印刷入稿がRGBかCMYKか、という話があることについて触れましたけれども。

それ以前にやらなくちゃいけないことがあるんですよ。

 

それがカラーマネージメント。

 

Macをデザインに使っていた人は、目に見えているディスプレイの色が正しいのかについて考える機会が多かったと思います。

Windowsを使っていた人は色に関する意識がものすごく低かったと言っても、たぶん怒られないと思います。

 

Macを褒めるわけじゃないんですが、Windowsの色管理は朴訥な印象が強いです。Illustrator5.5の時代からMacは色管理についてがんばっていました。念のために申し上げると、いまのIlustrator CCのバージョンのことではありません。

 

ただの5.5です。

 

2022年現在、最新のIllustratorはCC2022ですが、バージョンでいうと26ぐらいになってるはずです。

 

PC用のディスプレイが液晶ではなくブラウン管の時代です。

 

ブラウン管ってなに?

 

という方には理解が難しいお話かと思います。シュタインズケートのミスターブラウンがこよなく愛した映像表示装置です。(もっとわからんよね)

 

ディスプレイには個体差がありまして、R:255、G:255、B:255が「白に見えない時代」があったんです。

 

厳密に言えばいまでもそうなんですが。

 

なのでキャリブレーションという作業が必要です。

Windowsを使う企業ではあんまり重要視されていない印象が強かったです。

というか、カラー調整のコントロールパネルが良くなかったですね。

Windows10になってようやく……という感じ。

 

ガンマ調整というんですが、PCの画面出力とディスプレイの能力を一致させる作業です。見た目で作業するため「絶対音感を試される的な感じ」ではあったのですが、やらないよりはマシ。それがWindowsには標準搭載されてなかったんです。

 

ですからキャリブレーションツールという、専用の道具を使うことになります。

かつて出稼ぎで行ってた企業にキャリブレーションツール導入を進言したこともあります。

 

その後たまたまタイミングよく、元請け制作会社のプロデューサーから制作物に関する色味についてイチャモンつけられたこともありましたので「ウチの制作PCはすべてキャリブレーションツールを使って、1週間に1度、色調整をしています。当方で違和感がないんですが、どういう環境でこのデータをご覧になってますか?」と回答して、難を逃れることができたのはじつに幸いでした。

 

エンドユーザーのパソコンは制作会社が使っているものと同じかもしれませんが、「あなたのバソコンが世界基準なのか?」という

のは、ぼくらだけがもつ疑問なのかもしれません。

 

たとえばテレビとかもそうなんですが、一般家庭のテレビの色ってものすごく個体差があるんですよ。

それはPCもスマートフォンも同じです。

同じiPhoneなのに2つ並べてみたら画面の白がえらく違う、とか普通にあります。

 

確かにプロデューサー氏が持った違和感は、クライアントももつ可能性があります。

 

でも、こちらは調整済みのPCで作業していますから、自信を持って「これが間違いないものです」と言い切らなくてはいけません。お客さんが黒を白ということに従ってはいけないんですよね。逆にお客さんが恥をかくことになりますから。

 

少しでもマウンティングしよう、コントロール下に入れよう、という意図を持ったプロデューサーを黙らせるには相手が使っていないだろうツールの実績が必要でした。

ぼくは外部の人間でしたので、その企業が不利にならないことだけを考えていたんですけれども、エビデンス提示の重要性を関係スタッフ一同が認識した瞬間だったと思います。

 

そんな感じで、カラーマネージメントの重要性は「RGBかCMYKか」よりも前に立つものです。

なのでデジタルで作業されている方は、ご自身の端末がどういう色で動いているかについて一度確認されてみることをお勧めします

 

キャリブレーションツールに関してはこういうものがありますので、調べてみていただければ。