前回の続きとなりますが、決算特別委員会での「社会的養護」についての質問についてシェアです。

 

平成29年度の取組について伺いました。

 

▼社会的養護にある児童の数

 

Q.

平成29年度に、児童相談所が、新規で、

乳児院や児童養護施設などに「入所措置」をした児童数

里親委託」している児童数、

「一時保護」した児童数を伺います。

 

 

A.

平成29年度における新規の児童福祉施設への入所措置数979人

里親委託数は127人で、合わせて1,106人

また、新たに一時保護した児童数は2,950人

 

 

29年度だけで約1100人のお子さんが施設や里親の元で暮らすことになり、

一時保護は約3000人弱という数字からも、児童相談所の仕事の多さを伺い知れます

 Q. 措置している児童全体で、家庭的養護にある児童と内訳、その他の施設にいる児童の数を伺います。

(家庭的養護とは、里親・ファミリーホーム・グループホームなどのことです)

 

A.

家庭的養護である、養育家庭等(里親)459人、ファミリーホーム81人、グループホーム886人。

児童養護施設は(グループホームを除くと)2,162人、乳児院には422人の児童が措置されている。

 

全体では約4000人の児童が措置されていて、そのうち里親つまり養育家庭にいるお子さんが約460人ですので、1割強になっていますね。

 

▼社会的養護にかかる費用

 

Q. 単純に比較できるものではありませんが、児童養護施設等の施設で暮らす児童一人あたりにかかった費用と、里親等の元で暮らす児童一人あたりにかかった費用を伺います

 

A.

児童養護施設等の措置費等の決算額を単純に平成30年3月時点の児童数で割った額を児童一人あたりの決算額とした場合、

民間児童養護施設 500万3000円

乳児院 972万6000円

民間グループホーム291万5000円

養育家庭(里親)等205万7千円

ファミリーホーム446万円

 

児童養護施設は児童一人当たり約500万、乳児院が約970万、里親が約200万ということでした。

 

ただ日赤乳児院などには重篤な病気のお子さんや医療的ケア児もいて、看護師を配備するなどより費用がかかっているかと思います。また施設において、里親支援機能などを拡充していることもあるので、単純には比較できないため、あくまでも参考にしか過ぎない数字だとは思いますが、計算していただき、ありがとうございます。

 

国も都も、今後、施設よりも里親に児童を委託することを最優先にしていくという方向性を示しております。

今のご回答はあくまでも参考ではありますが、お子さんが施設にいるよりも、里親に委託した方が、予算を抑えられます

そのぶん、これまで足りていない「里親支援」を拡充していくことが重要です。

 

 

▼里親支援について

 

Q. 里親に、直接お支払いする「措置費」以外の、里親支援に係る事業の決算額を伺います。

 

A.

主な事業の決算額は

里親支援機関事業 1億1443万6000円

里親委託交流事業 518万1000円

養育家庭等自立援助事業 249万円

新生児委託推進事業は1126万9000円

 

新生児委託推進事業は、特別養子縁組を目指したものなので、それを含めずに考えると、

都は里親支援の主なこの3事業で約1億2000万円をかけたということになりますね。

里親の支援の必要性と重要性をかんがみて、今後さらにしっかりと取り組んでいただきたいと思います。

 

 

今年7月に厚労省から通知された「社会的養育推進計画の策定要領」の中で、「里親等への委託の推進に向けた取り組み」として「フォスタリング業務の包括的な実施体制の構築」が示されました。

 

Q. 東京都は現在、特定非営利活動法人「キーアセット」に一部業務を委託しているが、平成29年はどのような業務を委託したのか実績を伺う。

 

A. 

里親支援機関事業では、里親委託等推進員を配置し、定期的な家庭訪問や心理カウンセリング等を実施。養育家庭の登録を拡大するため、普及啓発を行う里親開拓コーディネーターを配置。児童を委託していない登録家庭の養育力向上を図るため、里親トレーナーを配置し、実践的な研修を実施。

 

「キーアセット」は英国をはじめとしてカナダ・アメリカ・オーストラリアなど世界中でノウハウを積み上げてきた団体で、里親の開発、研修、マッチング、その後のフォローに至るまで、包括的な支援を得意としています現在のように、一部業務だけを委託するのではなく、包括的に委託する方が、機能的に活用できるかと思います。福岡市では実際にキーアセットに対して、包括的な業務を委託しており、結果を上げていると伺っております。都においても、包括的なフォスタリング体制を構築していく上では、キーアセットのような団体が有しているノウハウを生かすように工夫をしていただけますようお願いします。

 

▼特別養子縁組について

 

Q. 一方で、パーマネンシー保障として特別養子縁組の推進も、国の大きな方針の一つです。

都の養子縁組里親を経て成立した特別養子縁組の件数と、「生児委託」の現在の取組状況を伺う。

 

A.

都の養子縁組里親の特別養子縁組成立による委託解除件数は32件

 

都は、「新生児委託推進事業」を昨年度から開始。

本事業では、児童相談所等に専任の職員配置しいつでも交流を開始できるよう里親に対して研修を実施平成30年9月末現在、これまで12家庭が研修を受講しており、5名の乳児を里親に委託

 

 

「新生児委託推進事業」は、親が育てられないお子さんが新生児のうちに、特別養子縁組に向けて養子縁組里親に委託するという取り組みで、これは素晴らしい取り組みだと思います。

 アメリカに住んでいた頃に仲が良かった夫婦は、生後3日目にお子さんを自宅に迎えて育てておりましたが、「産まなかっただけ」というほど、我が子と何も変わりなく育てておられました。子どもにとっても養親にとっても、良い取り組みです。今後とも推進していただきますようお願いします。

 

一方で、それ以外の都の特別養子縁組の成立件数は、32件にとどまっています。

現状では民間あっせん業者の方が、取り扱い件数が多いと聞いております。

民間との連携も進めていただきますようお願いします。

 

 

▼児童相談所の体制(弁護士・医師)

 

続いて「児童相談所」の体制についてです。

 

現在、児童相談所では、11カ所すべての児童相談所に、

非常勤弁護士を1名配置し月2日勤務していただいている他に、

協力弁護士としてベテランと若手を組み合わせて原則2名ずつ登録し、総勢45人体制だと伺っております。

Q. 非常勤弁護士と協力弁護士の報酬を伺います。

 

A.

平成29年度における非常勤弁護士と協力弁護士の報酬等の決算額の合計は2083万4620円

 

非常勤と協力弁護士45名に対して、合計約2000万円という報酬は、施設にいるお子さんにかかる費用の4人分ですので、決して高すぎるということはないと思います。

 

これまで斉藤れいな都議とともに、法的対応力の向上のために、「常勤弁護士」の配置を、現在の「非常勤弁護士」と「協力弁護士」に加えて必要であることを訴えてまいりました。

 

 

斉藤都議の一般質問の記事

https://ameblo.jp/leccaleccaleccalecca/entry-12385347033.html

 

 

今年6月20日の齋藤都議の(常勤弁護士の配置を求める)一般質問に対して「今後、こうした体制をさらに充実し、児童相談所の法的対応力の強化を図ってまいります福祉保健局長から答弁がありました。

 

 

現在の非常勤と協力弁護の体制に加えて、

新たに「常勤弁護士」を配置するよう、改めて要望させていただきます。

 

 

都では、現在、児童相談所の「児童福祉司」と「児童心理司」を毎年大幅に拡充しており、「緊急対策」では年内にさらに19人確保することも発表されました。

 

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東京都「児童相談体制強化に向けた緊急対策」平成30年9月14日

http://www.metro.tokyo.jp/tosei/hodohappyo/press/2018/09/14/documents/08_01.pdf

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児相では、現在、経験三年以下の児童福祉司が全体の約六割となっています。児相には、出頭要請立入調査臨検、捜索などの法的権限があります。立ち入り調査について、東京都独自の安全確認行動指針の策定がされたのは高く評価します。

 

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東京都「安全確認行動指針」

http://www.metro.tokyo.jp/tosei/hodohappyo/press/2018/09/14/documents/08_03.pdf

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しかしそれ以外の決断、また「親権停止」なども含めて、経験年数の短い職員が常に適切な判断をすることは簡単ではありません

 

話は少しそれますが、我が会派の岡本光樹都議は、現在も第一線で活躍している現役バリバリの弁護士です。

http://okamoto-koki.tokyo/#profile

http://okamoto.2-d.jp/akiba.html

 

 岡本都議と私とは、厚生委員会のメンバーとして、まさに机を並べて1年間仕事をしてまいりました。この同じ空間に日々一緒にいるということが、すごく意味があることだということを、強く感じています。法律の解釈、その根底にある考え方など、日々の雑談の中でたくさんのことを教えてもらえましたし、解決したい課題に対しての手法についても具体的に多くのアドバイスをいただいて進めてまいりました。物理的に近くにいることが、とても重要だと思うのは、そういう自分の経験からも実感しているところです。

 

任期付きでもいいので、常勤弁護士の配備のご検討をいただきますよう、

お願いいたします

 

 

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「弁護士配置」については、昨日のブログでご紹介した厚生労働省が今年7月6日に出した

「都道府県社会的養育推進計画の策定要領」には以下のように、記されています。(7ページ)

https://www.mhlw.go.jp/content/11920000/000349157.pdf

 

【弁護士配置については、法律上の調整が必要な問題等について、児童相談所の職員が日常的に相談できる体制を整備するため、配置時期を明記するなどして、任期付き職員の活用なども含め、常勤職員の配置を進める。】

 

したがって、国の方針では「常勤の弁護士の配置を進める」ことが示されているのです。

 

一方で東京都は、月2日勤務の非常勤弁護士と、電話やメールで対応する協力弁護士で、十分だとしています。

 

確かに現体制も意味があると思います。しかしながら、やっぱり、日々机を並べる「常勤」の弁護士がいることが、児童福祉司の皆様の法的対応力の底上げをするのには、重要だと考えています。

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次に、児童相談所に、常勤医師6名を新宿児童相談センターに配置し、その他の児童相談所には非常勤医師を1名枠で配置していると伺っています。

Q. 常勤医師は東京都の職員であるため報酬を伺うことができませんが、非常勤医師の報酬を伺います。

 

A.

児童相談所には、愛の手帳の判定や一時保護所入所児童の診察判定を行う非常勤医師を配置しており、

平成29年度における報酬等の決算額の合計は、37,659,664円。

 

医師についても、常勤または毎日児童相談所に医師がいる体制が必要であると、国の「新しい社会的養育ビジョン」を取りまとめた検討会の座長をつとめられた国立生育医療研究センターの奥山眞紀子先生からもご意見をいただいております。

 

目黒少女虐待死事件の女の子は、香川に住んでいた時に、通っていた医療センターから香川児相に対して、虐待の疑いがあるから一時保護の必要があるとの連絡がいっていたそうです。しかし児相側がそれを深刻と捉えなかったと聞いております。医師会や歯科医師会の先生がたとも話す機会があり、伺いましたが、一見普通に見えるお子さんでも、身体や歯を見ることで虐待されている可能性があるお子さんは分かるものだとおっしゃっておりました。

 

 児童虐待に取り組んでいく上で、弁護士や医師の専門的な知識や見地をより取り入れていくことで、さらに強化していただけますようお願いいたします。

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秋が深まって来ましたねー。ってもう年末が近づいていますね。

 

暖かくお過ごし下さい。