プログレ三味線、フォーク三昧[仮](完結編) | タカンナオトシゴロ

タカンナオトシゴロ

アマチュア劇団シーブの湯飲み茶碗「キアサマトモイ」がお送りする、私的詩的妄想マテリアルワールド!!

(チーズ・生ハム、しばらく見入る)

チーズ・生ハム「・・・ゴクリ・・・」

(メロンの動きが止まる)

(娘の指がメロンから離れ、短かく元に戻っていく)

(娘が手を広げ、『さぁ』という風の手振りをする)

(メロンが突然、棒読みの様な感情の無い感じで歌い出す)


♪ロンリーベイベー泣かないで~
君に涙は似合わないから~

ロンリーベイベー駄目な俺には~
こんなに君が必要さ~

哀しいけれど
君は僕じゃない
君も僕にはなれない
だから、少しだけでも
君が感じる全ての事を
僕が感じる様に
感じていたいんだ
ありのままに~

oh~ロンリーベイベ~♪



生ハム「歌ってる?」

チーズ「あ、ああ。・・最近アイツが作る感じの歌だけど・・・この曲は・・聞いた事ないな。」

生ハム「・・・アイツの作った歌、って・・もしかして?!」



(少しの沈黙)



(娘、うなずく)

(メロンもうなずき返す)

(娘・メロン、感情の無い目で微笑み合う)

(チーズ・生ハム、ひたすら呆気に取られている)

(娘が口を開く)

(と、同時にイヤな高周波が耳に入り、チーズ・生ハムは思わず耳をふさぐ)

生ハム「おぇっ!何だ?これ?!」

チーズ「ううううううううっ!」

(10秒程で止まる)

チーズ「くっ!止んだ?・・・何だったんだ?」

生ハム「ひーっ、耳の奥がムズがゆ~い!キーンっつって鳴ってるよ!」

チーズ「シィッ!おいあれっ!」

(気が付くとUFOのタラップがしまっている)

チーズ「はっ!メロンはっ?!」

(メロン、元の場所に立ち、口元は何かをブツブツ言っている感じだが、声にはなっていない)

チーズ「無事か?」

生ハム「どうかな?」

(辺りを包み込んでいたヒカリが一瞬に消え失せる)

(再び周りは夜の闇へと)

生ハム「急に?!・・目がよく見えないぞ。」

(チーズ、前を見ようと目を擦りながら)

チーズ「あ、ああ。・・メロン?」

(目が慣れてきて、闇の中に立ったままのメロンの姿が視界に入る)


生ハム「おいっ。行こうぜっ。」

チーズ「ああっ。」

(チーズ・生ハム、メロンの方に駆けて行く)

チーズ・生ハム「メローーンッ!!!」

メロン「(何事も無かったかの様に)おうっ。どうした?帰ったんじゃないのか?」

チーズ「??・・いいや。」

生ハム「??」

メロン「そうだ!さっきのライブの話だけどさっ、やろうぜっ!何か客の前で一発、ぶちかましてやりたくなってきたぜ!いい曲も思いついたんだ!ダウンワード・スパイラルの頃のナイン・インチ・ネイルズみたいなさ、ゴリゴリ電脳インダストリアルビートの曲なんだけどよ!」

生ハム「・・それって、さっきの?」

チーズ「(話を制止する様に)おいっ!!」

メロン「・・さっきの?・・って・・」

チーズ「いやっ!いやいやいや!何でも無い!何でもっ、何でも無いぞっ!」

生ハム「おいっ!チーズ!何言ってんだよっ!」

メロン「・・・そうか。」

チーズ「えっ?」

メロン「見てたんだねっ(ニヤリ)・・」

(星明かりに照らされた3人の影)

(メロンの影にひときわ長く映し出された人差し指が、音も無くチーズと生ハムに近づいて行く・・・)