ドイツはケルンで開かれるドイツPop Music業界のコンベンション、c/o popに参加しました。

 

 

 

結局ひとつもコネクションを作れなかった自分の腰抜けは横に置いておいて、沢山の人の中で自分の思考の海に漂う自分のアウトプット。笑

 

 

 

実は去年申し込んで落ちた選考の敗者復活に入れてもらって、今年に入ってすぐにドイツから新進アーティスト用の助成金を頂きました。

まだアーティストとしてのキャリアを始めたばかりの人達に、お金だけではなく、コーチングやセミナーもつけてこれからの活動をしっかり考えて動けるようにと応援してくれるとても太っ腹な助成金。

Pop Stipendiumというその団体から彼らの共催するc/o popのチケットを頂いたのです。

 

 

そう言えば、今よりも更にベルリンのポップスシーンのことを分かっていなかったコロナ禍、どこを経由してかc/o popのことを知り得たあたしは、メタバースでそこに参加するということをしていたのでした。全然理解していないメタバースの中でドイツ語で開催されているプレゼンテーションに参加するという無謀。笑 全然分からないけど、いつかリアルで参加してみたいと思っていたら、2年後に叶ったよ。

 

 

さて、参加するとは決めたものの、一体何が行われていて、自分は何を目的に行くのかよくわかっていない出発前数日。

だって行く10日前にいきなり当選しましたとか言われて、その時点ではスケジュールとかがどこに発表されているのかも理解していなかったし、どう動けばいいのかも全然分からなかったのだ。

 

初めて行ってみて、漸く理解しましたよ。

次からはちゃんと事前準備して行きます。苦笑

 

 

本当はアルバムをリリースしたばっかりのこのタイミングで色々コネを作りに行くのが正解だったんだろうけど、こういう動きがメチャクチャ苦手なのだ。

事前のアポ取りとかの筋道が漸く理解できたぞーーー。

 

 

 

まぁ、今回は何が行われているのかを知りたい、というのが一番の目的だったので、ひとまずの目標は果たしたし。

2日に渡って、4つずつ合計8つのセミナーのほぼ全てをドイツ語で受けるという激務を終えた自分をとっても褒めてあげようと思う。

 

前回のWIM SUMMITのように英語だからと全部のセミナーに出まくる暴挙まではいかないけれど、自分の興味のあることとは言え、英語でもついていけるか分からないトピックも有りだから、全体の理解力はものによっては30%、関心があったり実用的なものについては50から70%というところだろうか。理解というか全て推測なのではという的確なツッコミは置いておいてください。

 

2日間で行われた内容は、何かのアワードの表彰式だったり。

アーティストがどういう風に助成金などを使って活動を進めたらいいのか、自分の作品の著作権の管理の仕方など、お金周りのこと。

マーチャンダイズをどう作るか、作品をラジオやプレイリストに載せる方法、ブッキング、ソーシャルメディアでのブランディングなどというビジネスの話。

音楽制作ソフトってどう使うの?みたいな超基本的な音楽の部分のワークショップ。

それに加えて、音楽業界に於けるサステイナビリティやジェンダーについてや、女性のエンパワメント、メンタルヘルスケアの話。

更には最近話題のAIアートに関連して、ミュージシャンやアーティストの立場と著作権的な見地からのディスカッション。

 

 

特にAIアートに関しては、最近友達とよく話すことでもあり、非常に関心があるけれど、彼らのプレゼンテーションを聞いても結局自分の意見は変わらないというか、後押しをしてもらうような内容でとても面白かった。これから自分はどういう風に音楽を作っていくんだろう。自分がどの部分にAIを使い、どこを人に頼むのか。そもそも使うのか否か。自分はどういう要素で音楽のかっこよさを定義しているのか。自分らしさとは。自分が音楽を作る意味とは。大好きな哲学的な問題が浮上してきてうっかりまたその思考の海にダイブしそうになる。

 

 

 

夜は夜で、4日間に渡って様々な会場でライブが行われる。あの小さい区域にあれだけのライブハウスがあるケルン、侮れない。

昔からゲイカルチャーとかが栄えたりした文化的にも歴史のあるところだからか、(そう言えば西ドイツの首都であったボンの隣だし。)それともこのフェスティバルが毎年あることが関係しているのか、逆なのかその辺り全く分からないけど。

 

 

1日目はOzan Tekin, Ameli Paul, Black Sea Dahu

2日目はCHRISTL, Fernie, Batbait

 

 

Ozan Tekinはトルコのピアニストで、あたしが会場に到着した時にはピアノが壊れて、止めるかと思ったくらいだけど、どうにか修理してコンサートを続けていて大変そうだった。ピアノという楽器のシンプルな美しさを思い出させてくれて、自分の音楽をピアノ一本で作るとか演奏することをまた挑戦してみようかと思った。

 

去年あたしの大好きなWallis Birdのコンサートで対バンだったBlack Sea Dahu、圧倒的に良かった。彼らのライブ最高。

 

 

やっぱり、ライブが良い。特にバンドは、ライブが良い。

 

 

逆にガッツリとプロダクションがあって、どうやってもカラオケ感の出てしまう演奏ではその音質・音色で興醒めしてしまう自分をどうしても宥められない。

それくらいなら綺麗にレコーディングされたものをお家で聴きたい。

そしてバンドにも、高いミュージシャンシップを要求するあたしはやっぱり面倒くさいオーディエンスだなぁ、、、と思う。

自分の中の好みがやっぱりはっきりしている。けれど、格好良いと思えばジャンルを超えてハードロックでもメロコアでも、ジャズでもクラシックでも聴くんだから難しいのである。自分がポイントにしているのはほとんどの場合、歌詞ではない。分かりやすいメロディと面白くてカッコいいグルーヴ。そこにその場でしか聴けないようなライブ感、即興要素がある音楽がやっぱり好きだなぁ。

 

 

 

自分がドラマーとして演奏する時に、選ぶ基準がどんどんクリアになってきたことを、とても大事だなぁと思う。"仕事"としての話なら、クライアントの求めるものをキッチリ差し出す。その代わりガッツリ対価を頂く。

 

自分が今まで仕事としてやってきたシーンはその辺りが少しごちゃごちゃしていて、でもそこを仕事として割り切ることの大切さを最近感じている。感情とか繋がりとか、とても大切だけれど、自分が本気で音楽をしているなら、それを仕事にするなら、絶対に引くべき線はある。その上で、同じステージ上にいるメンバーと気持ちを一つにできるのなら、それ以上の幸せはないよね。

 

 

 

自分のプロジェクトをどう進めていくのか、どういうベニューで、誰とどういう空間を作って、来てくれた人とどんな時間を共有したいのか。どんどんクリアになってきて、その壮大さ加減に吐きそうなんだけれど。

 

 

でも、やっぱりドンドン自分の肚は座ってくるんだ。

 

 

 

 

 

ほぼドイツ人しかいないドイツ語の海で、圧倒的に1人。

 

 

 

 

ドイツのシーンで何かをやるということは、つまりそういうことなのだ。