川端康成 『雨傘』 | 書を捨てず 町へ出よう!

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本読みながら旅する思考の記録


筑摩書房が出している
『ちくま日本文学 川端康成』を久しぶりに
開いてみました。

私は、川端康成というとなぜか

田舎の仏壇と線香の香り

を思い出します。
作家それぞれで想起される事柄は違って
誰にでも作者ごとのイメージというのはあるでしょう。
私の場合、
谷崎潤一郎だと白磁のような肌の女性
三島由紀夫だと制帽
林芙美子だと強い風の音…
などなど、ほとんどは作品によって
自分の中に生まれたものだと思います。

川端康成がなぜ仏壇と線香なのか…

多分『葬式の名人』と『化粧』という短編のためだと読み返してわかりました。
死そのものではなく、それにまつわる周辺の人々を遠くから眺めるような、そんな話です。
死の夢幻的な世界と現実の人々の営みを繋ぐ
その橋渡しをするのが、私にとっては仏壇と線香なのだなと合点がいきました。
『雪国』もトンネルが二つの世界の橋渡しをします。知らず知らず、そのようなイメージを読者に植え付ける川端康成の凄さを感じました。

さて、収められている短編の中の
『雨傘』という話が詩的だったので
夜寝る前に勉強の事やお友だちとのことで、拗ねていた娘に読み聞かせました。

「ママ、全然わからない~、解説してチュー

「男の子が引っ越しでお別れしなければならないから、女の子と写真館で記念の写真を撮る話だけど、雨傘が二人の気持ちと関係を表現する道具になってるの」

「二人はそれからどうなるのかな照れ

「想像しながら寝てね、おやすみなさい」

いつか自分で読んでみて
ね…