先日、父が付き添って
母がかかりつけの内科クリニックに行ったときのこと。
診察が終わって、お会計を待っていたら、足がもつれて一瞬歩けなくなってしまったらしい。
私はその場にいなかったので、どんな様子だったのかはわからないんだけど
受付の方が気づいて先生を呼んでくれたそう。
そこで先生から、
「軽い脳梗塞かもしれないから、大きな病院で検査したほうがいいかもしれないね」
と言われ、そのまま近くの大きな病院へ。
私も急いで駆けつけた。
ちょうど検査が終わったところで、一緒に診察室に入って話を聞くことができた。
結果は……
脳梗塞ではなかった。
どうやら
年齢的に血管が細くなっていることに加えて
血圧を下げる薬が効きすぎて
脳に十分な血液が届きにくくなっている可能性があるとのこと。
血管を広げる手術という選択肢もあるらしい。
ただ、検査をした病院の脳外科の先生は、あまり積極的には勧めたくない様子だった。
「高齢の方は、入院をきっかけに寝たきりになってしまうこともありますからね」
その言葉を聞いて、
「そうなんだよなぁ……」
と思わずうなずいた。
私は介護の仕事を10年ほどしていたので
入院をきっかけに体力が落ちたり
今までできていたことができなくなったりする高齢者を何人も見てきた。
もちろん、治療が必要なときはある。
でも、治療すれば必ず元気になる、というわけでもないんだよね。
特に高齢になると
病気そのものだけじゃなく
その後の生活まで考えなくちゃいけない。
一方で、かかりつけの内科の先生は手術を勧めたい様子。
「大きな病院ならやってくれると思うよ」と。
うん、それは知ってる。
その病院は新しくなったときに
脳外科の設備を充実させたと聞いたことがある。
でも
設備があることと
母にとって手術がいいこととは、また別の話だよね。
実は母は
もともと高血圧だったんだけど
2年前に入院してから、以前のように血圧が上がらなくなった。
体調も前よりよくなっていたので、ちょっと不思議なくらいだった。
でもそれなのに、血圧を下げる薬は今も飲み続けている。
「もしかして、薬が効きすぎているんじゃない?」
そう思って、内科の先生や訪問看護師さんにも相談してみた。
でも、血圧の数字は正常だから問題ないとのこと。
なるほどね。
でもなぁ……。
数字が正常だからといって
母の体まで全部正常とは限らないんじゃないかな。
これは、介護の仕事をしてきた私の経験からくる感覚でもある。
もちろん、先生の話を聞くことは大事。
私は、専門家じゃないんだから
わからないこともたくさんある。
でも、全部先生任せにするのもちょっと違う気がしている。
だって、毎日の母の様子を見ているのは家族だもの。
それに母は、何より入院が嫌い。
2年前に入院したときも
早く家に帰りたくて仕方がなかった。
リハビリ病院への転院を勧められたけれど
それも嫌だと言って退院してきたという経緯がある。
まあ、母らしいといえば母らしいんだけどね。
というわけで
今は先生の話を聞きながら
母の気持ちも聞きながら
父や妹とも相談しながら考えていこうと思っている。
もちろん、自分の経験からくる感覚も大事にしながら。
正解なんて、すぐにはわからない。
でも、ひとつ思うことがある。
84歳の母にとって大事なのは
ただ長生きすることだけじゃないんじゃないかな。
自分の家で過ごせること。
好きなように暮らせること。
家族と普通に話をして
ごはんを食べて
日々を過ごせること。
そういう何でもない毎日も
母にとっては大切なんだと思う。
もちろん、元気で長生きしてほしい。
これは娘として、当たり前の願い。
でも
長生きすることと
母らしく暮らせること。
その両方を大切にしながら
これからのことを考えていきたい。
さてさて、どうしたもんかな。
娘としても、元介護職としても、まだまだ考えることはいっぱいです。
