鈴木舞、注目の若手ヴァイオリニストに聞く

今年2月にクロアチアで開催された第十回ヴァツラフ・フルム国際ヴァイオリンコンクールで、アジア人初の優勝者に輝き、同時にザグレブ放送交響楽団賞も授賞する快挙を成し遂げた鈴木舞に取材した。

1989年神奈川県出身の鈴木舞は東京芸術大学付属高校、同大学で学び、現在はスイスのローザンヌに留学している。2005年大阪国際音楽コンクールでも第一位、全部門賞グランプリ、大阪府知事賞、ジャーナリスト賞全てを授賞した他、2011年第四回アンリ・マルトー国際コンクールでもファイナリストに残り、アンリ・マルトー最優秀演奏賞を得た経歴を持つ。




優勝までの過程をお聞かせ下さい。

ジュネーヴに本部を置く国際音楽コンクール世界連盟のHPを見て応募しましたが、コンクール2週間前にファイナルで弾く協奏曲を変更したので、最後は泣きながら練習しました。勇気のいる決断でしたが、シベリウスの協奏曲を弾いたのは良かったと思います。

予選では審査員がくじで引いたアルファベットのイニシャル順に演奏するシステムなのですが、私の順番は遅い方だったので、他の参加者の演奏を聴くことができました。ほとんどの人が、音楽を通して自分を伝えようとするタイプの演奏でしたが、私は、自分を伝えるというより、聴覚以外の五感を研ぎすませて、旋律自身が持つ色を感じながら、聴く人が匂い、温度、情景なども体感できるような表現を常に心掛けているので、自分の表現法を貫きました。

本戦ではオーケストラと共演するのですが、コミュニケーションに重点を置いて演奏していたのは私だけのようでした。コミュニケーションによって団員一人ひとりのテンションがあがると良い音楽が生まれ、そのパワーが集まると、強い風圧に背中を押されているような感覚になります。

オーケストラからそのパワーを受け取って、自分も投げ返し、エネルギーの交換をすることによって、演奏に迫力が出て、魅力的な音楽が創り上げられるのが醍醐味なのですが、それには精神力や体力も要求されます。

総括して、自分はある意味目立っていたように思いますが、それは必ずしも成功に繋がらないこともある中で、今回は幸運なことに審査員に評価してもらえたのでしょう。




読売交響楽団が働く世代のために開演時間を遅めに設定したカレッジコンサートシリーズに4月12日、出演されますが、どのようなお気持ちですか?

指揮の小林先生とは高校時代にコンサートミストレスとして共演させて頂き、その時に教えて頂いたことは、今の私のソロ演奏にも生きています。今回演奏するベートーヴェンのロマンス第二番は、彼には珍しく女性らいしいしなやかな旋律を持っています。叶わない恋と知りながら純粋に憧れているような、幸せの中の悲しみを感じる物語のある曲で、共演がとても楽しみです。



11月28日にはチェコのオモロウツで、飯森範親が指揮するモラヴィア・フィルハーモニー管弦楽団とモーツァルト作曲ヴァイオリン協奏曲第五番「トルコ風」を、12月13日にはザグレブでザグレブ・フィルハーモニー管弦楽団とメンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲を演奏する。

今後の課題は、演奏中に何かを演じるのではなく、どうやったら何かになりきって演奏できるのかを追求することと、演奏時の緊張を否定せず、有効に活かせるようなコントロールを覚えることだそうだ。実際、彼女の演奏を間近で聴くと、並ならぬ集中力が小宇宙を創り出しているような感覚を覚える。

これから様々な個性のオーケストラとエネルギーの交換をして、どんなに大成していくのか楽しみな24才だ。
http://punta.jp/archives/11693




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