今回の「乙武洋匡と龍円あいりのインクルーシブラジオ」は乙武さんがお休みでしたので、私が取り組んでいるインクルーシブ教育についてお話しました!
と思ったら、話したいことがいっぱいありすぎて30分になっちゃいました大きく分けると4パートあります。
①米国で経験したインクルーシブ
②分離教育・統合教育・インクルーシブ教育
③世界のインクルーシブ教育の潮流/障害者権利条約ハンドブック
④日本で実践するには?
ラジオを聴きながら見てもらえるとより分かりやすいように、写真や資料を貼ります!ラジオを流しながら、よければご覧ください。
①米国で経験した「インクルーシブ」
2013年に米国カリフォルニア州で出産し、ダウン症のあるニコと共に、「米国のインクルーシブ」を経験しました。0歳からインクルーシブ教育への準備が始まりました。
グループ療育が0歳は週1回、1歳は週2回ありました。(そのほかに個別の療育もありました)グループ療育では週1回1時間「保護者のための時間」が開催されていました。
②分離教育・統合教育・インクルーシブ教育
09:27-
日本の現状は「分離教育」
統合教育(インテグレーション)
インクルーシブ教育
米国カリフォルニア州のインクルーシブ教育を、テレビ朝日報道ステーションが放送してくれたアーカイブがとても参考になります。
息子のニコが通っていたグループ療育施設(ICEC)の様子が見られます。「IEP(個別の教育計画)」を作るための会議開催の様子、そして親が「アドボケイター(代弁者)」をしている様子も取材されています。ぜひお時間あったらご覧ください。
③世界のインクルーシブ教育の潮流障害者権利条約パンフレットを読み解く
17:11-
「サマランカ宣言」(1994年)
「特別なニーズ教育に関する世界会議」において採択。インクルーシブ校の基本原則として「すべての子どもは、なんらかの困難さ、もしくは相違をもっていようと、可能なさいはいつも共に学習すべきである。特殊学校、もしくは学校内に常設の特殊学級やセクションに子どもを措置することは、まれなケースだけに勧められる、例外であるべきである」と示された。
障害者権利条約(2006年採択・日本は2014年批准)
「障害者権利条約ハンドブック」原文はこちら
http://archive.ipu.org/PDF/publications/disabilities-e.pdf
以下が和訳です⇩
障害者権利条約ハンドブック第6章 障害者権利条約の導入ー実践のための準備(教育)
インクルーシブ教育の世界の状況
障害のある人の教育に関しては、特に発展途上国において、様々な潜在的な障壁(バリア)が存在しています。この障壁には、以下のようなことが含まれます。
・貧困
・児童生徒が多すぎる学校
・技術が確かな教員の不足
・障害のある生徒への合理的配慮と支援の欠如
・アクセスの悪い施設
・アクセスが悪いカリキュラム
・乏しくアクセスの悪い移動手段
・社会的なスティグマと学校環境における親和性の欠如
発展途上国において、学校に所属している障害のある子どもたちは、1-3%の低水準に留まっていると推測されます。従って約98%の障害のある子どもが学校に通っておらず、教育を受けていません。ミレニアム開発目標の「初等教育の完全普及の達成」は達成されずにいます。
インクルーシブ教育の意義
しかし、普通の教育に包摂(インクルード)された障害のある子どもは、重度の障害がある子どもも含めて、より学校を卒業する可能性が高まり、より中等教育やトレーニングへつながり、より就労し、より良い収入を稼ぎ、よりコミュニテイにおいて活動的なメンバーになることが研究によって示されています。
障害者権利条約は、24条において、人生の様々な段階における教育についてカバーしています。最も優先すべきことは、障害のある子どもたちにすべての段階において学校に参加することを促すことです(24条(2)(a))。この条約では、子どもの最善の利益に焦点を合わせることが、それを実現するために最善の方法だと強く主張しています。(24条(2)(b))
条約では、子ども時代に教育を受けることができなかったり、機会が不足していたことによって十分な教育を受けることができなかった多くの「障害のある大人」についても、教育をする必要があることにも触れています。条約では、人生の途中で障害を得たことで、仕事をするために職業訓練や大学の学位プログラムなどといった、さらなる教育を受けることを希望したり必要とする大人も含め、障害のある人の生涯にわたる学習の重要性についての認識も示しています。
この条約が推進する教育へのアプローチは、インクルーシブ教育が、知的障害のある子どもたちも含め(すべての子どもにとって)「最良の教育環境」を提供するだけでなく、障壁を打ち破り、ステレオタイプ(固定概念)の打破する挑戦に役立つことを示す、確実性を増し続ける一連の証拠に基づいています。
このアプローチは、「障害があること」について恐れるのではなく、「障害があること」を容易に受け入れ、抱き止める社会を作り出すのに役立ちます。 障害のある子供とない子供が一緒に成長し、同じ学校で隣り合って学ぶと、お互いに対するより深い理解と尊敬が育ちます。
インクルーシブ教育へ移行するには
「特別教育に頼る学校システム」から、「インクルーシブシステム」に移行するには、子どもの最善の利益とニーズを守るために、慎重に計画を立て実装する必要があります。
両親、コミュニティのリーダーたち、教員らによる支援は、前提条件です。
インクルーシブにするために、一般の教育システムは以下の事項について、取り組まなくてはなりません:
・障害のある人に対して、適切な施設や教材を提供すること。
・障害のある子ども生徒を含めて、すべての子どもと生徒のニーズを受け止める教育方法やカリキュラムを導入するとともに、多様性への受容を高めることを促進する。
・すべての教員に、インクルーシブな教室において教育することについて研修をするとともに、教員らが相互に助け合うことを推奨する。
・障害のない子どもも含めて、すべての生徒が可能な限り最大限に学べるよう、多様なニーズに見合った幅広い支援を提供すること。
・視覚障害のある子ども、聴覚障害のある子ども、盲聾の子どもらが、教育にアクセスができ、コミュニケーションができるよう、点字や手話言語を学ぶことを可能にする。
学校までの移動アクセシビリティの確保
教育システムを超えて
教育へのアクセスは、ただの「教育システム」のことではありません。
たとえ、障害のある子どもが通うことを学校が許可したとしても、(学校までの)移動を可能にするアクセシビリティ配慮が十分でなければ、学校まで到着することが難しかったり、登校が不可能となってしまいます。時には、学校そのものが、アクセスできないこともあります。
こういった物理的な構造を変えていくことは、気が遠くなるほどの困難なことのように感じられるかもしれません。しかし、そのように考える必要はありません。時間の経過とともに、建物はリフォームされる必要があり、アクセシブルなデザインや構造を増築・追加していくことが可能です。
将来的には、教育施設も含め、すべての建物をアクセシブルにすることを義務化する必要があります。これは、車椅子ユーザーが建物に入れるようにするだけではなくて、点字サイネージ、弱視の方のための適切な調光といったことも必要です。
アクセシブルな構造を建設するのは、建築時であれば、総建築費の1%にも満たない追加費用で可能であることを示す研究があり、費用負担は最小限にとどめられます。
インクルーシブ教育は、分離教育より安い費用で、持続可能性が高い
インクルーシブ教育のための費用
インクルージョンは、とてつもなく高額で、非現実的で、持続不可能、または厳密には障害特有の課題(全体の課題ではない)だと、誤って考えられがちです。
しかし、すべてのポジティブな対策が高額なわけではありません。すでに複数の国で、インクルーシブの度合いを高めるために、限定的なリソースであっても費用対効果が高いプログラムが構築されています。
(条約を批准している)各国は、利用可能なリソースを活用して、明確な目標のゴールを達成することに集中し、教育費用においては短期的・中期的・長期的にも持続可能であることを確実にしていく必要があります。
インクルーシブ教育システムの費用を削減することは、個々の子どもに対してのみならず、インクルーシブ政策全体に対しても、劇的な悪い影響を与えます。
一般的に、インクルーシブ教育環境は、分離システムに比べて、費用は安くなります。この所見は、単一の統合された教育システムは、二つの分離された教育システムよりも、より費用が安くなるだろうという考え方と一致します。単一の(教育)システムは、管理運営コストを下げます。分離した教育環境だと、地理的により広範囲の人々が関わることになってしまうため、(障害のある人の)移動のための費用についても、単一の教育システムの方がより安くなります。
知的障害児も含め、80-90%の特別な教育ニーズがある子どもは、基礎的なインクルージョンのための支援さえ整っていれば、いとも簡単に普通の学校や教室に統合ができることが、これまでの(世界における)経験が示しています。
参加国のチェックリスト
どうやって教育をよりインクルーシブにできるか?
・インクルーシブ教育の実践方法について、教員養成過程の必須項目にして、普及する。
・障害のある人たちに、教員としての訓練を受けるように推奨する。
・インクルーシブ教育の実践方法について訓練を受けた教員が、他の教員を教えるという「ピラミッドトレーニング手法」を使う。
・より高いレベルの生徒が、下級生を助ける、ピア・チュータープログラムを推進する。
・学校と保護者らとの、パートナーシップを促進する。
・地域における既存のリハビリ(療育など)ネットワークを、インクルーシブ教育の仕組みとつなげる。
・子ども自身が(学校における)合理的配慮の提供が適切かどうか、査定することを保障する。
・現存している特別教育学校については、(特別支援等に関する)リソースセンターに変える。
・障害のある子どもたちの、学校における登録や修了状況に関してモニターするために、通報・報告システムを構築する。
④日本・東京でインクルーシブ教育をどう進めようと考えているのか
26:30-