎朝一番に部室に入ってるの誰だと思ってんだ?」

切矢は黙ったままだ。


「おまえのロッカーの中、帰りはユニフォーム入ってるのに、朝になると無くなってんだ。おかしいと思って夜来てみたらあのアタックの練習をしてるおまえを見たんだ。」

切矢はなお黙ったままだ。


「そんなに頑張って編み出した技に、今おまえ自身が潰されようとしている!チームキャプテンとして放って置くわけにはいかないんだよ!!」

明日香
「遊…」


「いいか、切矢」

そういって、胸ぐらから切矢の手をどけた。


「忘れるな、俺たちの目標を…」


つづく


※この物語はフィクションです。
ここで今回の試合ルールと各校のポジショニングを説明しておこう。

ルールは国際ルールと一緒だが、3セットマッチとしている。
ポジショニングは以下の通りとなっている。

船橋第二中
(以後、船二)
8 3 9

1 4 2
---------------
1 3 4

7 8 5
千葉西中
(以後、千西)

では話を試合に戻そう。
‐船二 1‐0 千西(船二サーブ)‐

背番号1のフローターサーブ。

バンッッ

これを7番が綺麗にセッターに返す。

8番セッターがトスを上げた!

ポスッッ

これに3番がオープンで打った~!

バシッ



だがこれを読んでいたのは切矢だ!
ブロック一枚だがアタックのコースに入っていた。

しかし止めるまでには及ばず、リベロの高橋がこれをカバー。

綺麗に遊に返る。

千西顧問
「2番に付け!それ以外は怖くな…」

ポスッッ

千西顧問がしゃべり終わる前には、遊はもうトスを上げていた。
“ハイジャンピングトス”だ!
遊のジャンピングトスはその長身(185cm)とジャンプ力を活かし、相手の予想より早くトスを上げることが可能なのだ。

そしてこの高い打点に合わせられるのは、これまた長身(190cm)の切矢しかいかなかった。

切矢
「よし、もらった!完成したばっかの~……ニードルアタックゥー!!」

切矢の得意技・ニードルアタックが炸裂した!

バシーーーン

相手コートにボールが突き刺さった。


その後、千西も食らいついていったものの、2人のコンビネーションを崩すことは出来ず、船二が1セット目をものにした。

ピーーーーッ

審判
「第1セット、25-5で船二勝利!」

船二ベンチは俄然湧いた。
3年が抜けた後の気苦労が報われた瞬間だったのだから…

しかし、次のセットで波乱が待っていようとは、ある2人を除いて知る由もなかった…



第2話へつづく
◆主な登場人物◆

・灰原 遊
  船橋第二中2年
  セッター
  背番号4
・早速 切矢
  船橋第二中2年
  センター
  背番号2
・棚田 明日香
  船橋第二中2年
  マネージャー

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これはバレーボール戦士たちの長きに渡る戦いの物語である。


物語は寒さ厳しい1月中旬、ここ千葉市立・船橋第二中学校から始まる…。



‐船橋第二中・体育館‐
船橋第二中 vs 千葉西中(練習試合)

‐千葉西ベンチ‐

千葉西顧問
「いいか。相手は昨年の千葉代表校。だが、三年が抜けた今、戦力が半分以上も低下していると聞いている。昨年から引き続きスタメンにいる2番と4番の動きを見逃すな。牙を向くなら今しかない!千葉八強の意地を見せてこい!!」

千葉西選手たち
「おぉーーー!」


‐船橋第二ベンチ‐

明日香
「さぁ、もう先輩たちはいないわ!でも、うちには遊と切矢がいる。サーブレシーブをキッチリ遊に返せば、後はなんとかなるっ!」

切矢
「明日香ぁ。相変わらずの遊任せか?たまには作戦らしいのねぇの?」

明日香
「しょうがないじゃない。顧問の内海先生はどっか行っちゃってるし、もう高崎キャプテンもいないんだから…」


「まぁマネの明日香に突っかかるな切矢。とりあえず今日は乗り切るしかない。
相手は千葉のベスト8に名を連ねる強豪だ。先輩たちはもういない。自分たちの力で切り開いてくしかない。まずはサーブレシーブ、キッチリ拾おう。いくぞ!」

船橋第二選手
「おぉーーー!」


こうして、両校の選手たちがコートに入って行った。


‐船橋第二 0‐0 千葉西(千葉西サーブ)‐

千葉西・背番号5のサーブ。

バンッッ

これが船橋第二のリベロ・高橋を襲う!
少し揺れるサーブ!

ボスッッ

しかし、ここは高橋なんとか拾う。

これを遊がセットしに行く。
これに合わせて切矢がジャンプ姿勢を取る!

千葉西顧問
「2番のクイックだ!ブロックに付け!!」

すかさず切矢の動きに気付く千葉西陣営。

しかしそのまま遊が飛ぶ!

ポスッッ

トーーン


ブロックが飛ぶ前に、前衛のがら空きのスペースへ遊がふわりとボールを落とした!


千葉西顧問
「なっ何ぃー!いきなりツーアタックだと…」

そう、このチームは変幻自在のトス捌きに、灰原 遊という選手に強さの秘密があったのだ…

つづく