カリフォルニアから離れて10カ月が経ちました。

ちょっとした逆ホームシックにかかっています。


ニコの先生や仲間達に会いたいなぁとか

海が近くにない生活は寂しいなぁとか

チラリと感じています。


アメリカだと「早期療育という大船」に

ただ乗っているだけでよかったのが、

日本だと親が必死に色々と情報を収集して

「何かやってあげなくちゃ」という

プレッシャーもあるのかもしれません。


さて、日本での滞在が長期化しているのには

いろんな理由がありますが、

日本のダウン症のある子ども達のために

したいことがある、すべきことがある、

という気持ちが大きいのは確かです。


私の力は微力ですけれども、

でも動かずにはいられません。

だってニコの生きていく社会のことですもの。

ニコ達が笑顔で成長していけるといいなと願っています。





さて、日本での療育について続けます。


療育教室TASUC
http://tasuc.com

週2回通っております。



(TASUCに通い始めた頃)


ここは「お勉強スタイル」なのがいいです。

きちんと座って、挨拶して、

課題の順番を確認して、

最初の課題からやるという具合に

進んでいきます。


ーーーー


カリフォルニアの療育も

1歳からはこの「勉強スタイル」でした。


(グループ療育のST)


(グループ療育のアート)


こうやって座って、先生に注意を向けて、

指示に従って課題に取り組み、

順番を待っています。

学校で勉強をしていくための

下地となるスキルになっていくと思います。


このグループ療育は

とにかく「楽しい」工夫がいっぱいでした。

先生達の乗せ方がすごく上手で

内容がすごく面白くて楽しかったので

ニコはあまり努力をせずに自然と

お勉強スタイルで療育を受けていました。


ーーーーーーーー


比べてTASUCは

あくまで「真面目にお勉強」的な雰囲気で

内容はいつも同じです。

通い始めて半年は経っていると思いますが、

毎回ほぼ同じメニューなんです!



ニコも始めは「楽しくな~い」という感じで

最初の頃は積極的ではありませんでした。


私も正直なところ始めのうちは

TASUCのやろうとしていることが分からず

「??」と思っておりました。


でも「継続は力なり」なんです。

最近、分かってきました。

同じ課題を繰り返している中で

ニコが学び取っていることが、

確実にあるんです。


▼情報処理能力が向上した


TASUCでは同じ課題を延々とやっているようでいて

本人のレベルに合わせて

だんだんと指示が変わっていきます。


例えば最初に出したTASUCの写真では

棒に積み木のようなものを重ねていきます。


始めは先生が手渡したピースを重ねていました。
(視線は、ピースと棒)

次に先生が指差したピースを棒に通すようになった、
(視線は、先生の指、ピース、棒)

次に先生の手に持っているピースと同じものを
2つのピースから選んで棒に通し、
(視線は、先生の手元、2つのピース、棒)

今は先生のピースと同じものを
自分でトレイの中から選んで棒に通します。
(視線は、先生の手元、トレイの中のピースたち、棒)



(最近のTASUCでの様子)


つまり同じことをやているようでいて

ニコの視野はどんどんと広がっていて

頭の中で処理されている情報量も増えている
わけです。


同じ課題でやり続けているからこそ

この「広がり」を効率的に生み出せるんだなぁと

感じました。


▼ルールや順番を理解する


始めのうちニコは

今目の前にある物に対して

興味の赴くままに参加している

というスタイルでした。

つまり「今」しかないわけですよね。


同じことを繰り返してく中で

だんだんとルールがあることがわかり

また流れの順番があることを

理解するようになっていきました。




そうするとニコの頭の中では

「過去」にある経験と照らし合わせて

「今」の状況を理解して行動し

「未来」になにがやってくるか予測する


という活動が始まったわけです。


つまり目の前で見ていることとは別に

今は見えていない事実を頭に思い浮かべて

「考える」ということをしている
わけです!


ニコの頭の中の世界が

グーンと広がっているじゃありませんか!!!!



この「認知力の世界の広がり」が

ニコにとっても、すごく嬉しいのだと思います。


最近は、すごく楽しそうに課題に取り組んで、

「わかってるよ!次はこうするんでしょ!」

という感じの得意顔で、療育を受けています。


同じ課題を繰り返したことで

ルールや順番を記憶し理解するのに

役立ったのではないかと感じています。



▼自分で学習をするようになった


さらに私を喜ばせてくれたのは

ニコがTASUCで得た能力を

他でも生かし始めているという点です。


「ものには何かしらのルールがある」

といつも考えて探すようになりました。



だから新しいものを学習するスピードが

格段に早くなりました。


例えば、幼児向けの学習アプリを

「ちょっと難しいかな」と思いつつ

iPadでやらせてみると、

ちょっと目を離したすきに

気がついたらバンバンやってるんです。

複雑な形をはめ込むパズルとか

色合わせとか、線をなぞったりとか

教えてもないのにルールを探しだして

完璧にやっているんです。


これは、正直、驚きました!!

これまでは「やり方を教えて、ニコが学習する」だったのが

「ニコが自分で学習する」ということが増えてきました。



たぶん、これって、サインの時と同じなんです。

物 = サイン = 言葉

という図式を理解するまでは

時間がかかったのですが、

一度その原理を理解した後は

ポンポンと新しいサインを吸収していきました。


「ものにはルールや順番がある」

ということを理解するまでは時間がかかったけれど、

一度その原理をわかった後は

どんどんとルールを発見できるように

なってきたのだと思います。



素晴らしいです!!!


TASUCは受給者証で通う方法と

アセスメントを受けて自費で通う方法があるみたいなので

興味のある方は問い合わせてみてください。


基本的には生後18か月かららしいのですが

知り合いが0歳で入れることになったと

おっしゃっておりましたので

融通がきくのかもしれません。


そんなわけで、東京リハビリステーションとTASUCは

良いバランスの療育になっていると感じています。


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ところでここ3回続けて投稿した

日本でのニコの療育機関ですが、

言語療法とリハビリは口コミで教えていただき

TASUCは散歩中に偶然見つけました。


TASUCに通うために受給者証をとろうと思ったら

対応してくださった「しょうがいしゃ支援課」の方が

その存在をご存知ではなかったです。


自分の市にある療育機関を把握していない

しょうがいしゃ支援課の担当者がいるというのが

今の日本なんだなと知りました。

もう少し「情報が集約された窓口」があると

すごく助かるなぁと思いました。

(担当の方は、とても親切でいい人ですよ。)


ーーーーーーー

ちなみに、地域の公の療育センターには通わせていません。


近所のお母様に聞くと

「あそこに行くと気持ちが暗くなる」

と評判が悪いのです。

怖い。。。


最低でも医師との面談までに

7-8カ月待ちだということでしたし、

ダウン症のある子供には

PTを月1回だけ提供するということでした。

しかも「歩けるようになったらPTは終了」

ということでしたので、お呼びでないようです。。。

ーーーーーー


日本に戻ってきてしばらく過ごしてみて、

ダウン症のある子供の早期療育をめぐる環境は

アメリカが日本を遥かに凌いでいることを、

ひしひしと感じております。


しかし一方で、ニコを通して見えてきたのは、

実際に民間でスペシャルニーズのある子たちのために

働いてくださっている方たちは、

アメリカの療法士さんたちと同じように

情熱を持って心を込めて働いてくださっている

ということです。

それは本当に一緒ですね!!!


法律が整備されたり、予算が増えたり、

人材が充実したり、情報が集約できるシステムができたりと、

そういうハード面の充実が必要なんだなぁと

改めて感じました。


ニコに携わってくださっている方々

みなさんにすごく感謝しております。

ありがとうございます!


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