20111012 たね蒔きジャーナル 京都大学原子炉実験所助教 小出裕章

東京には近藤さんです。
まず東京の話から伺います。
東京の世田谷区の一部の場所で、高い放射線量が検出されたようです。
これは、世田谷区の歩道、住宅街の歩道なんですが、最大1時間あたり2.7μSvの放射線量が測定されたという発表がありました。
この値、2.7μSv、どうお感じですか?

(小出氏)んー、高いですね。普通は0.05くらいしか、東京ではないはずですから。

普通は0.05のものが・・・

(小出氏)50倍ほどですね。

50倍ほどですね。
確か、福島県飯舘村でも、2μSv以上だったかと、大体同レベルだったのではないか?と。

(小出氏)飯館はもっと高いところもありますけれども、そういう本当に嫌だなと思うくらいの空間線量ですね。

(近藤氏)新聞もテレビもそうですけれども、言える都道府県レベルでそういう数字出すでしょ?東京いくら、千葉いくらって出るじゃないですか?あれ見てみんな安心してるんですよね。
あれ、意味あるんですかね?

(小出氏)まあ、基本的な広い範囲でのどの程度の汚染かというのに、役に立つだろうと思いますが、中にはいわゆるホットスポットというようなところが必ずありますし・・・

それは、東京都にあるんですか?

(小出氏)もちろんです。そのホットスポットと呼ばれている中、或いは別にそうじゃないところでも、例えば雨水が溜まっているようなところとか、道路の側溝であるとか、そういうところは必ず高くなるはずですので、調べれば調べるだけ、空間線量の高いところが出てくると思います。

(近藤氏)そうですよね。そうすると、東京都が0.0いくらって出るのは、特定のいつも同じところで測っている数値が、いつも出てる(発表されてる)わけですよね?

(小出氏)そうです。

そうなんですか?

(近藤氏)そのことの意味、一種の安全デマみたいな話ですよね?

(小出氏)まあそうですね。本当であれば、もっと細かく測って、例えば区レベルで測る、そして町内レベルで測る、さらには、町内のどこどこの道路、どこどこの場所というように、きめ細やかに本当は測っていかなければいけません。

(近藤氏)それでね、僕もう一つ心配なのは、こういう具合に世田谷で数字が出たって言ったときに、僕らの意識って、どこかで高止まりしてるんです。それで、
「もうなんでも聞いても驚かない」
とかね、そういうある種のヤケっていうんですか、そういう気分のときに、こういう数字をポッと出されるでしょ?もっと反応が鋭かった時期があったと思うんですよね。

(小出氏)そうですよね。
私から見ると、2.5なんて聞くと、お驚きというか常に被曝ということに向き合っている人間ですので、その数字は驚き、未だに驚きですが、多分普通のみなさんが数字だけザーッと聞いてきた中で言えば、随分慣れてしまった数字なんだろうなと思います。

今回は、区民の方が放射線量が高いところがあるようだと訴えて、それで区が測定して出てきたのが、2.7μSvなんですね?
これまで東京都などが、測定した中での最高の値は、0.496μSvでした。これに比べても5倍以上の数値が、今回出たわけですよ。
だから、これ、住民の皆さんが訴えなかったら、わからなかったという、5倍以上の数字が出るということを思うと、本当に住民の方の意識が大切なんじゃないかと思うんですが?

(小出氏)そうですね。それを図らずも証明してくれたわけで、ただ、私自身まだ今2.7が出たという場所が、どういう場所なのか?ということをまだ知りませんが、例えば雨どいの下のマスのようなところとかですね、道路の側溝で特に汚泥が溜まりやすいようなところであれば、多分そういう数値が出ることは不思議でないと思います。

そうなんですか?
ということは、この場所だけではないかもしれないし、世田谷だけの問題ではないということですね?

(小出氏)そういうことです。

ホットスポットが東京にもあるんだとおっしゃいましたが、西日本にもホットスポットってあり得るんですか?

(小出氏)原理的にはあり得ると思いますが、西日本にまで飛んできた放射性物質は、いずれにしてもかなり薄まってしまっているはずですので、それのホットスポットがあったとしても、比較的見つけにくいだろうと思います。

今度は、横浜のお話に移りますが、横浜ではストロンチウムが検出されました。
これはどういう場所かといいますと、横浜市内のマンションの屋上の堆積物からです。
1㎏あたり195ベクレルです。
この数値はどうでしょう?

(小出氏)えー、今日、私はずっとマスコミの人に、この問題で追い回されました。
1㎏あたり195と始め聞いた時には、「随分高いな」と思いました。
しかし、それがマンションの屋上のいわゆる堆積物が溜まっている、多分屋上の雨水が流れていって、何か泥が溜まるようなところだということのようでしたので、「あ、それならあり得るだろうな」と思いました。
ですから、今世田谷で高いところがあったというのと、私から見ると同じような原理なんだろうなと受け止めて、それで聞いたのですが、セシウムのほうの汚染度は1㎏あたり1万いくつと、おっしゃったと思います。

いえ、もっと高い数値が出たという情報を、私は持っているんですが、セシウムは6万ベクレル以上が同じ堆積物から出たという情報も私は得たんですが。

(小出氏)じゃあむしろそれが正しいと思います。要するに何百倍、或いは千倍近いというようなセシウムがそこにあるわけで、それはやはり福島の原発から飛んできてしまって、いわゆる自然環境での濃縮ということが起こったんだと思います。

はあ・・・。
チェルノブイリでの汚染地域が4万ベクレル以上とおっしゃいませんでしたっけ?先日。

(小出氏)1平方メートルあたり、4万ベクレルを超えるようなところがあれば、日本の法律に照らして、放射線の管理区域に指定いなければいけないということです。
今の場合は、1㎏あたりという値だと思いますので、換算に手間がいりますけれども、それでも、1㎏あたり6万ベクレルもあるというのであれば、そこは放射線の管理区域にしなければならないような汚染です。
でも、どの程度広がっているのか?という問題ですね。

これ、調べなきゃいけないですよね?

(小出氏)もちろんです。

横浜での話です。
それから、これ今さんまのおいしい季節なんですけれども、サンマの漁業者で作る組合がですね、福島原発100㎞圏内での操業は禁止するというふうに決めました。
その理由が、「消費者の皆さんに安心・安全だということをはっきりさせるためだ」ということなんですが、これ、科学的な数値が伝わってきていないんですよ。

(小出氏)はい。そうですね。なにがしか判断するためのデータがあったはずだと思いますし、それを聞かせていただければ、私としても何かアドバイスができると思うのですが、今の段階ではちょっとコメントを差し控えたいと思います。

ただ、この海洋汚染でいいますとね、まず海藻に濃縮されるとおっしゃいましたし、貝もだとおっしゃっていました。魚は、回遊する~最後ですよとおっしゃったと思うんです。
その魚であるサンマが問題になるような、もう時期なんですか?

(小出氏)ちょうとサンマの季節ですから、やはりたくさん獲りたいはずなんですね。
でも、もしそれが少しでも汚染してるということがわかれば、多分全部が売れなくなってしまうという、そういう危機感が漁業者の方にあったのではないでしょうか。
福島原発の100㎞の海域を除いて獲ったと言えば、今は少しは消費者に受け入れてもらえるのかな?という、そういうことを考えたのかな?と思いますが、何よりも本当であれば、データを示していただくのがいいと、私は思います。

国もまずここのデータは、調べて開示すべきですよね。
今のところ、それは出ておりません。
それから、次々伺ってなんですけれども、今度、お米のお話もございます。福島県のお米は、今回放射性物質の検査で、規制値1㎏あたり500ベクレルという数字を政府は上げてますが、これにはどれもあたらなかったので、福島県全県のお米の出荷が可能であると、いうことになりました。
福島県知事さんは、「コメの安全性が確認された」というふうに安全宣言を出されたんです。
これについてどんなご感想でしょう?

(小出氏)間違えています。
放射能の安全などというものはありません。安全宣言を出すなんていうことはやってはいけないのです。
仮に1㎏あたり500ベクレルを下回っていたとしても、もちろん危険はあるのです。499かもしれないし、400かもしれないし、100かもしれないし、10かもしれない。それでも、安全なのではないのです。
どこまで比較の問題で、どこまで危険があるかということであって、国が決めた暫定基準を下回っているから、安全宣言を出すなどということは、科学の基準に従えば、まったく間違えていると思います。

規制値500ベクレルとの規格ということは、みんな気にするんですけど、もともと3月11日以前は、どれだけだったか?ということがいつも抜けて話されていると思うんですね?

(小出氏)そうですね。

お米って普通どれくらいでしたっけ?

(小出氏)1㎏あたり1ベクレルあるかないかです。

はぁ・・・・。
500ベクレルとしただけで、既に500倍以上のものを許容しろというのが、政府の見解なわけですね?

(小出氏)そうですね。
それより下であれば、もう何にもデータを示す必要もない。あとはお前ら勝手にしろというふうに、国が言っているわけですね。

うーん。
それでですね、チェルノブイリの原発事故による放射能の影響を調べている、ベラルーシの専門家が来日しまして、日本記者クラブで記者会見したのですが、その時にこんなことを言っておられます。
「日本政府が設定した食品の暫定規制値は、高すぎる。日本の数値は驚きでまったく理解できない」
とおっしゃったようです。
これは、小出さんの意見と合致するものなんですかね?

(小出氏)ベラルーシの基準は、日本に比べて遥かに厳しいですから、そういう指摘は正当だと私は・・・

すいません、ベラルーシのほうが、チェルノブイリの近いところのほうが、日本よりずっと厳しい規制値を持ってるんですか?

(小出氏)そうです。

はぁ・・・・。

(小出氏)ただし、どこまで規制値を決めようと、危険はあるのです。
ベラルーシの規制値が安全だというわけではありません。問題はどこまでを我慢して受け入れざるを得ないか?ということですし、私としては、何よりも大切なのは、どの食べ物がどれだけ汚れているか?ということを正確に知らせることだと思っています。
ベラルーシの基準が低いということは、もちろん賛成ですけれども、低い基準値を下回っているから安全だというのなら、またそれも間違えていますので、何よりも正確に情報を知らせるということに、力を注いでほしいです。

食品については、具体的な数値が出されないまま、さまざまなことが進んでいるように見えます。

(小出氏)そうです。

どうもありがとうございました。
(小出氏)ありがとうございました。