違い | 踊るマハラニ

踊るマハラニ

マハラニってガラじゃありませんが。

梨木果歩の『雪と珊瑚と』を読んだ。
あまり事件は起こらない、たんたんとしたお話。
にもかかわらず、先を読み続けたくなってしまう。

その前に読んでいた連作もののライトミステリはそれなりにおもしろかったし、
いろいろ事件も起こるし、キャラも立ってるし…
なんだけど、はらはらしそうな場面でも、
パンっと本を閉じて寝てしまうことができた。

この違いはいったいなんだろうね。
いわゆる筆力、ということなのかとも思ったけど、
たぶん人物の描き方なんだと思う。

『雪と珊瑚と』は誰もが生きているように感じたんだよね。
主人公の珊瑚のまわりには善意も悪意も打算も厳しさもあって、
彼女の悩みや迷い、他の人への思い、そういうのが
自然に伝わってくる。

なんだか、とてもしみいる本だった。
登場人物のひとり、くららさんの料理みたいにね。