≪うれしい 言葉がない≫

 華やかな第6回全日本最優秀ソムリエコンクールが10月13日、名古屋市内のホテルで開かれた。3年に1度のチャンスに、全国のホテルやレストランで働く一流ソムリエたちが挑戦した。

 熱戦のあと。壇上に岡昌治日本ソムリエ協会会長が立った。にこやかに声を発した。

 「焦らしたらあかん。ずばり、いきましょう。第1位、谷宣英(のぶひで)」

 緊張して結果発表を待っていた谷宣英選手(39)=ホテルニューオータニ東京。ぱっと笑みが浮かび、頬に朱がさした。

 ■田崎真也さんに憧れて

 「長いこと苦労して。ほんと、うれしい。言葉がないです」

 谷選手は栃木県出身。大学卒業後、「田崎真也さんに憧れて」ソムリエの世界に入った。全日本大会には5回挑み、ようやく栄冠を勝ち取った。

大会には全国の予選を勝ち抜いたソムリエ16人が出場した。審査は厳しい。問題漏洩(ろうえい)を防ぐため、選手は携帯電話やパソコンなどを事務局に預け、外出も許されない。前日行われた準決勝は午前1時まで延々と行われた。

 決勝に進んだのは谷選手、佐藤陽一選手(マクシヴァン)、定兼弘選手(ホテルニューオータニ大阪)の3人。

 決勝は公開で行われた。進行役は世界を制した田崎真也さん。国際基準に基づき、言語は英語かフランス語を選択する。谷選手は英語を選んだ。

 ■問われる知識、即応力

 第1の関門。グラスに入った3種類のワインをテイスティングする。持ち時間9分でコメント。

 色合い。香り。味わい。熟成期間。産地。そしてワインの造られた年。おすすめのグラス、サービスするときの適温をてきぱきと説明していく。

続いて9種類のワインリストが提示される。持ち時間5分で間違いを指摘する。蓄積した膨大な知識が問われる。額に指を当て、かすかな記憶を呼び起こす。

 実際のサービス審査。フランス人夫妻と日本人招待客の計4人。食前酒にいきなり意表を突く「日本酒のカクテル」の注文。あわてず騒がずシェーカーを振る。続いてコース料理に合った5種類のワインを勧める。

 難題に直面しても機知に富み、ユーモアあふれる対応で切り抜けていった。

 ■アジア、そして世界へ

 優勝した谷選手と第2位の佐藤選手は来年5月、韓国で開催されるアジア・オセアニア大会に出場する権利を獲得した。さらに2013年、東京で開催する世界大会に照準を合わせ、精進の日々が続く。

 岡会長は「日本の選手の水準は高い。だが、アジアのソムリエは年々、進化している。まず、アジアを制覇して世界大会に進んでほしい」と語る。

また、明日の日本ソムリエ界を支える若手ソムリエ・スカラシップに大森愛子選手(京都市)、岡村敏道選手(神戸市)、藤島聡選手(福岡市)の3人が選出された。3人は海外・語学研修に臨む。