この本の中で、感覚所与について触れている
章があります。
「感覚所与」というのは感覚器に捉えられた
第一次的印象といえます。
私は、自分がいかにその事に縛られながらも
役に立たない感覚所与を無視し
自動的に選別された意味のあるものだけに
存在を認めているか
はっとしました。
客観的な現実はなく、現実世界も既に自分の五感の中にある
あらためて意識に留めました。
また、差異と同一性によって
虫好きが議論すると喧嘩になるという
話がでてきました。
虫を分類するときにどのように分類するかで
全部同じだと言う人や、少しずつ違いがあるのだから全部違うといった論争になるということです。
これを読んで、こういう議論は日常的にも
よく体験することで、
なるほどほとんどの喧嘩やすれ違いは
差異と同一性の問題かと腑に落ちました。
さらに
感覚所与は差異であり
意識は同一性だと前置きし
「感覚所与と意識との乖離を
調整するのが科学」
だと章の最後に言っています。
科学とはそのように捉えることもできるのかと、本当に新しい感覚で、満たされました。
貴重な体験です。