令和4年9月15日に都議会の文教委員会において、中学3年生を対象に実施される英語スピーキングテストにおける、特別な配慮や支援を必要としている子どもたちの受験について質問をさせていただきました。

 

 

動画でご覧いただくには、以下のリンクから。(4:14:35ごろから)

 

<龍円質問>

 先ほど、都民ファーストの会の英語スピーキングテストに関する主たる質疑は内山委員会からさせていただきました。私からは、このテストについて、スペシャルニーズ、つまり特別な支援を必要としている生徒への対応について伺わせていただきます。

 

 合理的配慮の提供に関する整理を「特別措置に関する案内書」にまとめてあり、14の区分を設定して、特別な措置を行うとのことでした。どのような配慮を提供するのかをこのように事前に一般に広く知らせるようにしたのも、合理的配慮の一つだと感じました。

 

 

 都立高校の入試するという観点から見ると、特別な支援を必要とするお子さんは「特別措置」を受けて受験するか、「不受験による措置」という2つの選択肢があると理解いたしました。スピーキングテストからの分離や排除にはなっていないと思います。

 

 ただ、合理的配慮が提供されることの周知がまだ足りていないかもしれません。「合理的配慮」という言葉は一般に浸透していますが「特別措置」という言葉があまりなじみのない言葉です。HP

を拝見すると「特別措置に関する案内書」として記されていますので、その横などに「合理的配慮の提供について」というようなことを書き加えていただくなどしていただけると良いと思いますので、よろしくお願いします。

 

追記:私の指摘を受けたものかどうかはわかりませんが、少しだけHPでわかりやすく掲載されるようになりました。こんな感じ。下矢印

 

 

Q.特別支援学校や支援学級、通常の学級にいる発達障害等のあるお子さん等も含めて、希望する皆さんに試験を受けられることが大切です。希望すれば誰もが受験することができるのか伺います

 

<都教委の答弁>

特別支援学校や公立中学校の特別支援学級に在籍する生徒は、希望により受験が可能通常の学級に在籍する発達障害のある生徒は受験対象となっており、受験が可能。

 

 

<龍円>

特別支援学校、支援学級在籍の生徒、特別な支援は配慮を必要とするすべてのお子さんが、希望すれば受験が可能とのことでした。

Q.ちなみに受験を希望しているものの、会場に物理的に来られない(病気治療のために入院しているお子さんのための)院内学級のお子さん等についてはどのように対応するのでしょうか

 

<都教委の答弁>

原則として、設定された会場での受験をお願いしている。

 

 

<龍円>

会場での受験でなければならないとのことで会場に物理的の来られない生徒については、残念なことですが希望しても受験ができず、都立学校の入試を受ける場合は「不受験による措置」を申請することになるのかなと思います。

 

 院内学級のお子さんの場合は病気の具合によっては外出が制限されていたり、コロナ感染のリスクを考えても会場に行くことの許可を得るのは難しい面もあるのかなと思います。また特別支援学校の訪問籍で外出が難しい生徒も、物理的な移動が難しいことが多く、受験したくてもできないのかなと思います。これらのお子さんについては、移動が制限されている状態が継続的に続いていることもあり、普段から様々なことへの参加が制限されてしまっております。移動が制限されて会場に行けないことがかなり前から分かっている生徒さんたちですので、初年度の今年は難しくとも、来年度以降に合理的な配慮として、院内や訪問での受験などの対応ができるようにするなど、検討していただけたら幸いです。絶対数が少ないはずですので、個別の対応を検討していただけたらと思います。

 

Qところで、「特別措置に関する案内書」を拝見させていただきました。知的障害のある生徒の受験については、どのように対応するのか伺います。

 

<都教委の答弁>

ホームページに「特別措置に関する案内書」を掲載しており、知的障害のある生徒への対応として、受験会場、試験時間の延長、機材装着準備の代行及び試験準備時のタブレットへの入力作業代行等の措置について案内

 

<龍円>

私が最初に見たとき、知的障害児への合理的配慮を見つけられませんでした。知的障害のある生徒への対応は、項目としては「発達障害」の項目に米印で「知的障害をお持ちの生徒で、措置を希望する場合は措置区分10または11(つまり発達障害の項目)で申請してください」と注意書きがあるのですが、それを見落としてしまいました。

 

 

(追記:ちなみに知的障害は「持つ」ものではなく「ある」ものですので、そこも来年度は訂正していただけるように伝えてみたいと思います)

 

これをなぜ見落としてしまったかというと、特別支援教育の中では、知的障害と発達障害は海と山くらい違う障がいとしての扱いを受けているからです。

 

特別支援教育では、発達障害のお子さんは通常の学級に在籍している場合「特別支援教室」を利用できるけど、知的障害児は利用できません。発達障害のお子さんについては通常の学級にいることが基本的に想定されて制度設計がされていて、インクルーシブ教育推進したい私としては不満がありますが、文科省は知的障害児は通常の学級を学びの場として想定しておらず、特別支援学級か特別支援学校が推奨されています。つまり発達障害のあるお子さんと、知的障害のあるお子さんについては、特別支援教育の中では、ものすごくニーズが違うものとして扱われています。

 

スピーキングテストについて合理的配慮の提供については、まるっと一つの項目に入ってしまっているのは、あまりにも意外だったので見落としてしまいました。発達障害と知的障害は、ニーズが一緒ではありませんし、来年度以降はできれば「知的障害」をきちんと扱っていただけますようお願いします

 

Qさて、障がい種別などによって解答時間を延長するなどの配慮を予定してることがわかりましたが、個々の子どもによって必要な配慮が異なる場合もあります。そこの点についてはどのようにフォローや対応していきますか?

 

<都教委>

できるだけ多くの生徒が力を発揮できるように、御相談いただいた上で、個別のケースに応じて判断し、複数の措置を講じることを含めて対応

 

<龍円>

個別のケースに応じて判断をしてくださるとのこと、ありがとうございます。

 

Q合理的配慮を提供する会場は、事業者が運営し、合理的配慮についても事業者が提供すると伺いました。事業者は普段特別支援教育に従事する教員やスタッフではないですし、対応が不十分になってしまう可能性があるかもしれません。また個別のケースに応じて判断をしてくださるとのことでしたが、個々のニーズ把握は、ある程度専門的な知識や経験がある人でないと、現場での判断は難しさがあるとも思います。できれば都教委の特別支援教育の教職員がサポートに入れる体制にして欲しいのですが、対応を伺います。

 

<都教委>

原則として在籍校の教員がサポートに入ることは予定していない。一方で、合理的配慮に関する研修を受け、十分に理解している試験監督等が業務等を行うまた、介助者を付けることも可能

 

<龍円>

特別支援学校の教員の方々は、特別支援に関して専門的な教育を受けておられ、それでも教育の現場に出てから苦慮されながらも、様々な経験の中からスキルアップをしていかれていることと思います。

 

普段スペシャルニーズのあるお子さんたちに接することがない人が、合理的な配慮の研修を受けて頭で十分に理解したつもりであったとしても、実際にお子さんを目の前にして、不測の事態が起きた場合十分に対応できるかどうかは正直疑問が残ります。私のダウン症のある息子を見ていて、支援者が対応を誤ると事態が悪化して収集つかなくなるのを何度も見てきました。スペシャルニーズのあるお子さんは、「環境の変化」に弱いことが少なくないことから、会場では様々な困難さに直面するお子さんがいらっしゃるのではないかなぁと想像致します。

 

介助者をつけることが可能とのことですが、多くの場合は保護者が同行することになるのかなと思います。「保護者がいればなんとかなる」と思われがちなのですが、保護者は学校に付き添っていないことがほとんどなので、テストにおいてどんな支援をすればいいのかなんて保護者はよくわかりません

 

お子さんの在籍校の教員ではなくても良いと思いますので、普段、特別支援教育に従事している教員やスタッフが会場に配置してくださったら、適切な対応をアドバイスしてくださると思います。試験管等の業務を行う人たちも、いざという時に頼りになるスキルのある教職員が会場に一人二人いてくださったら、大いに助かると思います。特別支援教育の教職員を会場に配置していただけますよう、要望させていただきます

 

Q合理的配慮の提供が十分であっかたどうかは、事業者自身で判断は難しいと思われます。受験者からのヒアリング、または都教委の特別支援教育分野の担当者が現場を見て評価するなどしてほしいです。それを踏まえて、来年度以降の運用に活かしてほしいと考えますが、ご見解を伺います。

 

<都教委>

自らの力を存分に発揮できるよう、きめ細やかな支援を行うことが重要であると認識。該当生徒や特別支援学級の教員へのヒアリング等により、今年度の実施状況を把握し、次年度の実施に生かしていく

 

<龍円>

生徒や教員へのヒアリングをして、実施状況を把握して、次年度以降にも活かしてくださるとのことでした。ただ話が戻りますが、会場に特別支援教育の教職員がいない状況で実施して、現場を見ていない教員に話を聞くよりは、現場を見聞した特別支援教育の教職員のご意見がとても貴重なものになると思いますので、ぜひ会場に特別支援教育の教職員をアドバイザー的に配置していただけるよう、お願い申し上げます。

 

 

今回は、一般の受験会場とは別に、特別措置を提供する会場を設けているので、その会場にはありとあらゆる特別な支援を必要とする生徒が集まることになります。ありとあらゆる様々なニーズのあるお子さんが、一つの会場に集まることになるとのことで、なかなか大変そうだなと想像しております。もしかすると、各会場で合理的配慮を提供する方が、対象となるお子さんの数も少ないですし、よりスムーズに実施できる可能性もあるんじゃないかと感じたりもしています。ぜひ今年度の実施状況を把握して、次に活かしていくことをお願いします