「Introducing The BEATLES」Mono  1964. 2nd ver.

 

mono VJLP1062  63-3402    63-3403    △6307    MR   ③

 

盤質はキズが多少はあるものの、目立つものはない。音質は、よく言われる「中高音が顕著」通り。UKオリジナルPPMの腰の据わった音作りに対して、ボーカルがやたらと前に出てくる感じなのだ。悪い意味ではなく、ジョンやポールのボーカルが息遣いも含めた感じで声が良く通るのだ。逆に楽器の音が引っ込んだ形で、歌い手の後ろで演奏されているみたいだ。リンゴの「ボーイズ」とジョンの「ツイストアンドシャウト」もUK盤では、楽器も含めた圧倒的なエネルギーを感じるのだが、この盤では彼らの歌声がさらに圧倒的なのだ。ジャケットの「ENGLANDS No.1 VOCAL GROUP」のうたい文句が伊達でないことがわかる。アメリカでは、ほぼ未知で無名なビートルズがロックバンドというより、ボーカルグループとしてまず捉えられた、というのが面白い。

チリパチノイズはあるものの、大きなボツ音もなく全体的に良好。有名な「フォッ₍4)!」で始まる一曲目は、無音からの発声だけにインパクトが大きい。「Please Please Me」はUKオリジナルがA面7曲目で、この盤ではB面1曲目になるため、溝の切り方が変わるためレコードの構造上音の聴こえ方が向上している。

 

以前に記事にしていたが、その後の誤謬を訂正

アメリカ VeeJay社との関連を時系列的に並べてみると

1963年1月25日に同社と契約(シングルとアルバム「PPM」の収録曲の2年間の米国での発売権)

同年2月25日にシングル「Please Please Me / Ask Me Why」を発売

同年5月6日にシングル「From Me To You / Thank you Girl」を発売

同年7月22日にアルバムをリリースする計画をするも、同社の経営難からリリース自体が凍結される。

 

ところが、米キャピトル・レコードが大々的にビートルズを売り出す計画があることを察知した同社は、キャピトルに先んずる形ですでに凍結されていたアルバムのリリースを本格的に再始動。キャピトルが1964年1月22日に「Meet the Beatles」をリリースすることが判明したので、VeeJay社は駆け込みで1964年1月10日アルバムを発売。滑り込みセーフで間一髪で同社は「The First Album(アルバム発売第一号)」の名声を得た。

 

そして世に出たのは「Love Me Do / P.S.I Love you」の1st ver.

UKオリジナルPPMから、VeeJay社から先行発売されたシングルの「Please Please Me / Ask Me Why」をのぞいた12曲入りのアルバムが発売された。UKオリジナルのPPMからタイトル曲が省かれたので、アルバムタイトル自体も「Introducing The BEATLES」と、ほぼ捻りのないものになった。

 

同社の災難は続く。

アルバム発売後、米国発売第一号を奪われたキャピタルからの意趣返しなのか、著作権に関して「Love Me Do / P.S.I Love you」の収録について訴追を受けてしまった。経営の厳しいVeeJay社はキャピトルとの裁判で争う気力も体力もないので、やむなく曲の差し替えを選択。こうして、1964年1月27日(2月10日とも)に「Please Please Me / Ask Me Why」と「Love Me Do / P.S.I Love you」を差し替えた第二版が発売されることに。これ以後は、ご存じのとおり。同社は結局「埋蔵された宝の山」を探り当てることはできたが、掘り出すことができずに迷走を繰り返すことになってしまった。

 

ついに手に入れた盤である。いろいろと迷ったチキンの俺は、なんとかいろんな言い訳を自分に行って購入したのだ。

ニセモノをつかまされるかも、というわけではないのだが、いろいろとチェックをした。限りなくモノホンっぽいが100%ホンモノとも言い切れないところがツライ。

 

・ジョージハリソンの影(彼の立っている右側)がある。 

・ジョンレノンとリンゴスターの腕時計の文字盤が見える。

・ジャケットの表カバーと裏カバー紙は、半光沢で滑らかさ(ツルツルさ)がある。割としっかりしたつくり。

・レーベルのスピンドルホールの「上」にタイトル「INTRODUCING THE BEATLES」と「THE BEATLES」とが上下に並ぶ。

・レーベルの周囲を一周する虹の輪は高解像度で、滑らかなグラデーションによる色の変化がある。

・レコードのデッドワックスエリアには、「丸の中に「MR」の文字」の機械的な刻印がある。

・プレス工場は「MR 」: Monarch Record Mfg.     カリフォルニア     

・レコードのトレイルオフ部分 - 最後のトラックの終わりとレーベル間は、幅が 1 インチ₍2.54cm)まで。

・レーベルの模様は「【VJ】」  "LONG PLAYING "   "MICROGROOVE"  なし

・ジャケットの種類 裏カバー:曲目入り(column back)

・PPMの表示:Please, Please Me(カンマ有り)

・当時のVeeJayの広告のインナー付き。これはこれで貴重。

 

全国的に営業店を展開している某円盤協同組合さんで中古で購入。で、店員さんにカウンターフィット(模造盤)についてのコメントを聴いたのだが。以下のとおり、中古盤販売店では当たり前の反応でありました。

・ウチは中古盤については、現状有姿で販売しているので、盤の状態には責任持てない₍新品の初期不良品は交換します)。

・ニセモノか本物かは当店ではわからない。ギャランティ₍保証)もつけていない。自分で判断してください。

・お客さんのほうでニセモノの不安があるのなら、無理に買わないほうが良い。返品は受付しません。

・あとからニセモノだったと因縁つけられても当店も困るので、納得して購入してください。

 

 

とりあえず、将来の年金が幾らもらえるかまで計算して、自分を納得させて購入したわ。ビンボ臭い。

 

福沢諭吉先生一枚でお釣りが来た程度のお値段。第二版に関してオクや海外輸入盤でのだいたいの相場くらいだ。

実際にレコードの音を聴いて、これがニセモノと言うのなら、どれだけニセモノのレヴェルが高いねん!と感じる次第。

自分の耳がチープなので、ホンモノと思いたくて、この程度でも簡単に騙されているのかもしれないが。