今日はダウン症のある子達が、たくさんお世話になっている、

そしてニコもお世話になっている府中市にある

小児総合医療センター(通称:多摩小児総合)について

厚生委員会で質問をさせてもらい、要望を出させていただきました。




そもそもこの質問は、多摩小児総合を含む多摩メディカルキャンパスを整備する構想案が発表されたのを受けての質疑となっております。基本構想を読みたい方は、こちらをチェックです。

みなさんとシェアしたいので、私の質問をここに掲載しますね。

議員ぽい質問とか、そういうことは、どうでもよくて、

私はスペシャルニーズのある子を育てる方達の代弁者としてここにいるという想いで、

これまで会ってきたたくさんのご両親たちの顔や言葉を思い浮かべながら話しました。


多摩メディカル・キャンパス基本構想 厚生委員会質疑
 
 いつも自分の息子の話をして申し訳ありませんが、ダウン症のある私の息子は、アメリカで2013年に生まれました。アメリカは医療が進んでいることもあり、特殊な病状を抱えた子どもにとってはありがたい反面、無茶なほど高額な医療費は両親にとって大きなストレスとなっております。息子も「てんかん」の疑いで2泊3日の検査入院をしましたが、請求額が日本円で約397万円でした。また心臓病のエコー検査が1回約11万円でした。アメリカには国民健康保険のような制度はないので、私が加入している民間の健康保険がどこまでカバーしてくれるのか、審査結果が出るまでは生きた心地がしませんでした。またアメリカは医療が縦割り分業となっているので、心臓病の定期検診をするためだけに、まず心臓のかかりつけ医のところに行き検査をするためのオーダーをいただいて、別日にエコー検査技師のところで検査をして、その結果を聞きにまた心臓かかりつけ医のところに行くため、合計で3日間かかりました。アメリカでは医療的なニーズがある子を育てることは、金銭的にも時間的にも大きな負担となっておりました。

 2015年に帰国してからは、「小児総合医療センター」にて、遺伝科、循環器科、眼科、歯科などと、ダウン症児が抱える様々な分野において、総合的に定期的な検診を受けております。知識も経験も豊かな医師たちに見てもらえる安心感はとても大きいです。また複数の診療科に同じ日に診てもらえ、検査もその場ででき、カルテや検査結果など全てが連携されているので、本当に頼りになります。またともすると病院は無機質で冷たく、気持ちが沈む場所になってしまいがちですが、(小児総合医療センターは)外光がたっぷりと入ってきて、木材などを使用した明るい内装となっており、1階の外来は子どもたちが遊べたり休めたりできるスペースもあり、同じようなスペシャルニーズのあるお子さんを連れた両親同士が自然と会話をするような場面もよくあります。また病状によっては数週間の長期入院もさせていただきましたが、実際に私が支払ったのは食事代のみでした。これがもしアメリカであったら破産していたことだろうと思います。事実アメリカでは入院による自己破産をしている人が、私の周りにもおりました。

 東京は医療的なニーズのある子どもを育てるには、非常に安心ができる都市です。また東京の中でも小児総合医療センターは、特に難しい状況を抱えている子供たちにとっては頼りになっている病院となっております。息子が利用しているほか、先日視察もさせていただき、いろいろな課題等についても伺わせていただきました。さらなる充実・強化について質問させていただきます。




 都内の低出生体重児の数は、平成12年には8679人でありましたが、平成20年以降は1万人を超える数で推移しております。医療技術の向上により、新生児の死亡率も平成12年から比べると半減しております。周産期医療において小児総合医療センターの果たしてきた役割はただならぬものがあると思います。「多摩メディカル・キャンパス整備基本構想(案)」には、小児総合医療センターの充実として、「超低出生体重児や外科的手術が必要な新生児の受け入れを促進する」とあります。先ずは小児総合医療センターの周産期医療の現状について教えてください。

(東京都病院経営本部の回答)※私のメモから
・小児総合医療センターでは、NICU24床、GCU48床の都内最大規模となる周産期医療体制を整備し、隣接する多摩総合医療センターと一体となって緊急に母体救命処置が必要な妊産婦を必ず受け入れる、母体救命対応総合周産期母子医療センター、いわゆるスーパー総合周産期センターとして高度な医療が必要な周産期患者に対応
・平成28年度には、新生児搬送を259件受け入れるほか、高度な技術を要する新生児期の外科的手術を71件実施
・また、1500g未満の極低出生体重児82人、その内1000g未満の超低出生体重児36人に対応するなど、高度かつ専門的な医療が必要となる患者に対する、都内でも有数の実績
・具体的な症状を見ると、ダウン症などの染色体異常や多臓器にわたる先天奇形、生まれつき心臓の形と機能に異常がある先天性心疾患など、重症な新生児の患者に多く対応






(龍円)
非常に難しい状況の赤ちゃんを積極的に受け入れ、新しい命を繋いでくれていることがわかりました。超低出生体重児は、複数の臓器に疾患を持っていたり、ダウン症などいわゆる「障がい」も合わせ持っていることが多く、それぞれに対して医療や支援が必要になるかと思います。超低出生体重児を積極的に受け入れて行くとすれば、「総合的な診療」や支援が必要になると思うが、どのように取り組んで行くのか教えてください。


(東京都病院経営本部の回答)※私のメモから
・小児総合医療センターは、小児専門の34診療科を標榜しており、新生児期の治療に当たっては、院内の全ての科と緊密に連携をとり、あらゆる疾患に対する医療を提供
・外科、循環器科、臨床遺伝科、相談支援部門と多摩総合医療センターの産科が合同で毎週カンファレンスを実施しており、母子の容態や今後の管理についての情報交換を実施
・児童精神科医、臨床心理士を中心としたリエゾンチームや在宅移行支援担当医、看護師を中心とした療育チームなど、多職種で構成されたチームと協力し、治療はもとより、児童の発達や養育環境の整備など総合的な支援を入院中から実施h
・今後は、こうしたニーズの増加が益々見込まれることから、診療科間や職種間の連携を一層密にして、適切に対応





(龍円)
ありがとうございます。総合的な治療と支援が、多くのお子さんを救い、家族の支えになっていると思います。今後、一層推進していただけますよう、お願い致します。基本構想には小児がんへの取組として相談支援体制の充実がかかれていますが、他の疾患で入院する患者や家族に対しても相談支援の充実を図っていく必要があると思いますが、いかがでしょうか。

(東京都病院経営本部の回答)※私のメモから
・小児総合医療センターでは、MSW、臨床心理士、保育士、看護師、理学療法士などで構成される子ども・家庭支援部門において、入院生活や退院後の生活に関する心配や、経済的なこと、育児に関することなど、様々な相談に対応
・家族への相談支援については、小児がんに限らず、希少な疾患や障害を持って産まれた子の親に対しても、リエゾンチームが病棟を訪問し、精神的に不安定な時期の親へのカウンセリングやアドバイスを実施することで早期に適切に支援
・また、ダウン症候群など遺伝性の疾患を持つ子の家族を対象に、合併症を併発しやすいなど疾患の特徴や公的支援の現状、療育やリハビリなどについて、医師やMSW等の専門チームがわかりやすく説明するとともに、参加した親同士が抱える悩みや不安を共有する場を設け、同じ疾患を持つ家族の交流により不安解消に繋げる取組を実施
・入院が長期化した患者の付き添い家族の負担を軽減するため、多摩キャンパス内に、公益財団法人ドナルド・マクドナルド・ハウス・チャリティーズ・ジャパンが運営する宿泊施設を設置
・今後とも、患者や家族の状態に応じたきめ細かい相談支援の実施に向け、これまで述べた様々な取組の充実を図る


(龍円)
子ども家庭支援部門があり、入院中から退院後まで、様々な相談に対応していることは非常に良い取り組みだと思います。またダウン症のあるお子さんの家族向けのグループ診療として、ダウン症児に特化した医療情報、言葉の発達などの療育情報、離乳食の進め方などのダウン症児ならではの子育ての悩みに答えてくれたり、社会福祉資源の活用方法などを総合的に教えてくれる取り組みは、素晴らしいと思います。こちらのグループ診療に、私の友人も参加しており、その話を聞かせてもらいました。その友人によりますと、お子さんが1歳を過ぎた時点で、こちらのグループ診療に参加するよう病院からお誘いがあったということで、周りのお子さんたちもだいたい同年齢だったということです。1歳となると、多くのお子さんは心臓疾患などの合併症等について、だいたい治療が終わり経過観察になっており、「さぁどうやって育てていこう」と思い始める頃ですので、こういう取り組みは大きな意味があると思います。

ただ、一つ、もっと充実させていただきたいと感じているのが、出産や、障がいや慢性疾患などの告知を受けた直後から3ヶ月くらいまでの間の、親への支援です。その時期は、おそらく毎日のように検査や治療や手術などがあり、心配することが無数にある時期です。病院の方もこの時期は、医療的な情報提供に終始してしまいがちです。

しかし、親は子どもの病状を心配しながらも、心の中では嵐のような葛藤をしております。「何がいけなかったのだろうか」と自分を責める気持ち、それまで子育てに抱いていた理想が打ち砕かれ「どんな子育てになるのか見えない」という不安、子どもの将来が奪い去られたような失望感、さらには「子供を可愛いと思えないかもしれない」「私にこの子を育てられるだろうか」という、なかなか周りの人には打ち明けられないような気持ちなどを抱えております。

 この時期の親にとって必要なのは、必ずしも「心のケア」ではなくて、具体的な情報提供と、少し先への見通しや希望、そして「一人ではない」という安心感です。おそらくどんなに優秀な臨床心理士が心を尽くして話したとしても、親には響かない可能性が高いと思います。「あなたにはスペシャルニーズのある子はいないのでしょ?だったらこの気持ちはわからないでしょ」というところに行き着くと思われるからです。それよりも同じスペシャルニーズのあるお子さんを育てる先輩ママからの、「大丈夫、可愛いよ」とか「うちの子はスポーツが好きで、毎日楽しく過ごしているわよ」などといったたった一言が、その後の人生を変えるほどの勇気になったりするのです。具体的に少し先までの見通し、どんな療育機関や支援団体があり、どんなところに仲間がいるのかなどの情報提供をすることで救われる親が多勢いると思います。

 なぜこの話をしているかと言いますと、先日視察した日赤乳児院には数多くの重症心身障害児と言われるスペシャルニーズがあるお子さんや、医療的なケアを必要とするお子さん達がおりました。多くのお子さんが産後家に一度も帰ることなく乳児院にきているそうです。また民間の養子縁組あっせん事業社に聞きましたところ、コンスタントにスペシャルニーズのあるお子さんの親から相談が来るそうです。どのくらいの年齢お子さんの親から相談が来るのか聞きましたら、ほとんどが産後からまもない時期だということでした。

 もちろんいろんな理由でお子さんを育てられない親がいることは存じておりますが、こういったことからも、産後や告知の直後から、親に対する心理的ケアだけではなく、現実的な希望が持てる情報提供と支援をすることは非常に重要だと感じております。いろんな難しいスペシャルニーズや病気を抱えたお子さんの命を救い上げている小児総合医療センターだからこそ、こういうケアをさらに充実していくことを要望いたしまして、質問を終わらせていただきます。

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質問するときは、いつも心の中で「誰かにこの声が届きますように」と願いながら話しています。

今日は、病院経営本部の方々が、ふと顔を上げて話を聞いてくださっていたので、

本当にうれしかったです。


委員会が終わった後、東京都の担当者さんから、
私の要望をしっかりと病院の方に伝えてくださる
とお言葉をいただきました。

告知を受けた後、真っ暗な闇の中で嵐のような時間を過ごすご両親達に

少しでも光を届けられれますように

と、寒い夜空を見上げながら願っております。