Inclusion/ インクルージョン

 

アメリカでスペシャルニーズのある子を授かると

 

ほぼ毎日のように耳にする言葉が「インクルージョン」です。

 

アメリカにおけるスペシャルニーズのある子の教育について

 

一言でざっくり説明するならば、ズバリ「インクルージョン」なのです。

 

 

しかし、日本では本当の意味でのインクルージョンは

 

まだ浸透してないように思います。

 

 

インクルージョンは単純に

 

「スペシャルニーズのある子を通常学級に入れる」

 

と言うだけのことではありません。

 

 

綿密なサポートをした上で

 

可能な限り通常級で学ぶというものなんですよね。

 

 

百聞は一見に如かずということで

 

今日はいくつか動画をシェアします。

 

 

 

 

こちらはダウン症のある5歳のエイブリーちゃんが、公立プレスクール(幼稚園)で通常のクラスにインクルードされている様子を紹介しています。

 

このプレスクールは以前はスペシャルニーズのある子のためのものでした。しかし1990年ごろに「スペシャルニーズのある子が、一般の子達と一緒に学ぶことは、双方にとって有益である」ことが分かり、現在のようにスペシャルニーズのある子もない子も一緒に学ぶ環境にかえました。

 

1分11秒から出てくる大学教授のNeuman先生は「スペシャルニーズのある子が、一般の子たちがいる環境で早い時期から一緒に学ぶことは、その子にとてもいい影響を与えます。まずは友だちを作ることができます。それから自分自身のスペシャルニーズを受け入れて、適応していくことができるのです。例えば、どうやって周りに助けてもらえばいいのかなどを、学んでいくのです」と話しています。

 

エイブリーちゃんの近くにいつもいる緑の服を着たNasser先生は、Special Education Teacher(特別支援の先生)です。Nasser先生は、エイブリーちゃん専属でついている加配の先生で、彼女がみんなと同じクラスで十分に学習できるように手伝っているのです。

 

驚くべきなのは、2分21秒から出てくる水色の服を着たGarretteさんが、じつは言語療法士だということです。なんとエイブリーちゃんは、言語療法をプレスクールで毎日受けているのです。しかも見ればわかりますのが、同級生と一緒に言語療法を受けているのです。これは同級生が一緒だと、エイブリーちゃんのやる気が高まるというのと、同級生たちが良いお手本になってくれるからなのです。

 

エイブリーちゃんがこのプレスクールに入学した時は、まだサイン(手話)が主となるコミュニケーション手段だったのですが、こういう環境の中でメキメキと話し言葉を育てていて、現在では3−5語の文章を話すようになっているそうです。

 

 

 

 

こちらはアメリカで制作されたインクルージョンについて扱った映画「Including Samuel」の12分のトレイラーです。7歳のサミュエルくんは脳性麻痺がありますが、学校にインクルードされています。言葉が話せないので言葉を発音してくれる機械を使っていたりなど、様々なサポートを受けながらも通常のクラスで学習しているのがわかると思います。

 

この映画はサミュエルくんを追うだけではなくて、いろんな人たちにインタビューもしています。アメリカも今ではインクルージョンが当然となっていますが、70年代までは今の日本の多くの学校がそうであるようにスペシャルニーズのある子たちは「隔離」された環境で教育を受けていました。黒人のミュージシャンKeith Jonesは「学校では一般から完全に隔離して育てておきながら、卒業したとたんに”社会性を持って生きろ”というのは無理な話だ」と話しています。そりゃそうだ。成長する段階で「一般社会」を知って育たなければ、大人になってから一般社会で生きるのは、なかなか難しい面があるに違いないでしょう。

 

ちなみにサミュエルくんが14歳になって講演をしている様子もあるんですよ。

 

 

成績優秀で学校で表彰されたりもしているみたいですよ。イェイ!サミュエルくん!!

 

 

 

 

 

こちらが映画の監督であり、サミュエルくんのお父様のTED Talkです。

 

インクルージョンについて非常にわかりやすい内容ですが、長いので、

訳すのはまた時間がある時に。。。

 

 

 

こちらは学校の教材なのでちょっと堅苦しいですが、

インクルージョンについての説明している動画です。

 

最初にインクルードをするように立ち上がったのは両親たちでした。

 

両親たちが子どもが適切な教育を受け、インクルードされる権利を訴え、

Individuals with Disabilities Education Act

という法律が1975年に定められたのが始まりです。

 

 

その後、何度かの改定を経て、2004年に議会を通過したものが

IDEA 2004 と呼ばれています。

 

 

IDEA2004日本版を

作りたい!!!!!!

 

というのが私の大目標です。

 

この法律があるからこそ、アメリカではインクルージョンが実現されていて、

 

どこに住んでいても基本的に同じサービスが受けられるのです。

 

日本だと自治体によってサービスが全然違っていて

 

地方によっては「早期療育がない」というところもあったり、

 

子供のために引っ越す方も少なくないんです。

 

安心してスペシャルニーズのある子を育てられるようになりたいですよね。

 

IDEAのキーポイントを幾つかご紹介しますね。

 

Individualized Education Program (IEP)

これはスペシャルニーズのある生徒に対するカスタムメイドの教育プランを設定するというものです。「自閉症があるならこれ」とか「脳性麻痺ならこれ」という型にはまったサポートではなくて、各個人の現在の発達状況を適切に見極めて、きめ細やかなサポートを実施するというものです。

 

Appropriate Evaluation

個別のサービスプランを作るには発達検査をする必要があります。すごく細かくいろんな分野に分けて、検査が行われていましたよ。1歳の頃の私の息子ニコでさえ、運動、手先の運動、コミュニケーション、言葉の発達、認知力、自助能力などの検査を、各分野30分づつくらいかけて検査をしていました。

 

Free and Appropriate Public Education (FAPE)

スペシャルニーズのある子が適切な教育を無償で受ける権利があることを定めています。

 

Least Restrictive Environment (LRE)

スペシャルニーズのある子が可能な限り最大限通常クラスで学ぶべきだということを定めています。

 

Parent and Teacher Participation

スペシャルニーズのある子の教育に関しては「親」が絶大なる発言権を与えられています。親が教育に関して学校側に口出しをすることがほとんどできない日本とは、ここが決定的に違います。最終的に親がYESと言わなければ、どんな教育プランも実行することができません。親が、自分の子供の期待することによって、教育プランも変わってくるのです。

 

例えば両親が「息子にはスポーツや屋外での活動を楽しんでもらいたいから、運動面でのサポートを重点的にしてほしい」という想いが強いのであれば、PT(理学療法)の数が増やされるかもしれません。または「とにかく言葉の発達を促してほしい」となればST(言語療法)が増えるかもしれません。「いやいや、インクルードされていることが何より重要」といえば、通常クラスで過ごす時間を最大限にするということになることもありえます。

 

そのお子さんの教育に関わる先生たちと、両親たちが、一緒に協力しながら教育を進めていくという姿勢は、本当にありがたかったです。

 

 

そして素晴らしいのがIDEAのサービスの対象となっているのが、

 

一般的に認識されている「障がいのある子」だとは限らないということです。

 

勉強をするうえで何かしら発達の遅れが認められる子が、対象になるのです。

 

したがってIDEAによるサポートを受けた子は

2012-2013年は643万人にのぼり

公立学校に通う子どもの12.9%にのぼっています。

 

(SOURCE: U.S. Department of Education, National Center for Education Statistics.)

 

10人に1.2人以上がサービスを受けているんですよ!!

 

子ども達の多様性に対応し

 

落ちこぼれを放置しておかないサービスだとも言えます。

 

いわゆる「障がいのある子」だけではなくて

 

一般的に「ちょっと心配な子」たちを救いあげられる法律なのです。

 

 

ちょっと心配な子が、心配される分野の発達を促す教育を受けることで

 

学校を卒業する頃には苦手を克服していれば、

 

普通に社会人として働けるようになるはずです。

 

でも、ちょっと心配なまま放置されてしまったら

 

勉強が嫌いになり、問題行動が激しくなり

 

社会に出る頃には「落ちこぼれ」として

 

まともな職に就くことができず、

 

生活保護を受けるようになるのかもしれません。

 

最初につまづいたところで救いあげれば

 

その子のその後の人生が、大きく変わるということですよね。

 

 

詳しく知りたい方はアメリカ政府が制作したIDEA2004に関する丁寧な説明がされているHPをご覧ください。

 

http://idea.ed.gov

 

IDEAにはいくつかのパートがあるのですが、パートBが3-21歳が対象、パートCが0-2歳までが対象となっている法律です。興味がある方をクリックしてください。

 

ざっくり簡単に説明が出ているのwikipediaですね。

https://en.wikipedia.org/wiki/Individuals_with_Disabilities_Education_Act

 

日本語でも簡単に説明が出ているページを発見しました。

http://www.mext.go.jp/component/b_menu/shingi/giji/__icsFiles/afieldfile/2010/09/08/1297399_3.pdf


 

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<お知らせ>

 

 

2016年エミー賞受賞!

 

ダウン症のある青年7人の姿を追ったリアリティーショー

 

「Born This Way」

 

3月21日(世界ダウン症の日)から

 

日本で放送されます!!

 

インターネットテレビAbema TVの

 

リアリティーショーチャンネルです。

 

 

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<放送日程>



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