こうして毎週コラムを書いていると、
ときどき昔の自分が書いた文章を読み返すことがある。
自分で書いたはずなのに、
「こんなことを考えていたんだ」
と少し驚くこともある。
今とは考え方が違うこともある。
今だったら、
もう少し違う言葉を選ぶかもしれないと思うこともある。
以前は、そんな自分の変化が少し気になっていた。
昔と言っていることが違うのは、
良くないことなのかなって。
でも最近は、
変わることもあっていいんだと思えるようになった。
あの時の私は、
あの時の経験の中で本当にそう思っていた。
そこからいろいろなことを経験して、
人と出会って、
知らなかったことを知って、
考え方も少し変わってきた。
それなら、どちらかを間違いにしなくてもいいのかもしれない。
そして昔の文章を読み返していて、もうひとつ気づいたことがある。
過去の自分の言葉に、今の自分が励まされることがある。
何かに悩んだ時。
自信がなくなった時。
もう頑張れないかもしれない、と思った時。
昔書いた文章を読み返すと、
「あの時も苦しかったな」
と思い出す。
当時は目の前のことで精一杯で、この先どうなるのかもわからなかったはずなのに、ちゃんと悩んで、考えて、それなりの答えを見つけていた。
そして今の私は、その出来事をもう過去のこととして振り返ることができている。
それに気づくと、少し安心する。
今抱えていることも、いつか同じように
「あの時は大変だったな」
と振り返る日が来るのかもしれない。
未来のことなんてわからないし、
毎回うまく乗り越えられるとも限らない。
それでも、過去の自分が一度でも前に進めたことを知っていると、「今回もきっと大丈夫」と少しだけ思える。
書くことは、その瞬間の気持ちを残すだけだと思っていた。
でも長く続けているうちに、それだけではないのかもしれないと思うようになった。
その時は誰かに読んでもらうために書いた言葉が、
何年か経って、自分のところへ戻ってくる。
そして、弱気になった今の私の背中を少しだけ押してくれる。
過去の自分に励まされるなんて、
昔は考えたこともなかった。
これから書く文章も、いつかの私が読み返す日が来るのだろうか。
その時の私は、今とはまた違うことを考えているかもしれない。
それでもいい。
今日考えたことも、悩んだことも、その時の私にはちゃんと全部本当のことだから。
そう思うと、こうやって書いて残しておくことは、
未来の自分への小さな手紙みたいだなと思った。