Chemical World | タカンナオトシゴロ

タカンナオトシゴロ

アマチュア劇団シーブの湯飲み茶碗「キアサマトモイ」がお送りする、私的詩的妄想マテリアルワールド!!





泳いで海を渡った

あれはいつの事だったろう

空は青くて

僕は笑ってた


草木の匂いを嗅いだ

あれはどの記憶だったろう

無性に誰かに

会いたくなった


いつまでも

陽の光に手をかざして

季節の移り変わる

熱を感じてたはずだった



変わらないと信じていた

変わらない事などないこの世界は

やがてよそよそしく

すれ違う友人のように

姿を変えていった



明かりが消え

色を失い

生命の波は奪われていく


あの塔が輝く度に

泥と油に塗れたネズミみたいに

僕達は手も足もやり場を失って

行く先を

めくらめっぽうに探している


あの塔が輝く度に

腐った缶詰めの中身みたいに

僕達は汚されて分別されて

誰の目にも

触れないように捨てられていく





こんな世界は

間違っている

こんな世界は

間違っている

僕達の創り出した

こんな世界は

間違っている