今日は勤労感謝の日、

夫に感謝する。 


夫が大学院博士課程を修了して、

大学助手になった年に結婚した。

助手は2年契約で、 

それ以降、2年は、オーバードクター故、無収入で、

予備校で教えて生活を守ってくれた。

まわりはバブルの残る頃で、 

長女も生まれたばかり、 

私は、安物で乗り切った。


漱石の「吾輩は猫である」を読んでいると、

会社員になり、金回りの良い友人に対して、

苦沙弥や迷亭、貧乏学者が嫌味を言う気持ちもわかる。 

周りの研究者達も、

そんな雰囲気だったと思う。 


大学ヘの、職が決まり、

今の街にに引っ越して来て、 

30年になる。

古いながらも家を買ったし、

何度も海外で研究させてもらった。

学長や理事長にも良くして頂き、

恵まれた研究生活だと思う。  

私は、その度に、学長、理事長には、 

妻として、感謝の意をお伝えした。


夫は、 

あれが欲しい、これをしたいと言う事もなく、

洋服も私の母が勝手に買って贈ってくれた物や、父のお古を喜んで着てくれた。

私の不器用な料理も、

美味いと全部食べた。

休日には、ドライブに連れて行ってくれて、

庭仕事もやった。

 

長女は、私立医療系大学に進学、 

学費は勿論、

実習費とウィークリーマンション費が大変だった。 

1000万の費用は大変だったが、

長女も頑張って勉強して、 

自分の道を進んでいる。


長男は、

高校から、大学付属で、

登山、旅を趣味に持ち、

結局、大学中退となり、

今は自分の生きる道を悩みながら模索しているのだろう。


夫は、穏やかな性格で、

学界を何とか渡り歩いて来た。

昨夜は、

「吾輩は猫である」について語った。

大抵の本は読み、

何でも良く知っている。

水島寒月君だって、敵わないくらいだ。

私の妹は、夫を、

「先生、先生」と呼んで、

わからない事、知りたい事を、

長電話して質問攻めにした。

私の母の一方的政治歴史談義電話に、

頻繁に付き合ってくれていた。


豊かで視野の広い人だと思う。