インターバルが終わり、選手たちがポジションに付いた。
第3セットが始まった。
‐船二 0‐0 千西(千西サーブ)‐

ピッ

千西・背番号5のフローターサーブ。

バンッッ

高橋と交代していた、船二の背番号5番・斉藤を襲う。

斉藤、これをかろうじて上げるが、遊にはアンダートスの形で返ることになる。


「くっ!」

かろうじて切矢がこれを左手でアタック。

しかし、威力がまったくないアタックは綺麗に拾われ、瞬く間にアタックまで繋がった。

バンッ

船二、これを拾えず…

ピッ

‐船二 0‐1 千西(千西サーブ)‐
千葉西・背番号5のサーブ。

ピッ

バンッッ

これもまた斉藤を強襲。
またもうまく返せず、さっきと同じ展開となり、船二はまたも失点。


‐船二 0‐2 千西(千西サーブ)‐
千葉西・背番号5のサーブ。

ピッ

バンッッ


(これじゃ高橋の二の舞になる…)

遊は右手を力一杯伸ばした!


「いくぞ切矢!」

遊の伸ばした手がボールに当たり、切矢の頭上へトスを上げたような形になった!

切矢
「ナイス遊!」

バンッッ

さすがにこの不意のツーアタックには千西前衛誰も反応が出来ない!

バーーァン

千西コートにボールが落ちる。

ピッ

切矢
「よっしゃー!」

明日香
「やったぁ!」


「よし!」

千西顧問
「あんな奇跡二度と続かない!気にするな!!」

千西も冷静さは失っていなかった。

この後も互いに一歩も引かなかったが、やはりミスが多かった船二が突き放される形で第3セットも中盤を向かえていた。

船二 5‐8 千西


そしてここで遊がタイムアウトを取る。

切矢
「遊、すまん。まだあのツーアタックのタイミングが取りづらくて…」


「いや、徐々に合いだして来ている。なんとか踏ん張って追いつこう。」

切矢
「ああ。」


「あとは俺が後衛の時にはこれが出来ないが…」


「なんだぁ?この不甲斐ない試合は?」

一斉にその声の主の方向を見る。

明日香
「内海先生!」

そう内海が帰って来たのだ。隣には金髪の長身(188cm)の男が立っていた。


つづく

※この物語はフィクションです。
遂に恐れていた第3セットが間もなく始まろうとしている。

‐第3セットインターバル‐

千西ベンチ

千西顧問
「よぉし、完全にこっちのペースだ。あっちはもうリベロがいなくなった。サーブレシーブを崩しまくれば、あっという間に15点取れるぞ。
よし、おまえら勝利をもぎ取ってこい!」

千西選手たち
「おぉーー!」


船二ベンチ

俄然盛り上がる千西とは対照に、意気消沈する船二サイド。

切矢
「もうニードル連発しか勝てねぇよ、遊!」


「それだけは駄目だ。」

切矢
「じゃあもう負けるしかねぇじゃねぇか!高橋が出れないんじゃ、守備力がた落ちだぞ!!」


「死に物狂いでレシーブするしかない。あとは俺に返してくれればなんとかする!」

切矢
「なんとかって…」

もうインターバルの時間が終わろうとしている。

切矢
「明日香、なんか作戦ねぇのか?」

インターバル中、黙ってスコアブックやメンバー表を見続けている明日香に切矢が突っかかる。


「切矢よせ。明日香に突っかかるな。俺たちで考えるん…」

遊の言葉を遮るようにして、明日香がしゃべりだした。

明日香
「ねぇ、このメンバー表って昨日、切矢が内海先生から受け取ったんだよね?」

切矢
「ああ、そうだよ。まぁエアメールだったけどな。それがなんだよ。」

明日香
「いや、なんか知らない人の名前が1人載ってるなぁと思って眺めてたんだけど…」

切矢
「あぁ?!んなわけあるか。」

そう言うと、切矢は明日香からメンバー表を取り上げた。

切矢
「はぁ?誰だこいつ…」

みんなでメンバー表を覗き込む。


「クリス・レイヴァン?レイヴァン…まさか…」

切矢
「遊知ってんのか?」


「いや、たぶん人違いだと思うが…」

切矢
「ふ~ん。まぁこんな誰だけわかんねぇやつのことはほっといて、そろそろいこうか」


「そ、そうだな。とりあえず今は試合に集中だ!とにかくサーブレシーブを丁寧に上げよう!行こう!!」

船二選手たち
「おお!」

こうして、第3セットが間もなく始まろうとしていた。

つづく

※この物語はフィクションです。
遊はさらに続けた。


「夏、全中※に行って船二を優勝させる!去年の雪辱を晴らす!それまでチームの誰1人脱落なんてさせやしない!」

切矢
「それならわかってる。だから俺はニードルアタックを編み出したんだ。」


「なら、夏までに弱点を克服しろ。この試合、3セット目にもつれ込んだ時、いざって時に2発、それだけに使え。」

切矢
「でもそれじゃあ…」


「先輩たちが抜けた後のチームキャプテンは俺だ。これは命令だ。指示に従えないならおまえをコートから出すまでだ。」

さすがにこの言葉には切矢も頷くしかなかった。


「よーし!じゃあみんな次取るぞ!!」

船二選手たち
「おぉーーー!」


こうして第2セットが始まった。

精彩に欠ける船二に対し、リベロ狙いの千西。

2セット目の中盤、暗闇の渦への流れが生まれる。


‐船二 17‐17 千西(千西サーブ)‐
千西・背番号4のフローターサーブ。

バンッッ


切矢
「くそっ!また高橋かよ!」


「高橋頼む!」

高橋
「こんなとこで負けてられっかぁ~~!」

揺れるボールに飛びつく。
しかし、すでに高橋の脚は限界に達していた。
高橋は飛びつこうとするがその場に倒れ込む。

バンッ

ボールは無情にも床に落ちた。

遂に千西は逆転に成功したのだ。

高橋
「みんな…すまん…」

高橋は涙ぐむ。
そのまま高橋はベンチに下がり、船二にはリベロがいなくなった。


そして…


ピーーーーッ

審判
「第2セット、25-17で千西勝利!」

千西ベンチは一気に景気付いた。
逆に船二は奈落の底へ突き落とされたような雰囲気に包まれていた。


試合は恐れていた第3セットへもつれ込むのであった。



第3話へつづく

※全中:全日本中学校バレーボール選手権大会のこと。毎年夏に各都道府県の代表校が一度に会し、中学バレーボールの頂点を決める大会。

※この物語はフィクションです。