こんなポストが上がってたんですけれども。
今年7月に損害賠償を請求されました。金額は140万。相手には顧問弁護士がいて裁判しない代わりに半分の70万とチラシの印刷代、貰った報酬の返金、さらに50万相当のホームページを作ることで示談いたしました。駆け出しデザイナーでチラシを5000円のモニター価格で受け、その後電話番号の間違いに気づい
— みーな@デザイナー (@meeenadesign) February 1, 2024
グラフィックデザイナー的には「真に受けちゃダメなお話」ということだけはきっちりと、切に申し上げたいと思います。
なんの損害で140万円もするのか?
チラシは何枚刷ったのか?
チラシの情報と損害に因果関係があったのか?
モニターとはいえ制作費を五千円で受けるのもダメ。
そして報酬の返金っていっても五千円でしょ?
それも回収されちゃうの?
もう色々おかしくてツッコミ入れる気力無しです。
本当に弁護士だったかどうかもわかりません。
こういうのは訴訟しないとダメです。
道義的に正しいか、倫理的に正しいか、人としてどうか、は関係ないんですコレ。
「損するか」「得するか」の二択しか存在しないんですよ悲しいことに。
Xを拝見する限り、プロセスもその後の対応も「これはちょっと…」なんですが、当人同士で決着つけることなんで、第三者があれこれいう話ではないかなあ。
ということで、それについては黙っておきます。
デザイン・制作系・印刷系クラスタでは「なんか経験の浅い人が大騒ぎしてる」「Xで話題になってた件だけど、これはひどい」という理解が一般的ではないかな、という印象でした。
びっくりするくらい負債を負わされる恐れがあるので、未経験でデザイナーになろうと思ってる人や、いきなりフリーランスになっちゃった人は、ちょっと冷静になっていただければいいなと思うエントリーです。
さてこの件。
どう捉えるかなんですけれども。
Xで言及された方がおられましたが、クライアントにも校正責任があります。
原稿は誰が用意したのか?
修正指示や確認はどのようにされたのか?
少なくともこの二点はハッキリさせる必要があります。
さらに、校了となった時点で原稿は完成したことになります。
つまり原稿に間違いがないことをクライアントが確認した、という状態になってます。
「原稿が間違いなく完成したことを認める」
という書面を交わすことができれば良いですし、無理だとしてもメール等で
「もしもこの原稿が間違っていた場合には、クライアント側に責任が生じることをお含みおきください」
という意味の文章を送っておくことが重要です。
併せて
「これ以降の修整は別途料金が必要」
という文言も追加しておきましょう。
ちゃんと相対すればどうにかなってたはずの案件だ、という理解です。
デザイナー的にはこう考えてる
絶対あんな値段の賠償請求は呑むべきじゃないし、50万円のウェブサイトを新規で受ける必然性もありません。
(駆け出しの人間にその値段のウェブサイトが作れるわけない、というそもそも論は置いておくとしても)
弁護士がサクッと出てきて大混乱、というなかで取ることができた対応はアレだったんでしょうけれど。
仕方ないんじゃないかな。ご愁傷様。
そんな感じです。
能力不足による二次災害と、それが許されるべきじゃないってことは、別々に考えなくちゃいけません。
件の方はどんな感じかというと、
仕事で色気出して、
しくじったことをネタにして、
それもガンガンアピールするメンタルの強さは
じつにすごい。
マネできないタフさです。
脱帽です。
でもね。
ぼく自身がそんな強メンタルになりたいかというと、そういうわけではなくて。
もうちょっとしっかり踏みしめて歩いていけるもんだよ、という感じで考えてます。
なんでかというと、デザイナーはこんなミスをしないよう教育されるんですよ。
ミスは校正の段階でつぶすのが鉄則です。
ちょっとくらいいいじゃない、は見逃さない。
そのために、先方から届いた原稿は全部出力して付き合わせる。(モニタより紙のほうがミスが減る)
修正箇所を全部チェックする。
文字校正は2人以上でやる。
年月日はカレンダーで再度確認。
西暦/令和は必ず確認。
住所、所在地は名刺、GoogleMapで確認。
電話番号には自分で架電する。
......みたいなことをやります。
若気の至りで片付けてもいいんでしょうけれど、不要な勉強代を払う必要はないと思うんですよ。
なので、もっと慎重になっていいはずなんです。
必要なステップを踏まず大海に漕ぎだす神経はすごいと思うけれども、危ういよねえ。
ああ、大変だねえ、と対岸の火事を眺めるような目になってました。
どう考えたって生来の性格は変えるのが難しいですから、危きには近寄らないのが最適。冷たいと言われましてもね、もともと容赦のない業界なんで、救済は難しいんです。弁護士頼ってください。
友人といつも会話するなかで出てくるワードがあるんですけれど、それがコレ。
「このSNS時代は、より声の大きな人が、間違ったことを広めてる」
YouTubeでも間違った情報を流している人がちらほらいらっしゃいます。
けれどぼくらのような経験者は、たぶんわざわざ訂正情報をコメントしないと思います。
キリがないので。
自分の仕事で結果を積み上げること。
自分でやろうと考えているクライアントには、実力で当方にまかせていただくことを納得していただくこと。
そういうふうにお仕事をしますので。
未経験でデザイナーになろうと考えているあなた。
こんな感じで、意外とハードルは高いです。
毎日勉強を続けてください。
自衛はめっちゃ必要なんです、自営業だけに。
気をつけてくださいね。