こんにちは、東京都議会での質疑についてご報告です。9月15日(木)の文教委員会に付託されている請願や陳情の審査をしました。

 

今回の陳情の中には、トランスジェンダー女性への偏見や差別を増長させるような活動をしている団体からのものがありましたので、私からの意見を述べるとともに質疑をいたしました。

 

 

 

 

女性のスペースを守る会の陳情審査 

 

<龍円>

「女性用トイレの維持及び安心・安全の確保に関する陳情」についてですが、この陳情者の「女性のスペースを守る会―LGBT法案における『性自認』に対して慎重な議論を求める会」のホームページを見ると、国会におけるLGBTに関する法律を制定することを立ち止まるように求めている団体です。

 

都議会においてLGBTQ等性的マイノリティへの差別を禁止し、生きづらさや不便さを解消するために動いてきた立場から、質疑させていただきます。

 

 

トランスジェンダー差別 

 

この団体によりますと、トランスジェンダー女性の存在を法律で認めてしまうと、トランスジェンダー女性が女性用トイレを使うことが公認され、そのことによって女装をした男性による性犯罪が増える可能性があるから、トランスジェンダー女性の存在を法律で認めるのは立ち止まるべきだというお考えのようです。

 

この論理は、そもそも根底から破綻しています。「トランスジェンダー女性」と「性犯罪者」は、まったく異なる話です。そもそも性犯罪は、その犯人がどんな格好をしてようが犯罪は犯罪であり、許されるものではありませんし、取り締まられる必要があります。「犯罪者による性犯罪」と、「トランスジェンダー女性の人権」とは一切関係がなく、一緒に議論する余地のあるものではありません

 

現状の日本では、ありとあらゆる様々な不当な扱いや差別をされ、人権が尊重されておらず、生きにくさの中で苦しみ、明日を生きる希望や気力を見出せない当事者が多いトランスジェンダーについて、その存在や人権を尊重したら、性犯罪が増えるから認めるべきではないというのは、あまりに暴力的で差別そのものとも言える主張です。またこのような発信を続けることは、まるでトランスジェンダー女性が犯罪者だという印象まで世間に与えようとしているかのようで、許し難いです。

 

この日本において、というか、この世界のどこであっても、「誰々の人権を認めると、犯罪が増えるから、誰々の人権を認めてはならない」という差別があってはなりません。

 

この団体の活動の趣旨はHPに正々堂々と書かれているにも関わらず、その部分を陳情では一切触れずに、単純に「女性トイレの維持と安心安全の確保」とだけ書いているのには違和感を感じます。差別をするお墨付きを得るために、差別の部分を隠して、なんとなく女性のことを守りたいといえば賛同してもらえるだろうという意図で出された陳情なのでしょうか。

 

 

すべての都民が等しく安全安心を確保されるべき 

 

文教委員会に付託されている部分としては「女性の安心・安全という権利と法益が守られるように諸方策をとること」が挙げられています。女性の安心安全が確保されることは重要です。それと同等に、男性も、トランスジェンダー女性やトランスジェンダー男性も、多様な性自認の方々も含め、すべての都民の安心安全が等しく確保されることが大切だと考えますが、都の見解を伺います。

 

<東京都生活文化スポーツ局の答弁> 

全ての都民が安全で安心して暮らすことができる社会の実現を目指すことは重要。このため、都では、東京都安全安心まちづくり条例等に基づき、犯罪の防止に配慮した店舗等や公園の整備に努めるなど各種施策を推進。今後とも、都民の安全安心に資する施策に、着実に取り組。

 

<龍円>

すべての都民が、安全で安心に暮らせる社会の実現を目指して、施策を推進しているとのことです。

 

 

誰もが安心して利用できるトイレとは 

 

さて、「トイレ」ということで言いますと、様々な人が必ず利用する必要があるものですので、すべての人が安心安全に快適に利用できるものである必要があります。

 

 

私の地元の渋谷区では「good toilet shibuyaプロジェクト」により、スペシャルニーズのある方々、親子連れ、性的マイノリティの方々や外国の方など、様々な人が利用しやすいトイレの整備方針をまとめた「渋谷区トイレ環境整備基本方針」があります。

 

 

 

トイレの整備方針だけで何年もかけて考え抜かれた整備方針で、他の自治体でもぜひ参考にしていただきたいような内容になっています。

 

これを読んでいただいても分かりますが、トイレの利用について、日常的に苦しみ困っていて、トイレの利用が怖いから外出すること自体が困難である当事者も多いのが、トランスジェンダーの方々です。そんな現状があるにも関わらず、トランスジェンダー女性が、女性トイレを利用できるようになると性犯罪が増えるというようなことを言い、トランスジェンダー女性から女性のトイレを守りたいというのは、言語道断で許しがたい考えかたです。

 

トランスジェンダーの方々から、明日への希望を奪い去るような差別的な発信をされている人たちがいることに、心から憤りを感じます。

 

都に対しては、トイレについても、トランスジェンダーの方々も含め、多様な人たちが安心して利用しやすいトイレを整備してもらいたいです

 

性自認および性的指向による差別を禁止する東京都人権尊重条例を守りながら、今後もすべての都民が安心で安全に暮らせる東京都として施策を推進してくださるようお願いいたします。

 

質疑の内容は以上です。

この陳情は、文教委員会では満場一致で「不採択」になりました。

 

 

  東京都では同性パートナーも事実婚と同じ扱いに!

 

9月20日開会の都議会本会議では、東京都職員の福利厚生の条例改正案が提出される予定です。

 

同性のパートナーについても、事実婚ど同様の扱いとして福利厚生の対象にするというものです。11月1日の東京都パートナーシップ制度のスタートに合わせて、新しい福利厚生制度がスタートします。東京都職員、警視庁、東京消防庁、東京都教育委員会をあわせて17万人が対象になります!東京都の福利厚生が変われば、民間企業が真似をして変わってくださる可能性もあり、取り組みが広がることに期待していおります。