語りえぬものについては、沈黙せねばならない
 鑑識課の諸沢です。
今回は、これがテーマですか。難しいから8,000円にしておくから(いいか、霧山。給料日に払ってくれよ!)。
 そもそも、この言葉は誰が言ったかというと、ウィトゲンシュタインである。人種はユダヤ人。オーストリア生まれ。彼の兄貴が、戦争で右手をなくしたピアニストで、左手だけのピアノ協奏曲を有名な作曲家から献呈されたというほどだ。ラヴェルだったかな?ふつうは、こんなこと鑑識では調べないけどな、特別だぞ。
 ウィトゲンシュタインは、哲学者とも建築家とも言われるが、まあ20世紀最大の哲人だ。
 『論理哲学論考』を何回も読んだが、それだけだ。
 よって、おれも何も語らない。
だって、ウィトゲンシュタインが言っているだろう、「語りえぬものについては、沈黙せねばならない」って。
 お茶の水大学の哲学の教授で、名エッセイストの土屋賢二先生なら、きっと妻にひっかけて言うかもしれないね。「妻の前では、沈黙せねばならない」とか。それが『妻と罰』(文藝春秋)という1冊になったのかもしれないがな(霧山、聞いているか?)。