国内のフランス料理店の草分けとして知られ、31年の歴史を刻んできた神戸市中央区の神戸ポートピアホテル内の「アラン・シャペル」が3月末で閉店することになった。
フランスの本店の経営方針が理由というが、「本場の三つ星の味が楽しめる」と言われ、国内外のVIPも通った店を知る〈食通〉からは惜しむ声が上がっている。
同店の歴史は、1981年にポートアイランドが島開きした際、同ホテル幹部が「街の活性化につながるレストランを」と、フランス料理界の巨匠だったアラン・シャペル氏に開店を打診したことから始まった。
シャペル氏が自分の名前を冠にしたフランス・リヨン郊外の本店は、グルメガイド「ミシュラン」で、最上位の三つ星を獲得したこともある名店。同氏は、海や山の美しい景色が楽しめる神戸の立地などを大いに気に入り、「世界唯一の支店」として出店に応じた。
シャペル氏は開業前後にスタッフを本店に招いては、料理の指導のほか、市場での食材や、テーブルに飾る花の選び方までを熱心に指導。毎年春と秋の2回、来店した際には自ら腕を振るい、神戸の店も一流のレベルに育てようとしたという。
開店当時は、フランス料理が日本に浸透しつつあった頃。トリュフを詰めた若鶏を豚の膀胱で包んだ「若鶏のヴェッシー包み」や、高級なオマールエビをふんだんに使ったサラダ――。ホテル最上階の31階にある店は、独創性あふれる味を求めた客で連日にぎわい、「予約の取れない店」や「皇室や海外の要人の御用達」などと呼ばれた。
シャペル氏が90年、52歳の若さで亡くなった後も、日本人シェフらが味を守ってきたが、昨年末、本店の経営陣が支店を持たない方針を決め、3月25日での閉店が決まった。
同店は、3月中、特別メニュー(昼5544円~、夜1万1500円~)を用意。5月下旬には、同じ総料理長による新たなフランス料理店がオープンする予定で、ホテルの担当者は「これまでの上をいく店づくりを進めたい」としている。
「あまから手帖」の中本由美子編集長は「本場のスターシェフだったシャペル氏の独特の感性は、食べ手だけでなく、作り手にも刺激を与えたほどで、日本のフランス料理界が成熟するきっかけになった。閉店は残念だが、彼のエスプリ(精神)を弟子たちが受け継ぎ、また素晴らしい味を楽しませてほしい」と話す。(東田陽介)
(2012年1月27日14時57分 読売新聞)
フランスの本店の経営方針が理由というが、「本場の三つ星の味が楽しめる」と言われ、国内外のVIPも通った店を知る〈食通〉からは惜しむ声が上がっている。
同店の歴史は、1981年にポートアイランドが島開きした際、同ホテル幹部が「街の活性化につながるレストランを」と、フランス料理界の巨匠だったアラン・シャペル氏に開店を打診したことから始まった。
シャペル氏が自分の名前を冠にしたフランス・リヨン郊外の本店は、グルメガイド「ミシュラン」で、最上位の三つ星を獲得したこともある名店。同氏は、海や山の美しい景色が楽しめる神戸の立地などを大いに気に入り、「世界唯一の支店」として出店に応じた。
シャペル氏は開業前後にスタッフを本店に招いては、料理の指導のほか、市場での食材や、テーブルに飾る花の選び方までを熱心に指導。毎年春と秋の2回、来店した際には自ら腕を振るい、神戸の店も一流のレベルに育てようとしたという。
開店当時は、フランス料理が日本に浸透しつつあった頃。トリュフを詰めた若鶏を豚の膀胱で包んだ「若鶏のヴェッシー包み」や、高級なオマールエビをふんだんに使ったサラダ――。ホテル最上階の31階にある店は、独創性あふれる味を求めた客で連日にぎわい、「予約の取れない店」や「皇室や海外の要人の御用達」などと呼ばれた。
シャペル氏が90年、52歳の若さで亡くなった後も、日本人シェフらが味を守ってきたが、昨年末、本店の経営陣が支店を持たない方針を決め、3月25日での閉店が決まった。
同店は、3月中、特別メニュー(昼5544円~、夜1万1500円~)を用意。5月下旬には、同じ総料理長による新たなフランス料理店がオープンする予定で、ホテルの担当者は「これまでの上をいく店づくりを進めたい」としている。
「あまから手帖」の中本由美子編集長は「本場のスターシェフだったシャペル氏の独特の感性は、食べ手だけでなく、作り手にも刺激を与えたほどで、日本のフランス料理界が成熟するきっかけになった。閉店は残念だが、彼のエスプリ(精神)を弟子たちが受け継ぎ、また素晴らしい味を楽しませてほしい」と話す。(東田陽介)
(2012年1月27日14時57分 読売新聞)