2016年上半期お気に入り新作映画ベスト10! | 一生懸命空気イス

一生懸命空気イス

映画の感想を中心に、ぐっと来たものを大小問わずご紹介しています。いらっしゃいませ!

もう7月になっちゃったけど、2016年上半期お気に入り新作映画ベスト10ドーン!

↓↓↓

【第10位】 監禁/レディ・ベンジェンス



なんとヒロインが監禁先から脱出するところから始まる、監禁モノの進化系みたいな1本。
ただ逃げるだけではなく、「どうやら自分以外の女の子も各所に監禁されているらしい」ことを知ったヒロインが、「監禁実行犯を凶器で脅迫しながら連れ回して」、女の子たちを救出しながら真犯人に迫って行くんですけれども…

救おうとすればするほど悲惨な結果を迎えたり、信じていた人に裏切られたりボコられたり、心身ともにボロッボロになりながらもブレずに突き進むタフなヒロインが超かっこいい!!

最近ハリウッドでは「ある意味戦っている女性映画」がトレンドですが、「ガチで戦っている女性映画」のほうが私は好きです。

▼監禁/レディ・ベンジェンス [DVD]


* * *

【第9位】FAKE



ゴーストライター騒動で有名になった、佐村河内守を追いかけたドキュメンタリー。
舞台はほぼ佐村河内氏の住むマンションのリビングで、ここで氏がご飯食べたり豆乳飲んだりケーキ食べたり、取材申し込みしてきたメディアからインタビュー受けたり、バラエティ番組で大活躍している新垣さんを神妙な面持ちで眺めたり、悪者にされてつらい心境を打ち明けたりします。

視聴者が気になっていた「氏の耳が聴こえるか聴こえないか問題」についても割とぐいぐい迫るんですけれども、納得できる部分もあればやっぱり疑問に思うところもあって、とりあえずすっごくハラハラするんですね。

ちなみに笑いどころもいっぱいあって、ちょっと「佐村河内かわいい」モードに入っちゃう瞬間があるんですよ。この映画を見て氏の見方が変わる人はたくさんいると思われます。

だけれども決して作り手は決して氏を擁護しているわけではなくて、ちょくちょく意地悪な視点を入れて来るわ、最終的に「おまえらこの映画含めメディアに踊らされ過ぎじゃね?」っていう視聴者攻撃に転じるわで、ドキっとするやつですね。終わり方も超いじわるで面白いよ!

▼『FAKE』公式サイト
http://http://www.fakemovie.jp/

* * *

【第8位】ディーパンの闘い



内戦下のスリランカから逃げるために、まったく関わりのなかった元兵士ディーパンと女と少女の3人が「偽装家族」になって、フランスで新たな生活を始める…という話なんですけれども、ディーパン役の方はマジで元兵士だったそうで、道理で迫力がとてつもないわけだわよ!

他人だった3人が、団地に身を寄せていつしか本当の家族のようにお互いを思い合って行くくだりにほっこりしつつ、「そんな幸せも長くは続かなかった」的に訪れるクライマックスのバイオレンス感はさいっこうにアガりますので、ちょっとびっくりするぐらいアガりますので、どうか見届けてください。

▼ディーパンの闘い [Blu-ray]


▼『ディーパンの闘い』公式サイト
http://www.dheepan-movie.com/

* * *

【第7位】私はゴースト



低予算ホラーには名作が多いですけれども、祖の中でもこれは相当イイ、やつだと思います。オチが読めなくてちゃんと怖くてキレイなので大好きです。

舞台はクラシカルなお屋敷で、主な名登場人物はそこにひとり住んでいるエミリーという女性のみ。序盤は、序盤は彼女の日常の行動(ベッドから起きる、朝ご飯食べる、掃除する、買い物に出かける)がしつこいぐらいにループして描かれます。

なぜなら、エミリーはすでに死んでいる「成仏できない地霊」だったので、延々と生前の記憶を繰り返していたのです!

お屋敷の外から語りかける霊媒師の声(姿は見えない)に導かれ、エミリーは記憶のループの中からなんとかヒントを見つけ出し、成仏を図る…という物語なんですけれども、ほっとんど無音だし映像もあえて画素荒めだったりして、ずーーーっと薄気味悪いんですよ。

それでエミリーが自分の死の確信に迫るたびに、少しずつ映画全体の恐怖レベルが上がって行くのでもう、怖いです、これとても怖い。「なぜエミリーは死んだのか」の真相がわかるくだりとか、超怖いです。イイなあ…

▼私はゴースト [DVD]


* * *

【第6位】ヒメアノ〜ル



V6の森田剛が、その名も「森田くん」という殺人鬼を怪演していることで話題を集めた1本です。
原作コミックは未読ですが、上半期の邦画で一番興奮したのがこちら。

見終えた後「森田剛やばい」しかしゃべれなくなるぐらい、森田剛の与える衝撃が物凄いので、V6世代歯もちろんのこと、逆にジャニーズアンチの方は見るべき本当に見るべき!

本作での森田剛は、ざっくり紹介すると「昔いじめられっこ、今無職で破壊衝動の強いやばいひと」という人物を演じています。

結構な大人なのに金髪で、ちょっとほうれい線が濃くなってきていて、目が死んでいて、基本イケメンなんだけれどももう若くはないからこそそんなルックスがちょっと気味悪くて、自分が社会の最下層にいる自覚があるがゆえに思想も行動も過激化していて、強姦や殺人を何のためらいもなくやってのける…
という、実生活で出会ったら何が何でも避けなければ行けない「ほんとうにあぶないひと」を、森田剛が、完全なハマり役として演じ切っている素晴らしさですよ…!!

生理的嫌悪感満載のバイオレンスとエロスが展開される作品ですので、免疫の無い女性のお客様などはつらい思いをするかもしれません。
だけどそれは試練だと思って、乗り越えた先には「役者・森田剛の偉大さ」という感動が待っているのでどうかどうか、見てください。あー森田剛やばい!!

▼『ヒメアノ~ル』公式サイト
http://www.himeanole-movie.com/

* * *

【第5位】マジカル・ガール



『私が、生きる肌』とか『刺さった男』とか『人生スイッチ』とか、最近のスペイン映画は奇妙で面白い作品が多くてとても楽しいんですけれども、本作は圧倒的に不幸で精神的ダメージを負うタイプの良作です。不幸な映画って面白いよね…。

本作は主に3人の視点でストーリーが展開するんですけれども、そもそもの始まりは、病気で先の長くない娘を持つお父さん。
娘が大ファンである日本製魔法少女アニメのコスチューム(高額)を手に入れるために、ちょっとインモラルなやり方を試みたらとんでもないアクシデントが発生し、それがどんどんいやあああああな事態に発展して、不幸が連鎖して行くんですね。

やがてドン引きするほど悲しいが起きるんですけれども、その運命的な出会いと展開は映画的に超絶面白い…というなんとも皮肉なね、やりきれない気持ちになるんですよ。

ちなみに本作の監督は日本カルチャーが大好物だそうで、かつて大きいお友達の間で大ブームを巻き起こした深夜アニメ、『魔法少女まどか☆マギカ』にも影響を受けている…
と聞き、私映画観たあと『まどマギ』全話見てみたんです。

面白すぎてびっっっくりした…
神回と名高い10話ですべてが繋がってその巧妙さに感激しつつ、少女達になんて重いもの背負わすんだと思って泣いてしまったよ…

「魔法少女」というモチーフだけでなくて、「因果」がね、なるほどこれ本質部分でめちゃくちゃ影響受けてるじゃあないかっていう、新たな興奮を得られましたよね。

ちょっとズレますが「まどマギの面白さを知った」という点でも、『マジカル・ガール』は非常に忘れられない作品となりました。ああ辛い、でも面白い…!!

▼マジカル・ガール [Blu-ray]


▼『マジカル・ガール』公式サイト
http://bitters.co.jp/magicalgirl/

* * *

【第4位】クリムゾン・ピーク



『パンズ・ラビリンス』『パシフィック・リム』でおなじみギレルモ・デルトロ監督の、超絶フェティッシュ愛憎劇です。

↓鑑賞当時の興奮っぷりは以下に↓

▼【映画】クリムゾン・ピーク←最高のトムヒをありがとう
http://ameblo.jp/airchair164/entry-12124984356.html

ゴスゴスしたビジュアルや気色悪かっこいいクリーチャー、そしてなかなかに歪んだ「デルトロのエロス」は一見の価値ありあり。あと、トム・ヒドルストンの美尻ね。

▼クリムゾン・ピーク ブルーレイ&DVDセット


▼『クリムゾン・ピーク』公式サイト
http://crimsonpeak.jp

* * *

【第3位】ヘイトフル・エイト



タランティーノが大好きなんですけれども、会話が長いし女が鼻血出すし様式美がすごいし、「ああ、今タラ映画観てる」という感覚がたまらなかったですね…

そして曲者ぞろいのキャスト陣の中で、タラ組常連のサミュエルLがダントツでかっこいいっていうのがもう、タラファン的には大歓喜ですよね…

上映時間も3時間ぐらいあるし基本会話劇なので万人におすすめできる作品ではまったくないんですけれども、出てくる人全員かっこいいんですよ…
「タランティーノ風」の密室劇とかバイオレンスとか蔓延していますが、これは本家タラの新作な訳で、そのかっこよさは段違いなので、とにかくかっこよさを、かっこよさを堪能して欲しいですよね…

もうねタラファンであることが本当に嬉しい、楽しい、大好き、なんですよ…!

▼ヘイトフル・エイト コレクターズ・エディション(Amazon.co.jp限定)


▼『ヘイトフル・エイト』公式サイト
http://gaga.ne.jp/hateful8/

* * *

【第2位】ロブスター



オリジナリティ溢れる世界設定と独特のトーンがどツボにハマった一作です。

本作で描かれるのは、独身者は強制的に「ホテル」に収容されて、そこで45日以内にパートナーを見つけないと動物に変えられて森に放たれる…という恐ろしい世界なんですね。
独り身の私が泣きそうになったのは言わずもがなですね。

物語は、独身男デヴィッド(コリン・ファレル)がホテルに送り込まれるところから始まります。
初日に支配人から「動物に変えられるときは何になりたい?」と聞かれたデヴィッドは、メジャーな犬猫ではなく「ロブスター」と回答。異様に寿命の長い生き物だからだそうですが、そんな動物になってまで長生きしたいのかよ…と早くも心がザワつきます。

ちなみにホテルの住人たちは、毎晩森の動物を撃ち殺しに「狩り」に出かけます。動物1体につき、ホテルの滞在日数が1日プラスされるので、みんな必死で狩るわけです。

そしてその狩りの対象となる動物こそが、45日以内にパートナーを見つけられなかった、哀れな独身者の成れの果て。相手を見つけないと狩られるってそれなんて地獄だよ…!

そうして毎晩狩りで延命を図りつつ、日中はホテルのルールに従って規則正しい生活を送りながら、ダンスタイムやちょっとした空き時間に良さそうな人を見つけて声をかけ、なんとかパートナーを見つけようと行動しなければなりません。辛い…
(ちなみに入居時に異性愛者か同性愛者かを選択できるので、そちらに沿っていれば誰と結ばれようとしてもOK!)

デヴィッドは仕方なく、好きでもなんでもない女にうまく調子を合わせ、カップル成立を果たすのですが、それだけではミッションコンプリートならず。
次は個室から二人部屋に移って生活し、それがうまくいけば今度は湾内のヨットで暮らしてみて、問題が無ければ街に戻って平和な生活ができる…という段階が用意されているのでした。

しかしながら好きでもなんでもない女相手ではボロも出てしまい、「うっわあ…」とドン引きするような事故が起きて、デヴィッドはホテルを出て森に逃げ込みます。

「なーんだ、ホテルになんかいなくても森で自由に暮らせばいいじゃないかー!」と思ったら、森にはホテルからの脱獄者がつくったコミュニティがあり、そこではホテルと反対で「独身でいられるけど恋愛や異性との接触が禁止」されているんですね。
特にコミュニティの女リーダー(レア・セドゥ)はめちゃくちゃルールに厳しく、破ると言葉にするにもおぞましいような罰をくだされます。

しかしながら、森にいる「近視の女」(レイチェル・ワイズ)ととてもいい感じになってしまうデヴィッド。それを驚きの行動力で阻止してくる女リーダー、さらにはホテルからも命を狙われる始末!デヴィッドは、いずれからもうまいこと逃げて「近視の女」と幸せに生きる方法を模索しますが、果たしてふたりの行く末やいかに…!?

要は変な映画なんですよ。だけど登場人物が妙に落ち着き払っていて、「THEシュール」といった趣なんですけれども、設定が面白くて世界観がしっかりしているから、ものっすごく入り込んじゃってね…

私動物になるとしたら何選んでおこうかなとか、後から情がわいてくるかもしれないからとりあえず適当な人と仲良くしておこうかなとか、そもそもそんな無理してまでルールに従って生きる意味あるのかなとか、でも森では絶対に暮らして行けないよなとか、シミュレーションたくさんしちゃってね…

既婚者の方は笑ってご覧になれば結構ですが独身者の方、これ観て何を思ったか是非ともご一報ください!

▼ロブスター [DVD]


▼『ロブスター』公式サイト
http://www.finefilms.co.jp/lobster/

* * *

【第1位】イット・フォローズ



私「3度の飯よりホラーが好き!」とかでは全くないのですが(恐がりだし)、気付いたら上半期一番面白く観られたのは、『イット・フォローズ』というホラー映画でした。
どう考えてもこれが一番衝撃的だったし、最後までずっと面白かった。最高でした。

ヒロインがね、意中の男とデートに行ってカーセックスに及んだあと、男に「何か」をうつされるんです。病気とかじゃあないんです、「霊的な何か」をうつされてしまったんですね…最悪!!

詳細は男が懇切丁寧に教えてくれるんですけれども、“それ”は見知らぬ人から身内までいろんな人間に姿を変えて、いつか感染者の前に現れます。「ドーン!」って演出チックに出現したり猛ダッシュで飛び出したりするのではなく、どこからか感染者めがけてスタスタと、歩いて迫ってくるんですね。
こちらを見つめてただまっすぐに歩いてくる霊的な存在、めちゃくちゃおっかないですよね…おっかないんだよお…。

しかも人混みで“それ”が出現した日にはもう、パッと見どれが“それ”なのか判別しづらいのでめちゃくちゃ不利!脇目も振らずこちらへ向かって歩いてくる人を、とにかく疑わなければなりません。
いや疑うに越したことないわ、だってもし“それ”に捕まってしまったら、

「アクロバティックに犯されながら殺される」という最悪な結末が待っているのですから…。

考えられる限り最悪の死に方なので、ヒロインはとにかく逃げ続けなければならないのです。しんどい!!

ただし、“それ”から解放される方法がひとつだけ。
感染させられたときのように、自分も誰かとセックスして、“それ”をうつしてやればいいのです。

だけど、ひとりにうつしただけではまだ不完全…

AがBにうつす

“それ”に襲われるのはB。もしBが死んだら“それ”の標的はAに戻る

という設定になっているので、つまりうつした相手がさらに別の人にうつして、その人も他の人にうつして、自分からどんどん遠のくほどに、“それ”に狙われるリスクが減る、というわけなんですね!

だからカーセックス男は、ヒロインにうつしただけではまだ安全圏にいるとはいえないので、からくりを丁寧にレクチャーしてくれたのでした。

ちなみに“それ”は、感染者以外の目には見えません。だから助けを求めても、「何言ってんだこいつ」的にスルーされる可能性が高いです。そんなときは、「自分には見えるけど、他人には見えない」人を探すのが吉。「ねえ、あそこにいる人見える!?」とNOだったら、もれなく、“それ”なのです。慌てず向き合えば、意外と簡単に“それ”対策ができますね。

まあそんな状況下で冷静でいるの、無理だけどね!

さて感染者であるヒロインは、おさななじみ男女たちに事情を話して助けを求め、なんとか“それ”から逃れようとします。依然“それ”は感染者以外には見えないのですが、「超常現象的に“それ”の力を理解する」という、非常に画期的なシーンが登場!ここ面白いから説明せず!
そうしてみんなで、“それ”から逃れる術をなんとかして探そうとします。

そこで長年ヒロインに想いを寄せるおさななじみ君が、かっこつけと正義感と下心が入り交じった感情から「ぼくにうつしてくれ」とせがむくだりとか、もう本当にこの映画よくできているな…とニヤッニヤしちゃってね…!

まごついている間にどんどん迫り来る“それ”の恐怖から、ヒロインは逃れることができるのか!?力技で撃退しようとするけれどそれ無謀じゃないのか!?っていうかこれどうやって収集つけるんだ!?

というのが大きな見所になるんですけれども、大変に心がザワつく最高のラストを迎えますので、これ未見の方は早急に観ていただきたい!

すでに観た人と「もしうつされたらどうするか」談義するのも超楽しいです。もおおお上半期ダントツでおすすめえ!!

▼イット・フォローズ [Blu-ray]


▼『イット・フォローズ』公式サイト
http://it-follows.jp/