こんなツイートがあったんですよ。
(読み込みが遅い場合があるので、テキストでの引用もしています)
しぐさん丨猫とパン好きマルチデザイナー(*☌ᴗ☌)。*゚@sigmabi「制作会社さんに作ってもらったロゴ、CMYKのaiデータで届いたので渡ししますね、これ、制作会社さんから『変に触らないで』って言われてます」 いや…これ…ほんとに制作会社が作ったの??? 昨今はこんな感じなんですか…?????… https://t.co/J3KzWHAhC5
2022年12月01日 18:57
「制作会社さんに作ってもらったロゴ、CMYKのaiデータで届いたので渡ししますね、これ、制作会社さんから『変に触らないで』って言われてます」
いや…これ…ほんとに制作会社が作ったの???
昨今はこんな感じなんですか…?????
変に触ってるの…どっち…
で、こんなレスポンスをしました。
Matsunami Yasuhiro@airgraphics_jpどうやって色校正するつもりなんだろうなあ。 ちゃんとした制作会社はこんなデータ渡さないです、念のため。 https://t.co/dgu0ZREcEU
2022年12月03日 23:39
どうやって色校正するつもりなんだろうなあ。
ちゃんとした制作会社はこんなデータ渡さないです、念のため。
こういうことを書くと批判されたとか、中傷されたとかいう方もいらっしゃるんですけれどね。
もうちょっと深く考えてほしいんですよ。
ロゴの色指定って「世界中でどこでも同じように再現されなきゃ意味がないもの」なんです。
それがコート紙でも、マット紙でも、プラスチックでも、車体ペイントでも。
紙の種類によって色の再現性が違うってこと、グラフィックデザイナー以外はご存知ない or 気にしない と思うんですよね。
だって、端末ごとに色が違うから。
あるいは端末ごとに色が違うことを知らないから。
だけど紙モノは手元に「他人と同じものが」残ります。
紙によって色が違ったらダメなんですよ。
だから色校正を取って、ちゃんと色管理します。
そんな状況で小数点以下の指定とか、10%刻みじゃない指定とか、誰が確認してOK出すんでしょうか?
だって色見本がないんです。
せめてPantoneのチップナンバーだけでもつけてください。
でなければ10%刻みの指定にしてください。
デザイナーは10%刻みのプロセスカラーチャートで色校正します。
誰でも確実な色管理できる指示と、運用システムを作ることが、デザイナーの仕事のひとつなんです。
だから10%刻みで指定できないデザイナーというのは、ある意味三流なんです。
上記の件はおそらく「RGBで作ったロゴをCMYK変換しただけだろう」という推測がなされています。
ぼくもそう思います。
このデータを受け取った人は「三流の仕事だなあ」と、感じている。
そういうことは、もうちょっと知られてもいいんじゃないかなと思いました。
色校正のこと、マジメに考えるデザイナーが減りました。
F1の車両のペイントは、TVの色再現性を考慮して色指定されてた、みたいな話は過去の遺物かもしれません。
何が頭痛いかって、制作会社の人がこの件に関する問題点をさっぱり理解してないってことなんですよね。
砂糖と塩を間違えるくらい初歩的なお話なんですけれど、OJTでは追いつかない絶望があるなあと思ったのでした。
何度でも書きますが、「ロゴの色は誰でも確実に見本が手に入る指定をする」ことが大前提です。
だから10%刻みの色指定が大切で、もしもそれを逸脱するのであれば、DICやPantoneなどのツールで確認できるものが必要なんです。
もしもカラーキャリブレーションをやってないモニターで作られたRGBのロゴだとしたら、何が正しい色なのかなんてわかんないですからね。
いまいちピンときていない方向けの解説
ロゴの色指定は、DIC(またはPantone)、CMYK、RGBなどで行います。
これはどんな媒体でも同じように再現できることを目的にしています。
「CMYKで指定していたら、どんな印刷物でも同じように色が出る」
と思っている方がいらっしゃったら要注意。
紙によって発色が違うことをご存じない、という証左です。
コート紙といっても、ハイマッキンレー、ダルアート、ミラーコートで色が変わる、と言ったら伝わるでしょうか?
だから指標となる数値を決めて、どれだけズレているかを見比べて、ちゃんと確認する必要があるんですね。それを色校正と呼んでいます。
そのためには、色見本がすぐ・確実に手に入る状態であることが望ましいわけです。
だからCMYKカラーチャートで確認できる、あるいはカラーチップで確認できる、という形にする必要がある。
XX.3%とかYY.7%、みたいな指定はどうやって確認するの?
これがわかってないと、いつか大きなトラブルに遭ってしまう確率が上がってしまいます。大きな案件であればあるほどリスクが上がる。
そして、間違いが発生した時、刷り直しの費用をまるまる被る事態が待っています。
カラーチップを貼付して出稿
大きな仕事、海外へデータを送るような仕事では、まず間違いなく色見本の貼付が必須になります。これは海外の印刷がいいかげ…ゲフンゲフン、みたいなことが要因だったりします。
小数点以下の数値が出る色指定をして、確実に色管理できる方は、お続けになればいいと思うわけですが、取引はしたくないなというのが本音です。
現場はすごく困る、ということだけでも理解していただければ。
印刷って、ぜんぶ自動でどうにかなってるわけじゃないので。
ではでは。