私の中で産みの母親に対するいい記憶は一つもない。

 

なのにどうして、

「お母さんはだれ?」

って聞かれたとき彼女の顔がフッと脳内をよぎるのだろうか。

 

今でも鮮明に覚えてるのが私が保育園の年長さんの時、

当時雇っていた家政婦さんと一緒に母の家を訪ねたことだ。

 

彼女は二番目の姉にスイカバーを買ってあげていた。

幼い私も食べたくて近寄っていったのを覚えている。

でも、当時の私の認識ではお母さんは育ての母であり、

目の前にいる人はただの見知らぬ女性であった。

 

彼女はこう言った、

 

「お母さんって呼んでくれたらあげる。」

 

今まで大好きでお母さんであると思っていた人が一気に消え去った気がして

その直後自然と涙があふれたのを覚えている。

 

次にこの言葉を聞いたのは私が小学5年に上がるころだった。

一本の非通知電話がかかってきた。

父あてだった。

私はすぐに誰かはわからなかったが、

彼女がこういった、

「あなたのお母さんだよ。お母さんって呼んで。」

幼いころの記憶が一気にフラッシュバックされて私はこう答えた、

 

 

「ごめんなさい。あなたが誰かわかりません。」

 

 

「お母さんって呼んでくれたら…」彼女はどういうつもりでこの言葉を発したのか。

 

子供を愛さない親はいないとよく耳にするが、本当にそうなのだろうか。

もしそうであるとするならば、虐待や暴力は愛情表現の一種なのだろうか。

 

 

難しい…

 

 

2021/04/11 PM23:49