ものすごーく遅くなりましたが(えっと8ヶ月遅れ!!遅っ)

今年3月の厚生委員会において予算審議をした時のものをシェアします。

 

▼心のバリアフリー

 

昨今「心のバリアフリー」という言葉をよく耳にするようになりました。心の中にあるバリアとは一体どんなものでしょうか。
 

一般的にバリアフリーというと、「段差をなくしていく」というように捉える方が多いかと思います。

 

ですから、心のバリアフリーというと、心の中にも段差があって、その段差というのが差別だったり偏見だと捉える方が多いかと思います。何か余計なものがあって、それを取り除いていかなくちゃいけないというようなイメージかと思います。
 

確かに差別や偏見はなくしていくべきものです。

 

しかしながら、心のバリアフリーという話をするときに、本当の意味でのバリアになっているのは、無知、無関心、無理解であります。どちらかというと、足りていないものをふやしていくという作業が必要なのです。


 今、人を「健常者」と「障害者」とに分けていて、その間に深くて越えられない溝があるように扱われていますけれども、その溝を知ること、関心を持つこと、理解することによって、埋めてつないでいくことこそが、心のバリアフリーなのだと考えています。心のバリアフリーという言葉が少しずつ社会に浸透し始めていっているものの、本当の意味での心のバリアフリーをもっと広く知っていただきたいと思います。

 

Q. 東京都は、年度内に心のバリアフリーの理解の促進や実践につなげるための具体的な事例を紹介したハンドブックを作成することとしています。具体的にはどのような内容になるのでしょうか、伺います。

 

◯坂本生活福祉部長 

 今年度内の発行に向けまして、現在作成を進めております心のバリアフリーの実践に向けたハンドブックでございますが、これは障害の社会モデルの考え方に基づきまして、わかりやすい具体的な事例について、例えば、電車の車内におきまして、障害者や外国人の方が置かれている課題についてイラストを交えながら紹介し、その対応策を記載したり、職場や店舗などコミュニケーションの場面におきまして、バリアの解消に向けての配慮のポイントなどを紹介するなど、心のバリアフリーに関する都民の理解促進や実践につながるような内容となってございます。


 今回作成いたしましたハンドブックでございますが、区市町村等に配布いたしまして、小中学校でのユニバーサルデザイン学習や、地域住民を対象としたワークショップなどで活用したいと考えております。


 都といたしましては、誰もが年齢、性別、障害の有無などにかかわらず、相互に尊重し、思いやり、支援や配慮を必要としている方に自然に手を差し伸べることができる社会の実現に向けまして、心のバリアフリーを推進してまいります。

 

「心のバリアフリーハンドブック」

http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/kiban/machizukuri/kokoro_handbook.html

 

 このハンドブックは、子供とか子連れの母親とか外国人などの目線も入っていていいなと感じました。ふだんスペシャルニーズのある方と接していない方にとって、まち中で困っているところを見ても、何かしてあげたいけど、どうかかわればいいのかわからないと逡巡しているうちにタイミングを逃して、結果、何もしないというようなことが多いかと思います。ガイドブックのように、いろんな場面を想定してかかわり方が書いてあるのは、参考にして実践しやすいと感じました。二〇二〇年オリンピック・パラリンピック大会では多くのボランティアの方が働いてくれますけれども、そういう方たちにも、ぜひ、このガイドブックを配布していただけるといいかと思います。
 

 先ほど、高原部長からも説明がありましたけれども、「障害の社会モデル」というのがこのガイドブックにも明記されています。障害は本人にあるのではなくて、その人が社会に参画するに当たって、周囲に障害となるものがあるという考え方です。確かに、その意味はわかるんですけれども、どうしても世間では、健常者という言葉の対比に障害者というのがあるので、本人が何か劣っていてかわいそうという存在なのだというイメージを与えます。人は生きている限りさまざまなニーズがあって、その中に特別なニーズがある方とない方がいるという捉え方で、「スペシャルニーズ」という視点も新たに取り入れていただけるとうれしいです。


Q. さて、来年度、都は「心のバリアフリーサポート企業連携事業」を開始するということです。より具体的な取り組みの内容について教えてください。

 

 

◯坂本生活福祉部長 

来年度、新たに実施いたします心のバリアフリーサポート企業連携事業でございますが、心のバリアフリーに対する社会的機運の醸成を図り、ユニバーサルデザインのまちづくりを推進するという本事業の趣旨に賛同し、心のバリアフリーに係る取り組みを積極的に行っている、または行う予定であり、かつ都の取り組みに協力する民間企業などを募集いたしまして、東京都心のバリアフリーサポート企業として登録することにしております。


 登録した企業等につきましては、各企業の実情に応じて実施いたします心のバリアフリーに関する社員研修等の内容や広報キャンペーン活動などの取り組みにつきまして、都のホームページ上で公表することとしており、東京二〇二〇大会も見据え、都と民間企業等が連携しながら、心のバリアフリーの取り組みを一層推進してまいります。

 

 二〇二〇年パラリンピック大会が終わった後の東京のまちから段差がなくなって、そして人の心の中からは無理解の溝がなくなっていることを願ってやみません。

 

▼心身障害者医療費助成
 

「心身障害者の医療費の助成に関する条例」の一部改正についてお伺いいたします。
 

今回、新たに精神障害者が対象に加わることになったのはすばらしいことだと思います。私自身、多くの精神障害者のご家族から、その要望を伺ってまいりました。先ほど、藤田委員からも話があったので、その経緯についてはお伺いしません。

 

Q. 今回の対象拡大では「精神障害者保健福祉手帳」一級のみが対象となっていますが、その理由について教えてください。

 

◯矢内保健政策部長 

都は現在、重度の身体障害者、知的障害者の方を対象に本制度を実施しており、身体障害者手帳一級、二級、内部障害は三級まで、愛の手帳一度、二度の方に対して医療費の自己負担分の一部を助成しております。
 今回の対象拡大に当たっては、重度障害者の対象要件として、現行制度と趣旨を同じくする所得税の特別障害者控除との整合性や、
医療に係る経済的負担が特に大きいことを踏まえ、精神障害者保健福祉手帳一級所持者を対象に加えることといたしました。

 

Q. 今回の対象拡大に当たって、どれくらいの人数の方が制度の対象となりますでしょうか。また、拡大に係る予算は、平成二十九年度と比較してどのくらいの増加になりますでしょうか。

 

◯矢内保健政策部長 

今回の対象拡大により、新たに対象となる方は、現在、精神障害者保健福祉手帳一級を所持している約6000人と見込んでおります。また、対象拡大に係る予算額は約二億八千万円の増加となっております。

 

 先ほど藤田委員が、手帳を持っていても医療費助成の対象にならない人たちのことを触れられておりましたので詳しくは述べませんが、私も多くのご両親たちから、私たちが死んだ後、子供の医療費を本人では賄えないということを心配している声をいただいております。

 

私のダウン症のある息子も、愛の手帳四度で対象外となっています。ダウン症のある方は免疫力が低く、合併症もある方が多いので、医療機関には継続的にお世話になることが多いです。今から心配していると気が早いようではあるんですけれども、ひとり親なので、経済的に余裕がなく、貯蓄を残してあげられるわけではありません。冗談じゃなく、毎日毎日、息子のために健康で長生きできますようにとお祈りをしております。親亡き後も、スペシャルニーズのある方たちも安心して生きていける社会になってほしいと願っております。