タイトルのように、PNG納品について検索されてるケースがあるんですよ。

なんか理由があるのかな? と思うんですが。

 

もしかして、わかんないのは、主にサイズについてでしょうか?

だとしたらクライアントに聞いてください、というお話になっちゃうのですけれども、それはかなり不親切な回答かなあと思うわけです。

 

そんなわけで、解説的なことを書こうと思うんですけれども。

 

まず前提として知っていただきたいことがあります。

 

PNGは万能じゃないので、ロゴはPNGだけ納品してくださいってことにはならないと思うんですよ。

 

PNGの用途は確認されてます?

用途がわかると、納品サイズもだいたい見当がつきます。

 

逆に用途がわからないと、後になって文句を言われる確率がいくらか残ります。

 

プロセスカラー印刷には使えないし。

ある日を境にIllustratorへ直接配置することができなくなりましたし。

 

Adobeの仕様変更なんでしょうけれども「なんなんだよ、一体?」と思わずにはいられません。

 

……いられないんですが、どうしようもない。

 

時代に追いつけない人は放置されるのが常なのですよ、トホホ。

 

あ、当方の環境は最新OSでも最新CPUでもないので、世間のスタンダードとはズレが生じています。必ずしも正しい記述とは限らないことをお含みおきくださいね。

 

で、納品の話。

最適なサイズを知るのに一番手っ取り早いのは、やっぱり用途をクライアントに尋ねることです。

 

ロゴをPNGで納品するのは主流じゃないので、必ず目的があると思います。

(広告全般での一般論です)

 

Facebookのアイコンとか、Twitterのアイコンとか。

 

もしもSNS用のアイコンだとわかれば、各サービスのサポートページを見て「いまの仕様(ピクセル数)はいくつか?」を確認すれば確実です。

 

  • Facebook
  • X
  • Instagram(ページが見つからなかったよトホホ)

 

 

そうじゃなくて、動画に使うとかパワーポイントに貼るとかなら、「だいたいこれくらい?」の目安がわかります。

 

動画って4Kじゃなければ1,920 × 1,080pxの中に収まるサイズだろうし。

 

 

大きなサイズで「どんっ」とフレームインしつつ縮小する、みたいな使い方でもなければ、上図より大きなロゴは必要ありませんよね?

というか、ここまでデカいロゴ渡されても困ると思います。

 

なので「もっと小さくていいんじゃね?」って感じで考えますけれど、実際には相手に確認します、ハイ。

 

パワーポイントならA4サイズ96ppiから想定できるんじゃないかなあ。

 

企画書の最終ページや、プロジェクターで使うとしたらこんな感じ?

 

本文のショルダーならこれくらい?

 

企画書の表紙ならこれぐらいとか?

 

画面やアートボードいっぱいのサイズで表示することはほとんどないでしょうから「おさまりいい感じ」を探していけば、そんなに外れないんじゃないかな。

で、そのサイズを「ピクセル的に2倍」にして納品っていう感じです。

 

これ、なんでかというと、96ppiで納品しちゃうとプリンタで出力した時にエッジがガタつくかもしれないから。なんというかモザイク感が出ます。

 

パワーポイントだけで使うなら96ppiで考えてもいいんですが、手元資料が残るとしたらもうちょっとデータ量は大きくしておきたいところです。

 

ものすご〜く昔、インクジェットプリンタとカラーレーザープリンタ(当時はカラーコピー機で出力)でテストしてみたんですよ。

 

画像のクォリティが落ち始めるのはどこらへんかを探っていったら、144dpiでいけそうってことがわかりました。

 

当時、Macは72dpi環境でしたので、2倍にしとけばプレゼンはOKでしょ、みたいなところで落ち着いたんですよね。

 

なので、スクリーンだけなら×1倍。紙で出力するなら×2倍。

「どんなふうに使うか?」は、やっぱり相手にお尋ねするべきです。

 

ただですね、Macbook、スマートフォンの場合は、Retinaディスプレイという仕掛けになってます。なので×1倍ではなく、×2倍で納品するほうが現実的、みたいな感じになってます。

 

「なんでもいいからよこせ」みたいに粗っぽいオーダーは減ってきましたけれど、一旦データを渡してみて「違う、それじゃない」というリアクションから、ようやく適切なサイズ感が伝えられることって、やっぱり多いんですよ。(この時間が一番無駄)

 

「グダグダぬかすな、はよ対応せいや」

 

みたいなプロデューサーは、令和になっても生き残ってます。

 

確認事項が抜け落ちる人を減らすには、都度必要サイズを確認しつづける必要があるんですが、タコな相手を黙らせるためにとりあえず想定したサイズを用意する必要も、まだまだあるんですよ困ったことに。

 

クライアントがよくわかってないのは仕方がないんですが、間に入るプロデューサーがヌルヌルするので、手は打っておいた方が精神衛生上健やかです。

 

サイズ感は掴んでおくようにしてください。

 

 

適切な納品形態は?

「ロゴの納品はAi形式が基本だ」と、いまでも思っています。

なぜなら、どんなにサイズ変更しても問題ないから。

 

画像データを入れるようなロゴなら拡大は厳しい場合がありますけれど、そういう用途を考えた画像データを用意するのが普通です。

 

もちろんお値段次第。

 

「そのサイズは用意していない」

「そんなに大きく使えない」

 

っていう答えが返ってきたら、

  • ダメデザイナー/ダメ制作スタッフに当たったか、
  • 業界をよくわからずに発注しちゃったか、
  • クラウドソーシングの使い方を間違えたか、

という感じです。

 

とくに最後のは「その値段でどうしてそこまで面倒見てくれると思った?」っていうお話があります。事前の調査とすり合わせは大切ですよね、ということで。

 

クラウドソーシングはさておき。

 

プロパーなお話をすると、デザイナーはちゃんと用途を考えてデータを作るまでがお仕事です。オペレーターに投げるとか、外注しない限りは。


とんでもなく大きな画像データを用意する必要があるケースというのは、かなり特殊ではないかと思います。印刷形式や掲示場所によって要求仕様が異なりますが、ほぼ対応できるのがデザイナーですし、対応できない人には限界が待ってます。

 

 

PNGでロゴを納品するケースって?

まあ、ウェブデザイン系ですかねえ。

あとは動画とか?

 

ロゴの周囲(背景)が透過状態になっている状況が欲しいのかなあ?

(写真で言えばキリヌキですね)

でも印刷だったらAiまたはPsですよねえ。

RGBで渡されてしまうPNGで印刷するって、恐怖しかないですよ、ええ。

 

一般的なウェブサイト、PCのレイアウトでいうと、最大横幅はざっくり1,200pxで構成したりすると思うんですよ。バカみたいに横幅の広いウェブサイトって作らないじゃないですか。費用的な意味でも、デザイン的な意味でも。

 

そこに置くロゴって、どんなに大きくても横幅比では1/5~1/8くらいですよね。

見え寸で240~150px。

Retinaディスプレイ対策を考えても左右幅480pxもあれば十分すぎる気がします。

 

ツイッターの鳥マークとか(いまは柴犬を経て、Xか)だけならもっと小さいですよね。

 

ウェブサイト用のロゴなどは、どっちかというと縦幅で決まるような気がします。

だってヘッダ天地幅はファーストビューから逆算して決めるじゃないですか。

ロゴからビジュアルのサイズを決めるってことは、よほどのことがない限りないと思うんですよね。

そのヘッダ天地幅に収まるロゴって、天地100pxを超えないと思うんですよ。

だとしたら、Retina対策で200pxまでとか、そんな感じかなあ。


ところで、そもそもウェブサイトに置くロゴって、SVGのほうがよかったりしません?

 

よその事情は知りませんけれど、劣化が少なくて拡大・縮小し放題のロゴデータなら最強の形式だと思うのですけれども、違うのかな。

 

バナーつくるとかだったら、PNGでOKな気がしますけれども。はてさて。

 

パワーポイントとかワードに貼るっていうケースも想定されると思うんですけれど。

Illustratorでベクターデータのロゴを作ってるんなら、PNGよりEMFのほうがいいですし。

 

ともあれ、ウェブデザインで使うからロゴをPNGでくれって言われたら、大きめのデータを用意して現場でリサイズしてもらうのがいいんじゃないかな。横幅1,200pxもあったら十分すぎる気がします。

 

この「どんなサイズで渡すか?」は、カメラマンも頭を悩ませています。

 

発注者から「大きすぎる」「小さすぎる」「RAWはないのか」みたいなことを言われるらしいんですが、クライアントごとに言うことが違うので一般化できないらしく。

 

なので撮影時に「どのサイズで欲しいですか?と尋ねるようにしている、という話を聞きました。


 

 

EMFってなに?

っていうデザイナーは、ちょっと調べてみてください。

パワーポイントとの相性はいいんですよね、アレ。

 

ともかく「PNGでロゴをくれ」というケースは、必ず理由があります。

PNGでどんな使い方しますか? って訊けるコミュ能力を育てることを大切にしながら、最適なデータをお渡しできるように頑張ってください。

 

用途を言わず「とにかく寄越せ」みたいな相手は付き合うとヤバいので、うまく転がすように対応できるスキルを築いてくださいね。

 

 

用途によっては依頼通りPNGを深く考えずに渡すことも

そうそう、とある案件で作ったロゴをPNGで欲しいと言われたことがあったんです。

 

すでにAiデータ(イラストレータ形式)をお渡し済みだったので、どういう用途なんだろう? と訪ねてみたら

 

「チラシに使う」

 

との回答。

 

んー?

 

チラシのデザインにはAiデータが最強です。

 

なんでまた?

 

と思ってもうちょっと深くお尋ねしてみました。

 

チラシにするということは、オフセット印刷が一般的。

カラーレーザープリンタで出力するとしても、それなりの解像度が必要になります。

 

前者なら原寸で350dpi、後者なら原寸で150dpiくらいあればだいたいOKなんですけれども、送った先のデザイナーがどんなサイズで使うのかは未知数です。

 

なので用途とサイズを聞いてみたところ

 

「スマホアプリでつくります」

 

オウフ。

 

これは細かく聞いてもダメなやつ。

ということでさくっとPNGをお送りしました。

 

何か問題あれば連絡くるでしょ、くらいの感覚です。

 

スマホでレイアウトっていう感覚がデザイナーには理解できないんですけれども、実際に使っている方もいらっしゃるのでハンドリングに困らないサイズ(スマホの横幅くらい)をお送りして様子を見ることにしたのでした。

 

あれからなんの連絡もないので、それなりに使っておられるんじゃないかと想像しています。

 

とまあ、たまにはそんなこともあるわけですが。

現実的な対処としては「用途と希望サイズをお尋ねする」が基本です。

そこは変わらないので、クライアントに確認していただくようお願いしてください。

 

一発で最適解に届く訊き方を身につけていただければ。